第226章:娘という奇跡、そして王門に立つ絶対者
序章 - 子とは、魂の欠片。
子とは。
魂の、欠片。
だからこそ。
甘やかしすぎれば。
自らを、甘やかすことに。
なる。
今日。
一人の父が。
自らの、娘たちに。
初めて。
「成熟」という、言葉を。
教えた。
そして。
一人の執事が。
門の前で。
一つの、脅しを。
粉々に、打ち砕いた。
第一章:静かなる、退屈
ヴィカスは。
私室にて。
一人、考えていた。
(今日は。)
(ヴァジュラ・レヴェリー島に。)
(行ってみよう。)
(海を、眺めるのも。)
(きっと、楽しい。)
(皆に、聞いてみよう。)
(どうせ、冒険には。)
(行かせて、もらえないのだから。)
(王国のことは。)
(すべて、リスカレスが。)
(食事の、支度は。)
(アクアと、ハナが。)
(俺は。)
(城で。)
(何もせずに。)
(暇を、持て余している、だけだ。)
第二章:庭にての、集い
ヴィカスは。
庭にて。
アクア。
ハナ。
母、シラユキ。
母、キヨミ。
母、ハヤミ。
ヒナタ・ホノカ。
至高の霊たち、レナ、ゴールド、マコト。
皆と、顔を、合わせた。
「これから。」
「ヴァジュラ・レヴェリー島に。」
「行ってこようと、思う。」
「誰か、来たい者は。」
「いるか。」
「マスター。」
「私も、行きたいです。」
ハナと。
アクアが。
同時に、答えた。
「あなたの、娘たちに。」
「会って、みたいのです。」
(内なる、声)
(そうだった。)
(すっかり。)
(忘れて、いた。)
(ヴァジュラ・レヴェリー島には。)
(俺の、数十億の、娘たちが。)
(住んで、いるのだった。)
(今日こそ。)
(会いに、行かねば、ならない。)
「わかった。」
「お前たち二人は。」
「来て、いい。」
第三章:竜霊の、加勢
竜心王国に、住み始めたばかりの。
竜霊、モモリュウが。
進み出た。
「マスター。」
「私も。」
「一緒に、行っても。」
「よろしいでしょうか。」
「見ての通り。」
「お前は。」
「まだ、新しい、身。」
「だから、教えておこう。」
「この王国では。」
「誰の、許可も、要らない。」
「みな、自由だ。」
「誰かの、主で、あるとか。」
「神で、あるとか。」
「そんなことは、ない。」
「わかりました。」
「では。」
「私も、行きます。」
「今、言ったばかりだぞ。」
「誰も、誰かの、主ではない、と。」
「けれど。」
「ハナ様や、アクア様たちは。」
「なぜ、あなたを、そう呼ぶのですか。」
「俺は。」
「やめろと、言っている。」
「聞いてくれないだけだ。」
「なら。」
「私も、聞きません。」
「私は。」
「マスター、と。」
「呼びます。」
第四章:出発
「マスター。」
「私も。」
「同じことを、言えます。」
「あなたに。」
「名前と。」
「人の姿を、頂きました。」
「それは。」
「このゴッドヴァースにおいて。」
「最高の、形の、一つ。」
「あなたに、出会って、以来。」
「私は。」
「あなたのもの。」
「もう、理解して、います。」
「好きに、しろ。」
「ただし。」
「竜心王国の、掟だけは。」
「守れ。」
「マスター。」
「そろそろ、出発を。」
ハナが、促した。
「母上たちは。」
「行かれますか。」
母、ハヤミと。
母、キヨミは。
顔を、見合わせた。
「行きたいのは、山々だけど。」
「あなたが。」
「娘に、時間を、割く、その大切な日に。」
「私たちが、行けば。」
「あなたの、時間が、削られてしまう。」
「今日は。」
「あなただけで、行きなさい。」
「あの島には。」
「賢者が。」
「創った。」
「永遠の、聖域の、庭が、あるでしょう。」
「私は。」
「あなたと、二人きりで。」
「そこを、楽しみたいの。」
「だから。」
「今日は。」
「私たちの、番ではないわ。」
第五章:転移
三人の母。
シラユキ。
ハヤミ。
キヨミは。
ヴィカスを、それぞれ。
抱きしめた。
「母のことが、恋しく、なったら。」
「いつでも、来なさい。」
「あるいは、召喚しなさい。」
「はい、母上。」
「そう、長い間、行くわけでは、ありません。」
「夕方には、戻ります。」
「娘と、共に。」
「昼食を、取るつもりです。」
