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第125章:ドミトリが遺したもの - 記憶の中に眠る優しさ

序章 - 遺すということ

遺すということは。

死ぬことではない。

遺された者の中で。

生き続けることだ。

言葉が遺れば。

声が遺る。

技術が遺れば。

手が遺る。

しかし。

最も深いところに遺るのは。

言わなかった優しさだ。

知っていて。

言わなかった。

してあげたくて。

できなかった。

そういう優しさが。

記憶の底に沈んでいる。

それを見つける者は。

遺した者が。

本当は何だったかを。

知ることができる。

第一章:早朝の発見 - 記憶の底で

闘技場 - 夜明け前

ケンジは練習を止めた。

突然に。

音楽が止まった。

千剣形の影が。

一本ずつ消えた。

何かが引っかかった。

記憶の底で。

何かが光った。

「何だ。」

ケンジは思った。

目を閉じた。

ドミトリの記憶の中に入った。

技術の記憶ではなかった。

別の記憶だった。

場面が来た。

夜の部屋だった。

ドミトリが本を読んでいた。

一人で。

灯りの下で。

本ではなかった。

よく見ると。

薬草の資料だった。

細かい文字で書かれた。

手書きの資料だった。

ドミトリはメモを取っていた。

丁寧に。

細かく。

何かを探すように。

ケンジはその記憶の中で。

ドミトリの視線を追った。

資料のある一行に。

線が引かれていた。

「精霊草と白月花の複合使用。」

「難病への効果が確認されている。」

ケンジは。

目を開けた。

「アリア。」

呟いた。

太陽がまだ出ていなかった。

しかしケンジは走り始めた。

アリアの部屋へ向かって。

第二章:アリアへの告知

宿舎 - 夜明け前

扉を叩いた。

強く。

三回。

「誰だ。」

中から声が来た。

アリアの声だった。

眠そうではなかった。

彼女も眠れていなかったのかもしれなかった。

「ケンジだ。」

「すぐに開けてくれ。」

扉が開いた。

アリアが立っていた。

服のままだった。

やはり眠っていなかった。

「何があった。」

アリアは言った。

戦闘態勢で。

即座に。

「ドミトリの記憶に。」

ケンジは言った。

「お前のことがある。」

アリアが止まった。

「入れ。」

アリアは言った。

声が変わった。

戦闘の声ではなくなった。

第三章:記憶の共有

アリアの部屋

二人が座った。

アリアが向かいに。

ケンジが前に。

「妹さんの病気について。」

ケンジは言った。

「ドミトリが調べていた。」

アリアは何も言わなかった。

ただ聞いていた。

「記憶の中に。」

ケンジは続けた。

「薬草の資料があった。」

「精霊草と白月花という薬草を。」

「組み合わせて使うと。」

「妹さんの病気に効くという記録が。」

「そこにあった。」

アリアは。

目を伏せた。

「いつから調べていた。」

アリアは聞いた。

「わからない。」

ケンジは言った。

「記憶の日付が読めなかった。」

「しかし。」

「しかし?」

「ドミトリがメモを取っていた資料は。」

ケンジは言った。

「かなり使い込まれていた。」

「端が折れていた。」

「何度も読み返した紙の痛み方だった。」

アリアは。

息を吸った。

深く。

長く。

「妹のことを。」

アリアは言った。

「私は誰にも言わなかった。」

「リスカレス様に嘘をついた。」

「依頼の理由を偽った。」

「知っている。」

ケンジは言った。

「ドミトリは知っていたのか。」

ケンジは少し考えた。

「言わなかったんだと思う。」

ケンジは言った。

「記憶の中に。」

「お前に伝えようとした場面がなかった。」

「ただ一人で調べていた。」

「なぜ言わなかったのか。」

ケンジは答えられなかった。

わからなかった。

しかし。

記憶の底に潜ると。

薄く。

何かが見えた。

「お前が一人で抱えたかったからかもしれない。」

ケンジは言った。

「ドミトリはそれを感じていた。」

「だから言わなかった。」

「しかし。」

「何もしなかったわけでもなかった。」

アリアは。

また黙った。

今度は長く。

「ドミトリらしいな。」

最終的に言った。

声が震えた。

