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第126章:届いた - それぞれの形の感謝

序章 - 感謝には形がない

感謝とは。

不思議なものだ。

言葉にすれば。

「ありがとう」になる。

行動にすれば。

頭を下げることになる。

しかし。

本当の感謝は。

言葉にも行動にも。

収まらないことがある。

胸の中で。

ただ溢れている。

どこにも出ていけずに。

ただ溢れている。

そういう感謝は。

一番重い。

一番深い。

そして。

一番長く続く。

第一章:三日目の夜明け - 薬の完成

北の村 - 三日目の夜明け前

アクアは一睡もしなかった。

三日間。

調合を続けていた。

白月花を砕いた。

精霊草を煮出した。

比率を変えながら。

少女の状態に合わせながら。

一万八千年前の記憶を手元に置きながら。

それでも確認しながら。

丁寧に。

丁寧に。

ハナが横で見ていた。

最初の夜は手伝おうとした。

二日目は黙って見ていた。

三日目は。

ただそこにいた。

邪魔せずに。

いなくなりもせずに。

「ハナ。」

アクアは言った。

夜明けが近い時間に。

「はい。」

「お湯を用意してくれますか。」

「できた?」

ハナは聞いた。

「もう少しです。」

アクアは言った。

「最後の工程があります。」

ハナは走った。

お湯を運んできた。

こぼさずに。

急いで。

アクアは受け取った。

小さな白い粉を。

お湯に溶かした。

かき混ぜた。

色が変わった。

淡い青になった。

「これが薬ですか。」

ハナは聞いた。

「はい。」

アクアは言った。

「完成しました。」

ハナは薬を見た。

淡い青が。

夜明けの光に照らされた。

きれいだった。

「アクア姉。」

ハナは言った。

「何ですか。」

「三日間眠れなかったんだよね。」

「はい。」

「すごいね。」

アクアは少し考えた後。

「三万年あれば慣れます。」

言った。

「それだけじゃないと思う。」

ハナは言った。

「何が。」

「アクア姉が一生懸命だったのは。」

ハナは言った。

「慣れてるからじゃないと思う。」

アクアは止まった。

「なぜそう思うのですか。」

「顔が違ったから。」

ハナは言った。

「いつもの顔じゃなかった。」

「もっと真剣な顔だった。」

「好きなことをしてる顔だった。」

アクアは。

薬を見た。

淡い青を。

「そうかもしれません。」

アクアは言った。

「三万年で。」

「この作業が一番好きかもしれない。」

「何が好きなの?」

「助けられるかもしれない時です。」

アクアは言った。

「まだわからない時が。」

「一番集中できます。」

ハナは頷いた。

「わかった。」

「アクア姉はそういう人だね。」

第二章:少女への薬 - 飲む瞬間

少女の部屋 - 夜明け

アリアを起こした。

「できました。」

アクアは言った。

アリアは即座に起き上がった。

眠っていなかった。

三日間。

アクアと同じように。

少女の部屋に入った。

三人で。

少女は目を開けていた。

夜明けの光が少し差し込んでいた。

その光の中で。

少女はアクアを見た。

「できましたか。」

少女は言った。

五年で疲れた声だったが。

力があった。

三日間。

誰かが自分のために戦っているということを。

知っていた者の声だった。

「できました。」

アクアは言った。

「飲める状態ですか。」

「はい。」

アクアは薬を渡した。

小さなカップに。

淡い青の液体が入っていた。

「苦いですか。」

少女は聞いた。

「少し苦いです。」

アクアは正直に言った。

「しかし飲みにくいほどではありません。」

少女はカップを持った。

手が少し震えた。

五年分の体の弱さだった。

アリアが手を添えた。

何も言わずに。

ただ支えた。

少女が飲んだ。

一口。

また一口。

全部。

静かだった。

誰も声を出さなかった。

「少し甘い。」

少女は言った。

飲み終わって。

「甘い?」

アクアは少し驚いた。

「苦い後に甘くなりました。」

少女は言った。

「そうですか。」

アクアは言った。

「良かった。」

「なぜ良かったのですか。」

「一万八千年前に。」

アクアは言った。

「回復した者も。」

「甘いと言っていました。」

「回復する者に起きる反応かもしれません。」

アリアが。

少女の手を握った。

強く。

少女は。

アリアを見た。

「姉さん。」

「ああ。」

「怖い顔してる。」

少女は言った。

「怖い顔か。」

「泣きそうな顔とも言う。」

少女は言った。

かすかに笑いながら。

アリアは。

何も言わなかった。

手の力が少し強くなった。

それだけだった。

第三章:夜の変化

その夜

変化が来た。

少女が眠っていた時に。

アクアが感じた。

霊的なエネルギーが動いた。

少女の体の中で。

「これは。」

アクアは呟いた。