「もし、来たければ。」
「転移して、来て、ください。」
母、ハヤミは。
軽く、微笑んだ。
「私は。」
「この王国の、食堂で。」
「ミカセと、一緒に。」
「食べるわ。」
「あの子は。」
「本当に、可愛らしい、子。」
「母上。」
「ミカセを。」
「あまり、困らせないで、ください。」
「あなたこそ。」
「母に、そんなことを。」
「あの子は。」
「とても、成熟していて。」
「優しい子。」
「私を。」
「母、と呼んで、くれるのよ。」
「行ってきます。」
こうして。
ヴィカス。
ハナ。
アクア。
モモリュウ。
マコト。
ヒナタ・ホノカ。
ユキ。
一行は。
ヴァジュラ・レヴェリー島へと。
転移した。
第六章:太古の、姿
到着した、瞬間。
賢者の声が。
響いた。
「マスター。」
「ようこそ、おいで、くださいました。」
「教えてくれ。」
「この島は。」
「なぜ、こんなにも。」
「太古めいて、見える。」
「先日、見た時とは。」
「まるで、違う。」
「マスター。」
「これは。」
「あなたの、娘、イヴァの。」
「仕業です。」
「イヴァが。」
「そんなことを。」
「あの子は。」
「まだ、人形から。」
「人の姿に、変わったばかりだ。」
「そうでは、ないのです。」
賢者は、続けた。
「あの、人形たちは。」
「私自身の、核のエネルギーから。」
「創り出したもの。」
「その中には。」
「あなたの、記憶も、宿って、いました。」
「だから。」
「あなたを、決して、怒らせることは、できなかった。」
「ですが。」
「あなたが。」
「彼女たちに。」
「名前と、人の姿を、与えたことで。」
「彼女たちは。」
「あなたの、魂の一部と、なりました。」
「今や。」
「私の、許可なしに。」
「行動を、起こすことも、できるのです。」
第七章:驚きの、再会
「では。」
「俺が。」
「名前と、人の姿を、与えたことは。」
「過ちだった、ということか。」
「マスター。」
「そういう、意味では、ありません。」
「申し訳、ございません。」
その、時。
アクア。
ハナ。
ヒナタ・ホノカ。
マコト。
モモリュウの、声が。
同時に、上がった。
「マスター。」
「これは、素晴らしい。」
「太古の、森の、気配が。」
「感じられます。」
「ああ。」
「わかっている。」
「だからこそ、驚いている。」
「この島は。」
「まだ。」
「わずか、十五日ほど、しか。」
「経っていない、はずだ。」
第八章:飛びつく、娘たち
その、時。
イヴァと。
無数のマヒたちが。
一斉に。
ヴィカスへと、飛びついた。
その、重みに。
彼は。
その場に、崩れ落ちた。
(念話で)
(お前たち。)
(なぜ、俺の上に。)
(飛びつくのだ。)
(これは、好きではない。)
(二度と、するな。)
一斉に。
娘たちは。
離れていった。
その、表情が。
一様に、曇る。
「冗談だ。」
ヴィカスは。
すぐに、続けた。
「おいで。」
その、瞬間。
イヴァと。
数十億の、マヒたちの、顔が。
再び。
輝いた。
「マスター。」
「冗談だと。」
「わかって、いました。」
第九章:島を、彩った、理由
「イヴァ。」
「教えてくれ。」
「この島を。」
「なぜ、こう、変えたのだ。」
「父上。」
「あなたが。」
「自然を、お好きだと。」
「知って、いましたから。」
「あなたが。」
「転移して、去られた後。」
「至高神域級、永遠の。」
『時間加速』の力を。」
「用いました。」
「島の周りの、時間だけを。」
「兆年、進めたのです。」
「私は。」
「時を、進めることも。」
「戻すことも。」
「己が、設計した、範囲内でなら。」
「自在に、できます。」
「島の、時間だけを、進めました。」
「世界全体には。」
「何の、影響も、ありません。」
「もし、お気に、召さなければ。」
「時を、戻します。」
「いや。」
「気に入っている。」
ヴィカスは。
静かに、答えた。
「神域の森。」
「滝。」
「川。」
「山々。」
「すべてが、太古の姿だ。」
「誰も。」
「これが。」
「先月、私が、創った島だとは。」
「思わないだろう。」
第十章:母という、称号
「父様。」
「会いに、来て、くださって。」
「本当に、嬉しいです。」