最初だけ。

それだけだった。

第四章:夜明けの報告 - 私のところへ

私の書斎 - 朝

二人が来た。

アリアとケンジが。

並んで。

「マスター。」

アリアは言った。

「話があるか。」

私は言った。

顔を見てわかった。

重要な話だった。

「座れ。」

二人が座った。

ケンジが説明した。

簡潔に。

記憶の中にあったものを。

薬草の名前を。

ドミトリが調べていたことを。

私は聞いた。

全部聞いた。

「精霊草と白月花か。」

私は言った。

「知っていますか。」

アリアが聞いた。

「聞いたことがある。」

私は言った。

「しかし正確なことはわからない。」

「アクアに聞いた方がいい。」

「アクア様に。」

アリアは言った。

「三万年以上生きている。」

私は言った。

「薬草の知識も三万年分ある。」

「知っているかもしれない。」

「聞いてもいいのですか。」

アリアが言った。

「妹のことを。」

「話す必要はない。」

私は言った。

「薬草の名前だけ聞けばいい。」

「なぜ知りたいかは言わなくていい。」

「アクアは聞かない。」

「聞かないのですか。」

「聞く必要があると思えば聞く。」

私は言った。

「しかし大体において。」

「答えるために何かを知る必要はない。」

「知っていることを伝えるだけだ。」

アリアは頷いた。

「行ってみます。」

「ケンジ。」

私は言った。

「はい。」

「良くやった。」

ケンジは少し止まった。

「ドミトリがやったことです。」

ケンジは言った。

「私は見つけただけです。」

「見つけることも仕事だ。」

私は言った。

「遺したものを見つけなければ。」

「遺したことにならない。」

ケンジは頷いた。

「そうですね。」

二人が出ていった。

私は少し考えた。

ドミトリが一人で調べていた。

誰にも言わずに。

「どんな男だったのか。」

私は思った。

「一度も会わなかった。」

しかし。

その行動が。

今日ここで実を結んでいる。

「人は死んでも動ける。」

私は呟いた。

「遺したものを通して。」

第五章:アクアへの質問

厨房 - 朝

アリアが厨房に来た。

ケンジが後ろについていた。

アクアが振り返った。

「何ですか。」

「薬草について聞きたい。」

アリアは言った。

「何の薬草ですか。」

「精霊草と白月花だ。」

アリアは言った。

「この二つを複合使用した場合の効果を。」

「知っているか。」

アクアは包丁を置いた。

振り返った。

「知っています。」

アクアは言った。

アリアは息を止めた。

「話せますか。」

「まず。」

アクアは言った。

「なぜ聞くかを教えてください。」

「マスターは聞かないと言っていた。」

アリアは少し言いかけた。

「いいえ。」

アクアは言った。

「聞く必要があるから聞いています。」

「正確な情報を伝えるために。」

「状況を知らなければ正確に伝えられない。」

アリアはケンジを見た。

ケンジは頷いた。

「妹が病気だ。」

アリアは言った。

「難しい病気だ。」

「その病気に。」

「その二つの薬草が効くという記録があった。」

「本当かどうかを確認したかった。」

アクアは少し間を置いた。

「病名は。」

アリアが言った。

アクアは聞いた。

一言も逃さずに。

「知っています。」

アクアは言った。

アリアが止まった。

「その病気を見たことがありますか。」

「一万八千年前に。」

アクアは言った。

「多くの者がその病気にかかった地域がありました。」

「精霊草と白月花を使いました。」

「効果がありました。」

「効果が。」

アリアの声が。

少し変わった。

「ただし。」

アクアは続けた。

「ただし?」

「一万八千年前の方法です。」

アクアは言った。

「今と何かが違う可能性があります。」

「薬草の品質。」

「調合の比率。」

「使用方法。」

「それらを確認する必要があります。」

「確認できるか。」

「試みます。」

アクアは言った。

「ただ。」

「ただ?」

「妹さんの状態を知らなければ。」

アクアは言った。

「正確な調合ができません。」

「状態に合わせて比率を変える必要がある。」

「では。」

アリアは言った。

「妹のところへ行けるか。」

アクアは少し止まった。