アリアが気づいた。

「「何だ。」**

「体が薬を受け入れています。」

アクアは言った。

「霊的な反応が起きています。」

「良い反応です。」

「回復するか。」

「方向が変わりました。」

アクアは言った。

「どういう意味だ。」

「五年間。」

アクアは言った。

「体は悪化する方向に向かっていた。」

「今夜。」

「その方向が変わった。」

「回復する方向に向き始めた。」

「確かなことか。」

「体の反応は嘘をつきません。」

アクアは言った。

「時間はかかります。」

「何ヶ月もかかるかもしれない。」

「しかし方向は変わった。」

アリアは。

少女の寝顔を見た。

穏やかだった。

三日前より穏やかだった。

「ドミトリ。」

アリアは言った。

声が低かった。

誰にも聞こえないように。

「やっと届いた。」

「お前が調べていたものが。」

「やっと届いた。」

ハナが横で聞いていた。

しかし何も言わなかった。

聞いてはいけないことを聞いたと。

感じた。

しかし。

それが悲しいことではなかった。

大切なものを目撃したという感覚があった。

アクアも黙っていた。

少女の体の変化を。

感じ続けながら。

「明日もう一度薬を飲ませます。」

アクアは言った。

「その後。」

「一週間おきに飲み続けてください。」

「材料は十分集めました。」

「三ヶ月分あります。」

「三ヶ月で足りるか。」

アリアは聞いた。

「三ヶ月で回復の見込みが立ちます。」

アクアは言った。

「完全な回復はもっとかかるかもしれない。」

「しかし三ヶ月後には。」

「状態が判断できます。」

「わかった。」

「調合の方法は書き残します。」

アクアは言った。

「ドラゴンハートに戻っても。」

「材料があれば続けられます。」

「同じものが作れます。」

「なぜそこまでしてくれる。」

アリアは言った。

「来てくれただけで十分だった。」

「書き残さなければ完成しません。」

アクアは言った。

「始まりで止まった仕事は。」

「完成ではありません。」

「終わりまで届かせます。」

アリアは。

アクアを見た。

長い間。

「ありがとう。」

アリアは言った。

珍しく。

素直に。

全部を込めて。

アクアは。

少し間を置いた後。

「ドミトリ様に言ってください。」

また言った。

アリアは。

また何も言わなかった。

しかし今度は。

目に何かが来た。

止めなかった。

流した。

音もなく。

一粒だけ。

ハナは見ていなかった。

窓の外を見ていた。

気を利かせていた。

第四章:帰りの馬車 - アリアの手紙

帰路の馬車 - 翌日

少女に別れを告げた。

少女は扉の前まで来た。

自分で立った。

三日前より体が動いていた。

「また来てくれますか。」

少女はアクアに聞いた。

「また来ます。」

アクアは言った。

「次は別の料理も持ってきます。」

少女が少し笑った。

元気な笑いだった。

「楽しみにしています。」

馬車が動いた。

アリアは途中で。

書くものを取り出した。

紙とペンを。

「何を書くのですか。」

ハナが聞いた。

「ケンジへの手紙だ。」

アリアは言った。

「どんな手紙?」

「お前には関係ない。」

アリアは言った。

しかし声は柔らかかった。

ハナは黙った。

素直に。

アリアは書いた。

長くはなかった。

短い手紙だった。

しかし書くのに時間がかかった。

何度も書き直した。

消した。

また書いた。

最終的に。

こう書いた。

「ケンジへ。」

「届いた。」

「ドミトリが調べていたものが届いた。」

「妹の体が動き始めた。」

「ドミトリに伝えてくれ。」

「ありがとうと。」

「お前が一人で調べていたものが届いたと。」

「お前のおかげだと。」

「私はずっと一人で抱えていたが。」

「実は一人ではなかったと知った。」

「それも伝えてくれ。」

「アリアより。」

封じた。

ポケットにしまった。

アクアは見ていなかった。

窓の外を見ていた。

山が見えた。

木が見えた。

北から南に向かう景色が。

流れていった。

「アクア。」

アリアは言った。

「何ですか。」

「また来てくれるか。妹のところへ。」

「来ます。」

アクアは言った。

窓の外を見たまま。

「なぜそこまでするのか聞いたが。」

アリアは言った。

「まだわからない。」

アクアは振り返った。

「少しわかりましたか。」

「いや。」

アリアは言った。

「ただ。」

「ただ?」

「感謝している。」

アリアは言った。

「それだけは確かだ。」

アクアは少し間を置いた。

「それで十分です。」

アクアは言った。

馬車は走り続けた。

第五章:王国への帰還

ドラゴンハート王国 - 翌日

正門が見えた時。

ハナが声を上げた。

「帰ってきた!」

アクアは窓から見た。

龍の旗が揺れていた。

市民が歩いていた。

受付ホールから声が聞こえた。

「帰ってきた。」

アクアは言った。

小さく。

「どうした?」