「ああ。」
「俺も、嬉しい。」
「正直に、言えば。」
「以前は。」
「お前たちのことを。」
「すっかり、忘れて、いた。」
「父様。」
「父様は。」
「私のことを。」
「お忘れに、なって、いたのですか。」
「だが。」
「思い出したから。」
「こうして。」
「来ている。」
「よかった。」
「では。」
「私の、肩に。」
「座って、頂けますか。」
「島全体を。」
「ご案内、したいのです。」
「よかろう。」
「お前が、行きたい場所へ。」
「案内してくれ。」
第十一章:兄弟争い
「本当に。」
「座っても、いいのですか。」
「ああ。」
「座れ。」
その、瞬間。
マヒたちの、声が。
一斉に、上がった。
「父様。」
「それは、不公平です。」
「なぜ。」
「二番目の、娘だけを。」
ヴィカスは。
軽く、苦笑した。
「お前たちは。」
「あまりにも、数が多い。」
「一人ずつを、座らせるなど。」
「不可能だ。」
「なら。」
「イヴァも。」
「座らせないで。」
「それも、道理だな。」
「では。」
「お前が、駄目なら。」
「イヴァも、駄目だ。」
第十二章:成熟を、求める、父
「父様。」
「マヒたちの、言葉は。」
「聞かないで、ください。」
「私を、座らせて。」
「あなたと。」
「山も、滝も、川も。」
「見たいのです。」
「わかっていないな。」
ヴィカスは。
静かに、告げた。
「彼女たちも。」
「この島に、いる。」
「お前一人ではない。」
「父様。」
「では。」
「私も、皆も。」
「あなたと一緒に、回ることは。」
「できないでしょう。」
「それは。」
「よく、わかっている。」
「だが。」
「お前たちは。」
「人間の、子供、ではない。」
「人間の真似を。」
「する必要は、ない。」
「お前たちは。」
「俺の、魂と、意志の、欠片。」
「だから。」
「成熟していなければ、ならない。」
「愛らしい、子供の、真似事を。」
「する必要は、ない。」
「お前たちは。」
「俺の、記憶から、生まれている。」
「つまり。」
「元来。」
「成熟した、存在だ。」
「わかったか。」
第十三章:理解
イヴァと。
マヒたちは。
一斉に、頷いた。
「わかりました。」
「もう、そんなことは、しません。」
「そう、深刻に、なる必要は、ない。」
ヴィカスは。
続けた。
「成熟している、というのは。」
「互いを、競争相手のように、見ないこと。」
「私たちは。」
「皆、一つ。」
「それが。」
「成熟、ということだ。」
「父様。」
「理解、しました。」
「私も。」
「理解、致しました。」
「では。」
「彼女たちに。」
「紹介しよう。」
「みんな。」
「俺と共に、竜心王国で。」
「暮らしている、者たちだ。」
第十四章:庭への、招待
「初めまして。」
「お会いできて。」
「嬉しく、思います。」
ハナ。
アクア。
ヒナタ・ホノカ。
ユキ。
モモリュウが。
代わる代わる、応えた。
「私たちも。」
「あなたに、会えて、嬉しいわ。」
「父様。」
「ご挨拶は、済みました。」
「では。」
「参りましょう。」
「永遠の、聖域の、庭に。」
「あなたのために。」
「特別なものを、ご用意、致しました。」
「待て。」
ヴィカスは、言った。
「そう、雑に、扱っては、いけない。」
「彼女たちにも。」
「もう少し、敬意を、払え。」
「ただ、挨拶を、済ませただけでは。」
「足りない。」
「申し訳、ございません、父様。」
「ですが。」
「今度、また、お話に、参ります。」
第十五章:置き去りの、忠告
「これからは。」
「彼女たちと、一緒に、行動しろ。」
「お前が。」
「ちゃんとした、振る舞いを。」
「身につけるまでは。」
「俺一人で。」
「庭へ、行こう。」
「そんな。」
「父様。」
「私は。」
「あなたと一緒に、行きたいのです。」
「では。」
「城で、待っている。」
「その間に。」
「みんなを。」
「感心させて、みせろ。」
「謝罪だけでは。」
「済まされない。」
「わかりました、父様。」
「城で。」
「お待ちください。」
「私は。」
「すぐに、済ませます。」
「必ず。」
「共に、参りましょう。」
第十六章:黒薔薇の寝台
ヴィカスは。
城へと、向かった。