「マスターの許可が必要です。」

アクアは言った。

「それは私から話す。」

アリアは言った。

「ありがとう。」

アリアは言った。

「初めてだ。」

「誰かに礼を言ったことが。」

「この件で。」

アクアは。

少し考えた後。

「私に礼を言わなくていい。」

アクアは言った。

「ドミトリ様に言ってください。」

「その記録を作ったのはドミトリ様です。」

「私はただ知っていただけだ。」

アリアは。

答えなかった。

しかし。

目に何かが光った。

一瞬だけ。

第六章:私への報告 - 許可の要請

書斎

「マスター。」

アリアが戻ってきた。

一人で。

「アクアに聞いたか。」

私は言った。

「聞きました。」

「知っていました。」

「一万八千年前に同じ病気を見ていると。」

「効果は。」

「あると言っていました。」

「ただし今の状態で確認が必要だと。」

「一つお願いがあります。」

アリアは言った。

「言え。」

「アクアを連れて。」

アリアは言った。

「妹のところへ行かせてほしい。」

私は少し考えた。

「アクアが外に出ることは問題ない。」

私は言った。

「妹さんはどこにいる。」

「北の村です。」

「二日の旅だ。」

「では三日で行って帰れる。」

私は言った。

「アクアに聞け。」

「行けるかどうかを。」

「あなたが許可してくれれば行くと。」

アリアは言った。

「すでに言っていました。」

「では許可する。」

私は言った。

「本当に良いのですか。」

アリアは言った。

「アクアは王国に必要な—」

「アクアに聞け。」

私は言った。

「行きたいかどうかを。」

「必要かどうかは私が決める。」

「アクアが必要なところに行けるのが。」

「この王国だ。」

アリアは黙った。

「ありがとうございます。」

言った。

「礼はアクアに言え。」

私は言った。

「私は許可しただけだ。」

「アクアはドミトリに言えと言いました。」

アリアは言った。

「ではドミトリに言え。」

私は言った。

「行き方はそれぞれが知っている。」

アリアは頷いた。

出ていった。

私は書類に戻った。

しかし。

少しの間。

書類を見ずにいた。

「ドミトリ。」

私は呟いた。

「一度も会わなかったが。」

「お前のことを少し知った気がする。」

第七章:出発の準備 - アクアとアリア

翌日の朝

アクアが荷物を準備していた。

少ない荷物だった。

薬草の道具。

調合に必要な器具。

自分の衣類が少し。

ハナが来た。

「アクア姉!行くの?」

「はい。」

アクアは言った。

「どこへ?」

「北の村へ。」

「アリア様の妹さんのところへ。」

「ハナも行く!」

「来てもいいですが。」

アクアは言った。

「仕事があります。」

「仕事?」

「薬草を集めながら歩きます。」

アクアは言った。

「道中に必要な薬草があるかもしれない。」

「ハナの目は良い。」

「役に立てます。」

ハナは喜んだ。

「行く!絶対行く!」

「マスターに言ってください。」

アクアは言った。

「私では決められない。」

ハナが走った。

五分後に戻ってきた。

「いいって!」

「そうですか。」

アクアは言った。

「では三人で行きます。」

「アリア姉も。」

ハナは言った。

「怖い顔してたよ。」

「怖い顔ですか。」

「緊張してるのかも。」

ハナは言った。

「妹に会うんだもん。」

アクアは少し考えた。

「緊張する理由がわかります。」

アクアは言った。

「アクア姉もする?緊張。」

「します。」

アクアは言った。

「初めての薬を作る時は。」

「いつも緊張します。」

「アクア姉でも緊張するんだね。」

ハナは言った。

「三万年生きても。」

アクアは言った。

「初めてのことは緊張します。」

「そっか。」

ハナは頷いた。

「じゃあ一緒に緊張しようね。」

アクアは。

ハナを見た。

「一緒に緊張する。」

アクアは繰り返した。

「そういう言い方があるのですね。」

「だって一人で緊張するより。」

ハナは言った。

「一緒の方が楽じゃん。」

アクアは。

また少し微笑んだ。

第八章:旅の始まり - 北へ

正門前 - 朝

三人が揃った。

アリア。

アクア。

ハナ。

私が見送りに来た。

