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第89話

サミーやイルのグループが戻ってくる。


「おそらくは全部拾えたと思いますが。」


3本の矢。


これでトータル10本になる。


陸人族の野盗の人数と一致する。


一人一本づつ俺たちの周りに魔呼薬をばらまく。


魔物をやり過ごして移民団を襲う。


生き残りの獣人は奴隷に、命を狙う対象は抹殺。


魔物との戦いの後の戦力の落ちた状況なら十人の野盗でも不可能ではない。


どころか、『残党を狩るだけの楽なお仕事』だろう。


急いでストレージにしまい込む。


「魔物は俺たちを囲むように120m程の距離にいる。

皆は敵が近づくまでは弓メイン。

イルはなるべく魔法禁止、ルドは派手に行け。」


指示だけすると自分の攻撃の番だ。


「火爆」


火魔法レベル3、複数の火球をホーミング式に飛ばして着弾と同時に爆発炎上する魔法だ。


地球でならソ連製RPG7か米国製M72みたいな対戦車ロケット的な攻撃。


しかも追尾式の複数発射なんて極悪非道。


命中した敵の周りも爆発炎上に巻き込まれて被弾する。


ライトの魔法無しでも明るいんじゃないの?ってくらい周りは絶賛炎上中だ。


あとで消火しないと大災害の元凶になっちゃうかも。





普段はメインを風魔法、たまに火魔法と光魔法、時空魔法で他の闇・土・水の魔法は使わずに隠しておいている。


今回もそれらは使わず隠しておく。


どこに敵の目が有るかわからない。


同じ護衛であるデスタパーティもいまいち信頼できないし。


ちなみに俺の魔法は四方八方に飛ばしたため、俺達を中心に半径100m位の同心円状に火の海だ。


そこから先に魔物がいても入ってこれないだろう。


とりあえず円内にいる魔物を狩る。


敵を分断して各個撃破するのは戦術のイロハのイだ。


「落とし穴から先に出るなよ。」


「深い穴だから落ちたヤツはとりあえず無視して他に当たれ。」


戦いになって頭に血が上ると、冷静な時に理解していたことも飛んでしまう、とモノの本で読んだことがある。


しつこいくらいに繰り返し言い続けるのが重要だそうだ。


「複数で一体に当たれよ~。」


「怪我なら全部治すから思いっきりいけ。」


皆を落ち着かせるためになるべくゆっくりと落ち着いた調子で喋る。


めぼしい成果はルドの風魔法1とイルの弓術3が稼いでいる。


他も致命傷には至らないものの弓で魔物に傷を与えている。


「火爆」


「旋風」


再度火魔法と風魔法を大量に放つ。


「旋風」は、風魔法レベル3、小さな竜巻が複数の敵に追尾式でまとわりつき、切り裂き続ける魔法だ。


今度は、四方八方ではなく俺達が受け持っている側の180度の範囲を殲滅するように放つ。


「こっちの残党は落とし穴とプーパル、ヨゼッティ、マルチダに任せて、他は反対側に回れ。」


ぐるりと囲まれていると物理的にやっかいだし、精神的にも嫌なものだ。


とりあえず担当している方向からはまともな侵攻はないだろう。


あちこちで魔物が火柱になっているし、落とし穴はあとで埋めなおすのが大変なくらい設置してある。


明るさもライトと火柱で問題ないから近づいてくるまでに弓や魔法でカタを付けられるだろう。





どのくらい魔物と戦っていたのか、時間の感覚がマヒし始めた頃、空に放ったライトの魔法の効力がいくつか切れはじめる。


あらかたの雑魚は駆除していることは気配察知が教えてくれている。


残りは、大物が二体。


牛頭のミノタウロスと馬頭のミノスタリオン(?)


どちらも大型の人型魔物だ。


牛頭馬頭って、どこの地獄の獄卒だよ。


それと野盗が10人。


デスタパーティは魔力が尽きたらしいデスタと女奴隷の魔法使いを龍の♀獣人が庇うようにして防御陣の内側にいる。


男爵と騎士・従士も防御陣を守っている。


つまり戦っているのは俺たちのメンツだけ。


「カウントダウンする。

 一になったら全員目をつぶれ。」


大声で仲間に伝える。


「三、二、一、フラッシュ」


光魔法のライトを、光度極大、継続時間最小で発動させた。


当然こちらを睨んでいる魔物は直視してしまい、視覚が奪われる。


ほんの数秒から数十秒だろうが今はそれが致命的だ。


極大ライトの効果が切れた瞬間、戦闘はとりあえず終わった。


ザンッ。


スパスパスパスパ。


ドゴン。


牛頭ことミノタウロスちゃんは『某死神』さんと『某切り裂き』さんによってオロサレ、


馬頭ことミノスタリオンちゃんは『某鉄拳』さんに長大な急所を一撃されショック死。


という悲しい結末を迎えた。


なんぼ魔法や弓でHP削られてたとはいえ・・・・


南無・・・・




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