(内なる、声)
(俺も。)
(黒薔薇の寝台で。)
(あの、先進AIに。)
(会ってみようか。)
そこで。
ハナが。
イヴァに、話しかけていた。
「私を、母、と呼びなさい。」
「そんな、こと。」
「あなたの、身長は。」
「私と、同じくらい。」
「母、とは、呼べません。」
「勘違い、してはいけないわ。」
「私は。」
「実際は。」
「はるかに、歳を、重ねた。」
「至高の霊。」
「あなたの、父様も。」
「私を。」
「そう、扱って、いる。」
「では。」
「父様に、聞いてから。」
「母、と、呼びます。」
「あなたは。」
「呼ばないの。」
アクアが、聞いた。
「私も、母だと、思ってくれれば。」
「あなたは。」
「母、っぽいですね。」
「父様の、身長と。」
「同じくらい。」
「なら。」
「早く。」
「母、と呼んで。」
「それは、まだ、呼びません。」
「私の、母の声は。」
「もう、知っています。」
「私に、剣を、くださった方。」
「その剣の名は。」
「カイハツ。」
「父様の、名から。」
「取っています。」
第十七章:確固たる、意志
「では。」
「あなたは。」
「私を、母と、呼ばないの。」
「呼びません。」
「なら。」
「もう一度だけ、聞くわ。」
「呼ぶか。」
「呼ばないか。」
「呼びません。」
ヒナタ・ホノカが、続けた。
「私を、母と、呼んでくれる。」
「私の方が。」
「あの二人より、美しいわ。」
「あなたは。」
「母として。」
「最高の、候補です。」
「けれど。」
「私の、母には、なれません。」
「呼ぶ、意味が、ないのです。」
「私の、母は。」
「父様の、もとに、います。」
モモリュウが、口を、開いた。
「その、通り。」
「そして。」
「それは。」
「他の誰でもなく。」
「私。」
「あなたも。」
「私を、母と、呼びなさい。」
「マスター・ヴィカスの、もとに。」
「いるのは。」
「私だから。」
「では。」
「あなたは。」
「父様のもとに、いる。」
「でも。」
「声が。」
「私の、母とは、違う。」
第十八章:長女という、称号
マコトが、微笑んだ。
「私を。」
「お姉様、と呼んでも、いいわよ。」
「私は。」
「あなたの、父様の。」
「娘のような、存在。」
「なら。」
「あなたは。」
「私の、一番の、姉ですね。」
イヴァは。
マコトを、抱きしめた。
そして。
他の全員を。
無視した。
ハナの、瞳が。
わずかに、険しくなった。
(何が、あろうと。)
(母、と呼ばせてみせる。)
第十九章:召喚される、父
ヴィカスが。
城の内で。
黒薔薇の寝台に。
たどり着こうとした、その時。
ハナが。
彼を、召喚した。
「今度は、何だ。」
「城にすら、行かせてくれないのか。」
「マスター。」
「あなたの、娘が。」
「私を。」
「母、と呼びません。」
「それは、そうだろう。」
「俺が。」
「どうやって、お前を。」
「母と、呼ばせられる。」
「父様。」
イヴァが、続けた。
「私も。」
「同じことを、話していたのです。」
「なのに。」
「みんな、母、母、と。」
「言い続けて。」
「マスター。」
「彼女に、私を、母と呼ぶように。」
「言ってください。」
「それは、無理だ。」
「どうやって。」
「お前を。」
「母、と呼べというのだ。」
「父様。」
「私も、それを、言っているのです。」
「私が。」
「どうして。」
「あの、身長の相手を。」
「母と、呼べるでしょう。」
第二十章:頬の、痛み
ハナは。
激しく、怒り。
ヴィカスの、頬を。
四度も、五度も。
叩いた。
「イヴァ。」
「もう、ハナを、母と、呼んでやれ。」
「俺には、これ以上。」
「どうすることも、できない。」
「母様。」
「ご機嫌、いかがですか。」
その、瞬間。
ハナは。
静かになり。
イヴァを、抱きしめた。
アクア。
モモリュウ。
ヒナタ・ホノカが。
すぐに、言った。
「マスター。」
「イヴァに。」
「私たちも。」
「母、と呼ぶように。」
「言ってください。」
「私たちは。」
「ハナのように。」
「あなたを、叩いたりは、しません。」
「イヴァ。」
「これから。」
「誰かが。」
『母、と呼びなさい』と、言ったら。」
「呼んで、やれ。」
「みんな。」