アリアが聞いた。

「いいえ。」

アクアは言った。

「帰ってくる感じがします。」

「また。」

「また?」

「エルフの国から帰った時も感じました。」

アクアは言った。

「旅をして。

帰ってくる。」

「それが。」

「まだ新鮮です。」

「三万年生きていて。」

アリアは言った。

「帰るという感覚が新鮮とは。」

「帰る場所ができたのが。」

アクアは言った。

「最近のことなので。」

アリアは何も言わなかった。

しかし。

考えていた。

馬車が門をくぐった。

私が待っていた。

いつものように。

「お帰り。」

私は言った。

「ただいまです。」

アクアは言った。

「どうだった。」

私はアクアに聞いた。

「完成しました。」

アクアは言った。

「方向が変わりました。」

「良かった。」

私は言った。

「ただいまー!」

ハナが飛んだ。

私の周りを一周した。

「お帰り。」

私は言った。

「お土産があるよ!」

ハナは言った。

「村のお菓子!」

「後で食べよう。」

アリアが最後に降りた。

私の前に立った。

「マスター。」

アリアは言った。

「何だ。」

「ありがとうございました。」

アリアは言った。

頭を下げた。

深く。

「私は何もしていない。」

私は言った。

「許可してもらいました。」

アリアは言った。

「それが全てでした。」

「アクアに言え。」

私は言った。

「言いました。」

「アクアはドミトリに言えと言いました。」

「ではドミトリに言え。」

「ケンジに伝えてもらいます。」

アリアは言った。

「そうしろ。」

私は言った。

アリアは頭を上げた。

「ケンジはどこにいますか。」

「闘技場だ。」

私は言った。

「朝から夜まで。」

「三日間ずっと。」

アリアは頷いた。

歩き始めた。

闘技場へ向かって。

第六章:闘技場での再会

闘技場

ケンジは動いていた。

音楽を感じながら。

影が六十三本になっていた。

扉が開いた。

アリアが入ってきた。

ケンジは気づいた。

動きを止めた。

二人は向かい合った。

「帰ったか。」

ケンジは言った。

「帰った。」

アリアは言った。

「妹さんは。」

「方向が変わった。」

アリアは言った。

「良かった。」

ケンジは言った。

シンプルに。

それだけ言った。

「手紙がある。」

アリアはポケットから出した。

「ドミトリへの。」

「お前が読んで。」

「伝えてくれ。」

ケンジは受け取った。

封を開けた。

読んだ。

静かだった。

闘技場が静かだった。

ケンジは読み終えた。

しばらく。

手紙を見ていた。

「伝える。」

ケンジは言った。

「どうやって。」

アリアは言った。

「練習しながら。」

ケンジは言った。

「ドミトリの記憶の中に伝える。」

「やり方があるかわからないが。」

「試す。」

「やり方がわからないのにやるのか。」

「ドミトリが一人で調べていた。」

ケンジは言った。

「方法も確信もなかったかもしれない。」

「しかしやった。」

「だから届いた。」

「俺も試す。」

アリアは。

ケンジを見た。

「...そうだな。」

最終的に言った。

「行ってくれ。」

ケンジは言った。

「休め。」

「三日間眠っていないだろう。」

「お前が眠れていないのもわかる。」

アリアは言った。

「俺は眠れている。」

ケンジは言った。

「夢の中でドミトリが笑っているから。」

「悪い夢じゃない。」

アリアは。

それを聞いた。

「そうか。」

言った。

「では俺も眠れるかもしれない。」

「今夜。」

「眠れる。」

ケンジは言った。

確信を持って。

アリアは出ていった。

ケンジはまた動き始めた。

手紙を胸にしまいながら。

音楽が流れた。

今日の音楽は。

少し違った。

軽かった。

重みが抜けた分だけ。

速く流れた。

影が七十二本になった。

今日で最多だった。

第七章:夜の王国 - それぞれの場所で

同夜

王国の夜が来た。

アリアは眠った。

三日ぶりに。

夢を見た。

少女が走っていた夢だった。

病気になる前の少女が。

走っていた。

アクアは厨房にいた。

疲れているはずだったが。

厨房に入った。

明日の朝食の仕込みを始めた。

ハナが来た。

「また仕込みしてる。」

「はい。」

「アクア姉は疲れないの?」

「疲れます。」

アクアは言った。

「しかし厨房にいると落ち着きます。」

「休まなくていいの?」

「手を動かすことが休息です。」

アクアは言った。

「私の場合は。」

ハナは少し考えた。

「じゃあ私は?」

ハナは言った。

「私の休息は何だろう。」

「わかりません。」

アクアは言った。

「しかし。」

「しかし?」

「ハナが一番ハナらしい瞬間を探せばいい。」

アクアは言った。

「そこが休息になります。」

ハナは考えた。

真剣に。

「飛んでる時かな。」

ハナは言った。

「花から花へ飛んでる時が。」