「アクア。」

私は言った。

「何ですか。」

「無理はするな。」

私は言った。

「できることをする。」

「できないことはできないと言え。」

「はい。」

「アリア。」

「はい。」

「アクアの判断に従え。」

私は言った。

「薬草のことはアクアが上だ。」

「口を出すな。」

「わかっています。」

「ハナ。」

「はい!」

「二人をよく見ていろ。」

私は言った。

「お前の目が役に立つ時がある。」

「任せて!」

馬車が来た。

三人が乗った。

アクアが窓から私を見た。

「行ってきます。」

アクアは言った。

「ああ。」

私は言った。

「行ってらっしゃい。」

馬車が動き始めた。

北へ向かって。

リスカレスが後ろに来た。

「心配ですか。」

「少し。」

私は言った。

「アクアが行けば大丈夫です。」

リスカレスは言った。

「お前がそう言うのか。」

「はい。」

リスカレスは言った。

「アクアは三万年の記憶を持っています。」

「薬草の知識もその中にある。」

「信頼できます。」

「信頼している。」

私は言った。

「しかし心配はする。」

「それが人間だ。」

リスカレスは少し間を置いた。

「...そうですね。」

言った。

第九章:旅の道中 - 薬草の話

北への道 - 一日目

馬車が揺れていた。

野原を抜けていた。

アリアは窓の外を見ていた。

黙って。

何かを考えながら。

「一つ聞いていいですか。」

アクアが言った。

アリアが振り向いた。

「何だ。」

「妹さんはいつから病気ですか。」

「五年前から。」

アリアは言った。

「五年。」

アクアは繰り返した。

「長い時間です。」

「そうだ。」

「どんな様子ですか。」

アクアは続けた。

「動けない。」

アリアは言った。

「体に力が入らない。」

「少し動くと疲弊する。」

「食べることもあまりできない。」

アクアは聞きながら。

何かを考えていた。

「一万八千年前に見た症状と同じです。」

アクアは言った。

「では効く可能性が高いか。」

「可能性はあります。」

アクアは言った。

「ただし。」

「ただし?」

「五年という期間が気になります。」

アクアは言った。

「一万八千年前は。」

「早い段階で処置できた者は回復しました。」

「しかし時間が経った者は。」

「回復に時間がかかりました。」

「回復できなかった者も。」

アリアは言った。

確認するように。

「います。」

アクアは正直に言った。

「しかし。」

「しかし。」

「一万八千年前より。」

アクアは言った。

「今の薬草は質が上がっています。」

「精霊草も白月花も。」

「当時より効果が強い。」

「それがプラスに働くかもしれません。」

「わからないということか。」

アリアは言った。

「わかりません。」

アクアは言った。

「見てから判断します。」

「見ないと正確なことは言えません。」

「正直だな。」

アリアは言った。

「嘘をついても意味がありません。」

アクアは言った。

「そうだな。」

ハナが窓から顔を出した。

「あ!あの草!見て!」

「どれですか。」

アクアが前に来た。

「あの白い花がついてる草!」

アクアは目を細めた。

「止めてください。」

アクアは御者に言った。

馬車が止まった。

アクアが降りた。

草原の端に向かった。

かがんだ。

草を確認した。

「白月花です。」

アクアは言った。

「ここにある。」

「必要な量はありますか。」

「十分あります。」

アクアは言った。

「集めておきます。」

アクアが集め始めた。

ハナが手伝った。

二人で。

静かに。

丁寧に。

アリアは馬車から見ていた。

アクアの手つきを。

三万年の手が。

草を選ぶ様子を。

「ドミトリ。」

アリアは小声で言った。

誰にも聞こえないように。

「お前が調べていたものを。」

「今採っている。」

「良かった。」

アリアは言った。

「無駄にならなくて。」

第十章:到着 - 北の村

二日後 - 北の村

小さな村だった。

静かな村だった。

遠くに山が見えた。

木が多かった。

アリアが先に降りた。

一つの家に向かった。

扉を叩いた。

開いた。

女の子が立っていた。

十六歳くらいに見えた。

白い顔だった。

