第98話
地震の話となっています。
読まない方が良いかもしれません。
作者の頭が悪いせいでこの内容になりました。
すいません。
ここは21世紀の日本じゃない。
震源地がどこか。
マグニチュードがいくらか。
そして何より震源がどこかによって津波の可能性がある。
震源が海か陸か。深さは?遠さは?
それによって少なくとも津波に関してはある程度の判断ができる。
でもわからない。
さっきの揺れは少なくとも震度5か6はあった。
あの時から少したってからテレビでたくさん放送されていた。
何人も逆らえない海の暴虐。
あれが来る。
思い出した。
いろいろあって焦ってて忘れてた。
日本から持ってきたトランシーバーを渡してた。
「大至急街の西門を出たところにある小山に集合。
なるだけみんなを連れてきて。
これは避難だ。
できるだけみんなを連れて来い。
大至急。大至急。
目印は火球。
大至急避難。西門。来い。火球へ
大至急避難。西門。来い。火球へ」
聞き取れなかった時のために連呼する。
回復したMPで火球を上空へ打ち上げる。
少しして(多分5分が10分だと思う)から
イル達が、男爵一行と移民を連れてきた。
馬車ごとだ。
荷物満載で、いつもの出立の風景がそこにある。
説得には苦労しただろう。
何しろ、地震イコール津波の定説なんて無いだろうから。
護衛であるはずのデスタパーティは居ない。
なにがあったか聞く暇は無い。
サミー達が、街の人を数十人?連れてきた。百人は居ないだろう。
説得には苦労しただろう。
以下同文。
ヒルダ達が、目いっぱいの荷物を抱えてやってくる。
薪、食料、水、布、木材。
まるで避難したあと数日から数週間をそこでしのがなければいけないのが解っていたかのような。
コリン達が、避難してくる。
誰も連れていない。
「当地の領主は聞く耳を持ちませんでした。
衛兵も街を離れるわけにはいかないと・・・・・」
全部で2500人が1メートル×1メートルの場所を確保できるようにした避難場所。
四角柱になるように壁を生んだ。
そこに登るために斜めに壁を生んで立てかけた。
斜度は35度位か。
急ではあるが、ゆるく作るにはMPと時間が足りない。
せめて滑らないようにつるつるではなくザラザラの質感にする。
99
ルドだけがまだ帰ってこない。
イルやサミーやヒルダやコリンに話を聞く。
ルドからの話と俺がした緊急放送に従って避難してきたらしい。
話を聞いている間に、それは起こった。
目の前に壁が立つ。
思わず時空魔法の『呼び寄せ』を発動する。
対象はルド。
『呼び寄せ』は発動者の認識している物(者)を手元に引き寄せる魔法だ。
質量や、対象の意思により使用MP量が激増する。
危うくMPを使い切って気絶するところだった。
引き寄せた瞬間もルドは「ひなんしてくささーい」って叫んでた。
そして
そこだけが残った。
かつて街であった場所。
かつて人々の笑顔と憂い顔と舌打ちと、と、と、と、とがあふれていた場所。
残ったのは全部で移民団を含めて2百人程。
見渡す限りの水面。
其の上に出ているのは、おそらく領主館の一部、教会の塔、冒険者ギルドの一部、
おそらく津波は10メートルを超えていたのだろう。
平屋や二階建ての建物はもう見えない。
塔や高台なんかが少し見えるだけ。
遠くの方に丘が見える。
あとは水面。
周囲数キロメートルは埋め尽くされただろう。