「一番ハナっぽい気がする。」

「ではそれが休息です。」

アクアは言った。

「じゃあ今から飛んでこようかな。」

「夜ですが。」

「夜の花もきれいだもん。」

ハナは飛んでいった。

夜の庭へ。

アクアは仕込みを続けた。

一人で。

包丁の音を立てながら。

私が通りかかった。

廊下を歩いていた時に。

厨房の灯りが見えた。

「まだいたのか。」

私は扉を開けて言った。

「はい。」

アクアは振り返らずに言った。

「休め。」

「手を動かすことが休息です。」

アクアは言った。

「ハナにも同じことを言ったか。」

「ハナには。」

アクアは言った。

「飛ぶことが休息だと言いました。」

「では私の休息は何だ。」

私は言った。

アクアは少し止まった。

「わかりません。」

アクアは言った。

「マスターが一番マスターらしい瞬間を探せばいい。」

「自分ではわかりにくい。」

私は言った。

「では私が見つけたら教えます。」

アクアは言った。

「頼む。」

私は言った。

椅子を引いた。

座った。

「食べますか。」

アクアは聞いた。

「何を作っている。」

「明日の朝食の仕込みです。」

「しかし余りがあります。」

「では少しもらおう。」

私は言った。

アクアが小さな皿を出した。

仕込みの余りを少し盛った。

シンプルなものだった。

切った野菜と。

残りのスープと。

パンが少し。

「旅の後なのに。」

私は言った。

「料理をしている。」

「旅の前より材料が豊富です。」

アクアは言った。

「北の村で少し集めました。」

「道中にも白月花以外にも良いものがあった。」

「試したい料理があります。」

「試してみろ。」

私は言った。

「明日。」

アクアは言った。

「今日は疲れているので。」

「基本的なものにします。」

「自分で疲れたと言うのか。」

私は少し驚いた。

「ハナに言われました。」

アクアは言った。

「疲れているのに疲れないと言うのは。」

「正直ではないと。」

「ハナに言われたのか。」

「はい。」

「ハナも成長している。」

私は言った。

「そうですね。」

アクアは言った。

「私より。」

「人間のことをわかっている気がします。」

「三万年より。」

私は言った。

「若い感性の方が。」

「わかることがある。」

「三万年の敗北ですね。」

アクアは言った。

「敗北ではない。」

私は言った。

「学びだ。」

アクアは。

包丁を動かしながら。

「学び。」

繰り返した。

「三万年で。」

アクアは言った。

「まだ学んでいます。」

「それが正しい。」

私は言った。

夜の厨房に。

包丁の音と。

食べる音が。

重なっていた。

第八章:ケンジの誓いの夜

闘技場 - 深夜

ケンジは練習を止めた。

深夜になっていた。

汗を拭いた。

床に座った。

ドミトリの記憶に入った。

技術の記憶ではなかった。

人の記憶に入った。

静かな場所にいた。

ドミトリの記憶の中の静かな場所。

ケンジは手紙を取り出した。

読んだ。

声に出して。

誰にも聞こえなくていいから。

声に出した。

「ドミトリへ。」

「届いた。」

「お前が調べていたものが届いた。」

「妹の体が動き始めた。」

「ありがとう。」

「お前が一人で調べていたものが届いたと。」

「お前のおかげだと。」

「私はずっと一人で抱えていたが。」

「実は一人ではなかったと知った。」

「アリアより。」

読み終えた。

ケンジは黙った。

記憶の中で。

何かが来た。

感じた。

来たのかどうかわからなかった。

しかし。

感じた。

笑う感じが。

ドミトリが笑う感じが。

記憶の中から来た。

「良かった。」

ケンジは言った。

誰にも聞こえないように。

「届いたぞ。」

「お前が遺したものが。」

記憶が少し温かくなった気がした。

気がしただけかもしれなかった。

しかし。

それで十分だった。

ケンジは立ち上がった。

今夜は眠れると思った。

悪い夢ではない夢が。

来ると思った。

エピローグ - 感謝の形は一つではない

夜が深まった。

王国が静かになった。

様々な場所で。

様々な者が眠りについた。

アリアは走る妹の夢を見た。

ケンジは笑うドミトリの夢を見た。

ハナは夜の花の中で飛んでいた。

夢ではなく。

本当に飛んでいた。

アクアは仕込みを終えて。

厨房の灯りを消した。

廊下を歩いた。

自分の部屋へ。

途中で窓から空を見た。

星が多かった。

「ドミトリという方は。」

アクアは思った。

「良い方だったのだろう。」

「一万八千年前にも。」

「同じような方がいた。」

「名前は覚えていない。」

「しかし。」

「誰にも言わずに助けようとした者が。」

「いた。」

「いつの時代にも。」

アクアは思った。

「そういう者がいる。」

「そういう者がいるから。」

「世界はまだ続いている。」

部屋に入った。

ベッドに座った。

眠ろうとした。

眠れた。

珍しく。

すぐに。