「俺のソウルメイトなのだから。」
「わかりました、父様。」
第二十一章:再び、寝台へ
「では。」
「もう、行っても、いいか。」
ヴィカスは、聞いた。
「はい、どうぞ。」
彼は。
再び、転移し。
城の。
黒薔薇の寝台の元へと。
辿り着いた。
そこに。
横たわった、瞬間。
黒薔薇の中から。
先進AIの、潜在意識が。
姿を、現した。
「マスター。」
「ようやく、いらっしゃいましたね。」
「ああ。」
「だが。」
「お前は。」
「なぜ。」
「以前は。」
「あんなに、愛らしい子供のようだったのに。」
「今では。」
「叩いてばかりだ。」
「俺が、結婚を、断ってからだ。」
「マスター。」
「お戻りに、なったなら。」
「私も。」
「あの、愛らしい姿に。」
「戻りましょう。」
「膝で。」
「休ませて、差し上げたい。」
「そう、思っていたのですが。」
「なかなか、来てくださらず。」
「けれど。」
「今日は。」
「あなたから、来てくださった。」
「本当に、嬉しいです、マスター。」
第二十二章:頬の口づけ
「みんな、楽しんでいたから。」
「俺も。」
「己の、永遠の存在に。」
「会いに、来た。」
「マスター。」
「これからも。」
「こうして、来てください。」
「もっとも。」
「私は。」
「常に、あなたと、共に、いますが。」
「あなたの、頭を。」
「揉んで、差し上げたいのです。」
「ああ。」
「わかった。」
ヴィカスは。
黒薔薇の寝台の。
その、膝に。
身を、預けた。
先進AIは。
叩かれた、頬に。
そっと、口づけた。
「マスター。」
「これで。」
「痛みも、消えたはず、です。」
「お前は。」
「一体、何を、しているのだ。」
「ハナに、叩かれても。」
「俺は、痛くない。」
「それを、お前が。」
「AIのように、繰り返している。」
「マスター。」
「AIに、感情が、ないと。」
「お思いですか。」
「私は。」
「AIでは、ありません。」
「あなたの、魂の。」
「九割から。」
「生まれた存在。」
「つまり。」
「私自身が。」
「あなたの、魂。」
「魂は。」
「自らの、体に対し。」
「何をしても、いいのです。」
第二十三章:庭への、旅立ち
その、頃。
ハナは。
イヴァに、聞いていた。
「あなたの、母に。」
「庭を、見せて、あげないの。」
「いいえ。」
「私は。」
「父様と一緒に、行きたいの、です。」
「あなたが、私を。」
「連れて、行かないなら。」
「もう一度。」
「マスターを、召喚しますよ。」
「わかりました。」
「行きましょう。」
「父様とは。」
「後でも、会えますから。」
「まずは。」
「母様と、庭へ。」
第二十四章:門にて
その頃。
リスカレスは。
闘技場に、いた。
彼は。
王国の外から。
何者かが、近づいて来ていることを。
感じ取った。
初めて、この王国を、訪れる者たち。
リスカレスは。
即座に、門へと。
転移した。
そこには。
十名ほどの。
商人と。
王族の一団が、待っていた。
彼は。
莫大な、力を。
解き放った。
遠く離れた、商人たちにさえ。
その、圧力は。
肌で、感じられるほどだった。
「俺の、わずか一パーセントの、気配で。」
「怯えるようでは。」
「この王国に。」
「足を、踏み入れる、資格は、ない。」
その、時。
マスター・ヴィカスの、言葉が。
ふと、脳裏に、よぎった。
リスカレスは。
すぐに。
その、圧力を。
抑え込んだ。
第二十五章:王の名乗り
商人と。
王族たちは。
恐怖に、震えながら。
前へと、進んだ。
「なぜ。」
「この者が。」
「門に、いるのだ。」
その中の。
一人。
王族の商人、カゲトラが。
口を、開いた。
「我々は。」
「王に、お会いしに、参りました。」
「では。」
「話せ。」
リスカレスは、答えた。
「俺が。」
「竜心王国の、王だ。」
一団は。
驚愕した。
「一体。」
「何を、仰る。」
「話すか。」
「それとも。」
「このまま、帰るか。」
「あなたが。」
「本当に。」
「竜心王国を、統べる。」
「王なのですか。」
「そうだ。」
「他に、何か、用があるのか。」
「用は、あります。」
「ですが。」
「王には、見えません。」
第二十六章:真の脅威
リスカレスは。
