最恐の告白
ざくろと柚月は不良達の祭りが開催され人の少なくなった休憩ベンチに二人並んで座り、花火の時間を待っていた。
「あたしのせいですまなかったな高木。お前に逃げるためとはいえ足踏ませちまったし。すまねえ!」
「ううん。あたしざくろちゃんの心の痛みを少しでも肩代わり出来て良かったよ。でもね?」
そう言うと柚月はざくろの方に小指を差し出す。
「もう暴力はあたしもざくろちゃんもこれっきり。本当に命が危ない時以外は絶対に暴力で解決はしない。お互いに約束しよ?」
ざくろは驚いた様子浮かべ、一度顔を逸らして俯き考えると柚月の方に向き直り自分の小指を差し出された小指に絡ませた。
「お前には勝てねぇな…わかったよ。約束してやるよ」
「ありがとう! それにしてもやっぱりざくろちゃんはすごいね! 街の人達がみんなざくろちゃんの味方なんだもん! 憧れちゃうなぁ」
「バッカ! あたしなんかに憧れてどうすんだよ。お前が誰かに憧れられるような奴になんなきゃデカくなれねえぞ? ほれ、お前に買ったミルクティーだ。ぬるくなっちまったけど飲みな」
そう言いながら笑顔でミルクティーを渡してくる小さなざくろの姿は、柚月の目には誰よりも大きく映った。
受け取ったミルクティーを大事そうに抱くと決意したようにざくろに言う。
「あたしはざくろちゃんみたいに誰かから頼られる人を目指す! そしてざくろちゃんが憧れてあたしを目指すようなお嬢様になってみせる!」
「へっ! あたしが簡単に憧れると思うなよ?」
「じゃあざくろちゃんこそあたしの目指すべき人であり続けてよ?」
「いいぜ。約束だ!」
「うん!」
再び指切りを交わす。
ざくろは真っ当に人のためになる人物に、柚月は真っ当にお嬢様(正統)に。
お互いがお互いを目指して高め合う、正に最強の相棒としてカクゴを交わした。
もうすぐ花火が打ち上がる時間。柚月は先程の事を思い出しざくろに尋ねる。
「ねえ、さっきあたしのこと初めて名前で呼んでくれたよね? もう一度…呼んでみて?」
顔を赤くしてはにかむ柚月にざくろも思い出し頬を染める。
「いや…あれはだな…そう! 柚子レモン! あたしが飲むはずだった柚子レモンジュースのことを言っただけだ!」
「ウソ!」
唇を尖らせ睨みつける柚月。ざくろは観念しゆっくりと口を開くと、
ドォーン!
花火の大音響がお祭り会場を包み込む。ざくろの口は確かに動き何か言葉を発しているのだが花火の音に掻き消され柚月の耳には全く届かなかった。
「え!? 何!? なんて言ってるの!?」
柚月が大声で聞き返す。
しばらくして花火と花火の間の一瞬の静寂が訪れ、柚月がもう一度ざくろに聞く。
「ねえざくろちゃん、今なんて言ってたの? 花火の音で聞こえなかったの!」
「へっ! そりゃラッキーだったぜ」
「ねえねえ! もう一回言って!」
「あんな小っ恥ずかしいこと二度と言えねぇよ! 自分で勝手に想像してな!」
顔を真っ赤にしてニヤっと笑い夜空を見上げるざくろ。
柚月はまたも唇を尖らせるが、ざくろの耳まで真っ赤になった横顔を見ながら笑顔になり、身を寄せ肩に寄りかかり夜空を見上げた。
ふわりと漂う健康的な柚月の芳香にお嬢様(変態)が覚醒しそうになるのを理性で抑えつつ、二人は一緒に花火を楽しむのだった。