夢を見た。

一万八千年前の草原だった。

白月花が咲いていた。

風が吹いていた。

誰かが薬を作っていた。

一人で。

黙って。

顔が見えなかった。

しかし。

背中が見えた。

真剣な背中だった。

その背中が。

少し。

ドミトリに似ていた。

気がした。

会ったことも見たこともないドミトリに。

しかし。

そう感じた。

感謝には形がなかった。

言葉でも。

行動でも。

夢の中でも。

ただ流れていた。

それぞれの場所で。

それぞれの形で。

ドミトリが遺したものは。

今夜も動いていた。

誰かの夢の中で。

誰かの練習の中で。

誰かの感謝の中で。

遺すということは。

やはり。

死ぬことではなかった。


【キャラクター設定公開】海賊の遺産——終わりなき海の姉妹

皆さん、こんにちは!

「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。


今回公開するのは——


サチコには、

まだ語られていない

"もう一つの家族"がいました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 紅潮の船長、オリビア

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


サチコには——

姉がいる。


キャプテン・オリビア。


海賊クルー「クリムゾン・タイド」を率いる、

冷静沈着な戦略家。


「私は、妹に——

 いつ死んでもおかしくない世界を

 生きてほしくない。


 だから、海から

 遠ざけていた。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ レンとの対話

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オリビアの副官——

剣聖レン。


「船長。妹さんは

 もう成長した頃では?」


「ええ。頑固なままよ。

 だから10年前、

 母なる港の島に

 預けたの。」


「会いに行きたいとは

 思わないんですか?」


「もちろん、思う。

 でも、私が会いに行けば——

 サチコは一緒に

 海へ出ると言い張るはず。


 それだけは、

 させたくない。」


「もう遅いのでは、

 船長。


 子供の頃から、

 姉が世界最高の海賊のひとりだった。

 その子が、同じ夢を

 見ないはずがない。


 俺たちは皆、

 海賊の家系に生まれた。

 自由は、俺たちの血に

 流れている。」


「本当に、サチコが

 海賊女王になると思う?」


「間違いなく。

 彼女は、ただの海賊には

 なりません。


 史上最強のクルーを

 築き上げるでしょう。」


「そうかもしれないわね。

 この一族は、

 昔から海に属している。」


「もうすぐ18歳です。

 その日が来れば、

 母なる港の島も

 彼女を解き放つ。」


「なら、世界は

 覚悟しておくべきね。


 いつか——

 キャプテン・サチコは

 ウィズダム・アイランドに挑み、

 カースド・アイランドを征服し、

 深淵の海を越え——


 "海賊女王"の名を

 手にする。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 血に流れる、自由への渇望

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


子供は、見て育ったものになる。


オリビアも、サチコも——

海賊一族に生まれた。


自由。

平和。

冒険。


それは、生まれながらに

彼女たちの血に

刻まれていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆ 姉が守り、妹が羽ばたく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オリビアは——

妹を海の危険から守るため、

あえて距離を置き続けた。


だが、サチコの中には——

姉と同じ血が、

静かに燃えていた。


いつか——


姉が築いた道の先を、

妹が超えていく。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「海は残酷だ。

だが——

夢を追う者にだけ、

報いを与える。」


「いつか、彼女は——

海賊女王になる。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


毎日19:00更新中。


「オリビアとサチコ、いつか海の上で再会すると思いますか?」


コメントで聞かせてください。


お楽しみに!


#世界設定 #オリビア #サチコ #レン #ライトノベル #ダークコンチネント #海賊一族


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