アリアに似た顔だった。

しかし。

アリアより細かった。

目の下に影があった。

五年という時間が。

体に書かれていた。

「姉さん。」

少女は言った。

「来た。」

アリアは言った。

それだけだった。

言葉が少なかった。

しかし。

その少なさに。

二年分の距離が凝縮されていた。

アクアが前に出た。

「アクアといいます。」

アクアは言った。

「妹さんを診させてもらえますか。」

少女はアクアを見た。

白い髪を。

青い目を。

穏やかな顔を。

「お姉さんが連れてきてくれた方ですか。」

「はい。」

「入ってください。」

少女は言った。

エピローグ - それぞれの夜

北の村 - 夜

三人は村に泊まった。

少女の家に。

アクアは昼間。

少女を診た。

触れた。

霊的なエネルギーを通した。

状態を確認した。

夜。

アクアは外に出た。

星を見ながら。

道中で集めた白月花を。

手に持ちながら。

アリアが来た。

隣に立った。

「どうだった。」

アリアは聞いた。

「今日診た限りでは。」

アクアは言った。

「回復できると思います。」

アリアは黙った。

長い間。

「確信か。」

「確信はありません。」

アクアは言った。

「しかし。」

「一万八千年前に見た状態より。」

「今の妹さんの状態の方が良い。」

「五年という期間は長いですが。」

「体が残っている。」

「残っているということは。」

「戻れるということです。」

アリアは。

また黙った。

「明日から薬を作ります。」

アクアは言った。

「三日かかります。」

「調合の比率を確認しながら作るので。」

「三日ここにいていいのか。」

アリアは言った。

「マスターへの義理として。」

「マスターが行けと言いました。」

アクアは言った。

「必要な時間をかけろということです。」

アリアは頷いた。

「一つ聞いていいか。」

アリアは言った。

「何ですか。」

「なぜ来てくれた。」

アリアは言った。

「アクアにとって。」

「私の妹は関係のない人間だ。」

「なぜ来てくれた。」

アクアは少し考えた。

「マスターが許可した。」

アクアは言った。

「それだけか。」

「それだけではありません。」

アクアは言った。

「来たかったから来ました。」

「来たかった。」

アリアは繰り返した。

「ドミトリ様が調べていました。」

アクアは言った。

「知らない方が調べていた。」

「その方はもういない。」

「ならば私が続けます。」

「それが自然に思えました。」

「ドミトリのことを知らないはずだ。」

アリアは言った。

「知りません。」

アクアは言った。

「しかし。」

「知らない方の行動を見れば。」

「どんな方かはわかります。」

「一人で調べていた方です。」

「言わずにいた方です。」

「それは優しい方です。」

アリアは。

空を見た。

星が多かった。

「そうだな。」

アリアは言った。

「優しい男だった。」

「では。」

アクアは言った。

「その優しさを。」

「完成させます。」

「完成させる。」

アリアは繰り返した。

「ドミトリ様が始めた。」

アクアは言った。

「私が続ける。」

「妹さんが回復する。」

「それが完成です。」

アリアは。

何も言わなかった。

言えなかった。

夜風が来た。

白月花の香りが乗っていた。

「明日から。」

アクアは言った。

「作ります。」

「頼む。」

アリアは言った。

声が少し違った。

普通の声とは違った。

アリアが誰かに頼む時の声だった。

アクアは頷いた。

何も言わなかった。

ただ頷いた。

それで十分だった。

同じ夜。

ドラゴンハート王国では。

ケンジが練習をしていた。

夜の闘技場で。

音楽を感じながら。

影が五十八本になっていた。

また増えた。

ケンジは止まった。

手を見た。

「ドミトリ。」

ケンジは言った。

「北の方でアクアが。」

「お前が調べていたものを続けている。」

「俺も続ける。」

ケンジは言った。

「千剣形を完成させる。」

「それがお前への返し方だ。」

また動いた。

音楽が流れた。

影が広がった。

ドミトリが遺したものが。

今夜も動いていた。

北の村で。

王国の闘技場で。

それぞれの形で。