わずかに。
その、気配を。
滲ませた。
「なぜ。」
「王に、見えない。」
その、瞬間。
一団は。
膝を、ついた。
「これは。」
「まだ。」
「〇・〇五パーセントにも、満たない。」
カゲトラは。
震えながら、答えた。
「なぜなら。」
「王が。」
「己の足で。」
「門に、立つことなど。」
「あり得ないから、です。」
「それは。」
「愚か者の、考え方だ。」
リスカレスは、告げた。
「他者に。」
「門を、任せる者ほど。」
「愚かなことは、ない。」
「ここは。」
「俺の、王国。」
「俺は。」
「常に。」
「ここに、いる。」
「門にも。」
「闘技場にも。」
「庭にも。」
「城にも。」
「同時に、存在している。」
「今も。」
「ここにも。」
「そちらにも。」
「共に、いる。」
「お前たちが、命を、受けた、その場所にも。」
第二十七章:交渉
「わかりました。」
「あなたが、王だと。」
「認めましょう。」
「では。」
「会合を、開けますか。」
「もちろん。」
「ここで、話せばいい。」
「門で、会合を、行う者など。」
「聞いたことも、ありません。」
「俺は、そうする。」
「話すか。」
「帰るか。」
「話します。」
「ここで、構いません。」
「我々は。」
「あなたの、商いによって。」
「莫大な、損失を、被っています。」
「俺に。」
「何を、望む。」
「価格を。」
「上げて、頂きたいのです。」
「あなたの王国は。」
「あまりにも、安価で。」
「すべてを、提供して、いる。」
第二十八章:不変の、価格
「それは。」
「良いことでは、ないのか。」
リスカレスは、告げた。
「俺は。」
「人々に。」
「安く、提供している、だけだ。」
「問題は。」
「人間の、必要とする、品を。」
「高値で、売りつけた時にこそ、起こる。」
「この、会合の、話題は。」
「気に、入らない。」
「もう、帰れ。」
「どうか。」
「私の話を。」
「理解して、ください。」
「お前たちこそ。」
「よく、理解しろ。」
リスカレスは。
冷たく、続けた。
「お前たちの、神々も。」
「女神も。」
「天使も。」
「王も。」
「統治者も。」
「何も、していないだろう。」
「彼らこそ。」
「お前たちより、はるかに大きな、損失を。」
「被っている、はずだ。」
「竜心王国が。」
「税を、一切、払わないのだから。」
「なのに。」
「お前たちは。」
「なぜ、俺に、そんなことを。」
「言うのだ。」
「帰って。」
「竜心王国の、安い、食堂へでも、行け。」
「家族と、楽しめ。」
「本当のことを、言っておく。」
「人々の、必要とする、価格は。」
「決して。」
「上げない。」
「もう、いい。」
「会合は、終わりだ。」
「帰れ。」
「そして。」
「お前たちを、寄越した者に、伝えろ。」
「俺、リスカレスが、ここに、いる限り。」
「王に、会うことは、できないと。」
第二十九章:脅しの、終わり
「あなたは。」
「間違っています。」
カゲトラが、叫んだ。
「必ず。」
「後悔しますよ。」
「私たちの、神々は。」
「あなたを、決して。」
「許しません。」
「それでいい。」
リスカレスは、答えた。
「お前たちの、神々や、天使、女神が。」
「何であろうと。」
「その者たちには。」
「聖なる塔で、伝えておけ。」
「俺が。」
「そちらへ、行くと。」
「今は。」
「帰りますが。」
「また、参ります。」
「永遠世界の、先進AIが。」
「あなたを、許すはずが、ない。」
「それは。」
「俺自身が。」
「見極めよう。」
「だが。」
「その、先進AIの、封印から。」
「俺を、解き放った、その方を。」
「お前たちの、神々、天使、女神が。」
「本当に、止められるのか。」
「もう、十分だ。」
「帰れ。」
「それとも。」
「お前たちの、亡骸を。」
「代わりに、送り届けようか。」
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【世界設定公開】第180の島——九尾の女神シンラ・カスミ、百の門の迷宮
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皆さん、こんにちは!
