最恐の共鳴
ざくろと柚月は両手いっぱいに買い物袋を下げ寮の部屋へと帰って来た。
ドサっと荷物を床に置いたざくろはベッドに座りそのまま仰向けになる。
「はぁ〜…随分買い込んじまったな。おかげで今月の小遣いぶっ飛んだぜ」
「でも楽しかったね! また一緒にお買い物しようね!」
柚月も荷物を床に置きながら眩しい笑顔を向けると、ふん。と顔を逸らすざくろ。それを見ながらクスクス笑いながらざくろの横に柚月が座る。
するとざくろは起き上がり机の椅子へと座り直す。するとまた柚月がその隣の椅子に座り直し、またざくろはベッドへと座り…延々と座り直し追いかけっこ状態となる。
「何で追いかけてくんだ!?」
「何で逃げるの!?」
二人同時に声を揃えて言うと、ようやく追いかけっこは終わりざくろはベッドに座りその前に柚月が立つ構図となった。
ざくろは柚月を追い払うように右手を振る。
「くっつかれるとメンドイんだよ!」
「熱はおでこではかるのに?」
柚月の正論攻撃に言葉を詰まらせるざくろ。すると首を振りながら俯き観念したように話し出す。
「いやほら…あたし臭うし…」
唇を尖らせ顔を赤くして恥ずかしそうに言うざくろに柚月もはっとして自分の服を嗅いでみる。
汗ばむ季節になり一日歩いて回ったせいで二人共に健康的な芳香を体から放っていた。
「あはは…あたしもだ…スプレーいっぱいかけて出かけたんだけどなぁ…」
柚月の顔も真っ赤になり俯いてモジモジする。
しばらく沈黙した後柚月はもう一度ざくろの横に座り直す。
ざくろは柚月の言葉で意識してしまい、座った時にふわりと漂って来た柚月の芳香を感じ取る。
そしてその身に流れるざくろ母の最強の嗜みの血筋が疼いている事に気付き、またも慌てて机の椅子の方へと座り直した。
その様子を見て柚月は俯きさすがに落ち込んだ様子だった。
「あたしのこと…嫌いになっちゃった…?」
「悪ぃ…そうじゃねえんだ」
むしろ今まで心の奥底に封印されていた何かが噴き出し柚月のことを意識しているざくろ。
頭を掻きながら柚月の横に座り気持ちを吐露する。
「この前の招待会の時も見てたろ。あたしの臭いを楽しもうとする奴らのこと。奴らだけじゃなく学校中あたしの足の臭い狙ってやがる。同じ部屋のお前にまでそんなことされちゃ気が休まんねぇだろ」
「あたしはそんなことしないよ! あの時ざくろちゃんも楽しんでると思ってて…止めなくてごめんなさい…」
柚月は謝ると再び俯いて両手を膝の上で握り締める。
ざくろはそんな柚月を見て、ベッドの柚月の横にドカっと座り直して彼女の頭を自身の肩に抱き寄せニヤリと笑う。柚月は突然の事に頬を真っ赤に染めた。
「へっ! 高木がまともで良かったぜ。あたしら臭う者同士仲良くやってこうぜ」
「えぇー!? そんなの恥ずかしいよぉ! 普通のお友達でいいでしょ?」
柚月の言葉に今度はざくろが頬を真っ赤に染め、慌てて立ち上がると戸棚から二つタオルを取り出すと一つを柚月に投げつけた。
「鳥肌立つこと言うんじゃねえよ。外はあちぃのに寒気がして来たじゃねぇか! 風呂であったまろうぜ」
ざくろは柚月の手を取り引っ張り立たせる。柚月も笑顔で応える。
「うん! じゃあ洗いっこしよっか!」
「あ…やっぱ風呂やめるわ…」
一瞬で風呂キャンセル勢の仲間入りするざくろであった。