遺すということは。

死ぬことではなかった。

遺された者が。

動き続ける限り。

遺した者も。

動き続ける。

それが。

今夜の答えだった。


【キャラクター設定公開】二つの道が分かれた日——サチコとナビ

皆さん、こんにちは!

「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。


今回公開するのは——


サチコが、まだ

海賊にすらなる前の物語。


彼女には——

一人の親友がいました。


その名は——


ナビ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 母なる港の島で

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


二人は、同じ島で育った。


18歳になれば——

島を出る自由が

与えられる。


サチコと、ナビ。


夢を追う日が、

ついにやってくる。


だが——


二人の夢は、

同じではなかった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 二人の対話

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ナビ、私たちもうすぐ18歳ね。

 島を出たら——

 一緒に冒険を始めない?」


「私も島を出たい。

 でも——

 戦いたいわけじゃない。


 ただ、世界を旅して、

 新しい島を見つけて、

 海の自由を

 楽しみたいだけなの。」


「そう。

 なら、私の夢は違う。


 私は"海賊女王"になる。

 そのためには——

 避けられない戦いがある。」


「なら、私たちの夢は

 違う道を行くのね。


 私は、あなたのクルーには

 入れない。」


「構わない。

 あなたは私より

 二ヶ月早く生まれた。


 だから——

 先に島を出るのは、

 あなたの方ね。」


「そうね。

 征服することじゃなく、

 探検することを

 夢見る人たちと

 一緒に旅をするわ。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 二人の約束

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「なら、約束をしましょう。


 次に会う時は——

 お互い、

 自分のクルーの船長に

 なっていること。」


「約束するわ。


 世界最強のクルーを集めて、

 あらゆる伝説の島を征服して、

 いつか——


 私は、海賊女王になる。」


「その日まで——

 サチコ、

 どうか無事で。


 海が、あなたを

 海賊女王への道へと

 導きますように。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 二つの未来、一つの海

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


サチコの未来——


世界最強のクルーを集め、

マリンフォースに挑み、

ウィズダム・アイランドを、

カースド・アイランドを、

そして深淵の海すらも越える。


いつか、すべての海が

"海賊女王"の名の下に

頭を垂れる。


ナビの未来——


地平線の彼方へ帆を広げ、

誰も見たことのない土地を巡り、

新しい出会いを重ね、

誰も書いたことのない旅行記を

綴っていく。


彼女の旅は——

戦いではなく、

驚きに満ちている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「海は、すべての約束を

覚えている。」


「いつか——

私たちは、また会う。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


毎日19:00更新中。


「サチコとナビ、また会える日が来ると思いますか?」


コメントで聞かせてください。


お楽しみに!


#世界設定 #サチコ #ナビ #ライトノベル #ダークコンチネント #二つの道


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