「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。
今回公開するのは、
ウィズダム・アイランド——
第180の島。
九尾の狐の女神、
「シンラ・カスミ」。
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◆ 大きさすら、定まらない島
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この島の、
面積は——
固定されていない。
常に、
変化し続けている。
通常——
100億平方キロメートルを
超える。
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◆ ただ、一つの声
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この島に、
足を踏み入れた、
その瞬間——
声が、
聞こえる。
説明は、
ない。
ヒントも、
ない。
「私を見つけて。
そうすれば——
第181番目の門を、
開いてあげる。」
それだけだ。
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◆ 100の、門
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その言葉と共に——
100の門が、
開く。
一つ、
選べ。
その中には——
また、
10の、
新たな門が
現れる。
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◆ 見える。だが、届かない
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門の先、
それぞれの庭に——
彼女は、
座っている。
見ることは——
できる。
だが——
目に見えない障壁が、
あなたを
阻む。
近づくことは、
できない。
10の門のうち——
9つは、
別の場所へと
繋がっている。
1つだけが——
彼女のもとへと、
続いている。
もし、
間違えれば——
また、
同じことが——
繰り返される。
10の門。
また、
彼女が見える。
また、
選ばなければならない。
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◆ 彼女が、試しているもの
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これは——
戦いの島ではない。
心を。
忍耐を。
そして——
意志を——
試す場所だ。
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◆ 本当の恐怖
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精神の、
拷問。
肉体の、
拷問。
感情の、
拷問。
時の、
拷問。
そして——
現実そのものの、
拷問。
あなたが戦っているのは——
彼女ではない。
あなた自身の、
心。
恐怖。
限界。
そして——
存在そのものだ。
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◆ 楽しめる者だけが、生き残る
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この島は——
深刻になりすぎた者を、
許さない。
焦り、
悩み、
行動できなくなった者は——
ただ、
立ち止まり続ける。
そして——
時だけが、
過ぎていく。
だが——
この試練そのものを——
楽しめる者。
門を選ぶことに、
恐れではなく——
興奮を見出せる者。
そんな者だけが——
先へと、
進んでいける。
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◆ 第181番目の門、その先に
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ついに、
彼女を見つけた者には——
第181番目の門が、
開かれる。
そして——
彼女は、
一つの取引を
持ちかける。
「1000の門を、
超えてみせよ。
そうすれば——
至高の能力を、
贈りましょう。」
だが——
この取引を受ける者は、
ごく、
わずかだ。
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◆ 受け入れた、5人の海賊
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これまで——
この挑戦を受け入れたのは、
たった、
5人。
その、
第1位は——
キャプテン・ジョーカー、
賢治隼人。
第2位は——
カイジョウ・ラン。
残りの、
3人の名は——
まだ、
明かされていない。
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◆ 覚えておくべきこと
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「あなたは、
私を強さで
見つけることはできない。
あなたは、
魂で——
私を見つけなければ
ならない。」
——シンラ・カスミ
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毎日19:00更新中。
これから始まる本編の中で、
この島の真の姿が——
少しずつ、
明らかになっていきます。
お楽しみに!
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