第60話
120ブックマークありがとうございます。
書き溜めがまた枯渇寸前なのに9月は休日ゼロ。
10月も前半は無休とか。
三人を二十階層に連れて行ったあと、五階層に新人と俺の四人で移動する。
このダンジョンの五階層は比較的人型の魔物とよく遭遇する。
森で見たのとは多少違うので、ゴブリン的な魔物とコボルト的な魔物だ。
めんどくさいのでいちいち壽眼で確かめたりはしない。
ノーラとターナを前衛、コリナドーラは前衛と中衛をやらせてみる。
俺は後衛で監督だ。
なにも問題無いように見える。
十回ほど魔物と遭遇したが特に問題になるような行動は無かった。
人型も虫型も動物型も出てきたが、まぁ、普通に探索者としてやっていけるんじゃないかな。
多少の攻撃は受けるし、怪我はするが、回復役である俺がいれば問題ない範囲だ。
回復役の光魔法使いは希少らしいのでそれは無理としても、薬草や回復ポーションがあれば十分やっていけるだろう。
もっとも今メインで潜っている階層ではレベルが足りないだろうが。
錆びた斧を持ったゴブリン的な魔物が2匹現れると状況は、一変した。
ノーラとターナは足がすくんで動けなくなったのだ。
コリナドーラは相変わらずの良い動きだ。
1匹をコリナドーラの短剣が、もう一匹を俺の槌が片付ける。
ノーラとターナは元々同じパーティで探索者をしていたらしい。
そのとき、斧で武装した魔物にパーティを壊滅させられ、それぞれ腕を失う大怪我をしたと。
幸いにも逃げ切ることはできたが、治療のために奴隷にならざるを得なかったと。
なんかそんなの多いな、この世界。
死ぬよりはマシでしょって感じでみんな奴隷になる。
刑罰での奴隷は、労役刑。
借金のカタの奴隷は、労働力の対価としての借金の棒引き。
そう思えば、最低ランクの受け皿ってことなんだろうけど、現代日本の常識人としてはちょっと感覚の違いについていけないときもある。
何人も奴隷を買っておいて今更って感じもあるが、少なくとも俺は今まで、うちの奴隷に奴隷らしいことをさせたことは無いはずだ。
飢えさせたことは多分ないし、夜伽の強制もしてない(任意でもないけどさ)。
自由は多少制限してるかもしれないけど、俺が前に働いていた会社の社長と従業員達との関係を考えるんだったら、同じか少しマシなんじゃないかと思う。
地球でも、奴隷制について問題になったのは、宗教的観点や、労働力を人手ではなく機械で代替できるようになったここ百年から二百年くらいだ。
いまのこの世界の文明レベルでは、いくら魔法が便利でも、労働力としての奴隷無くしては社会が成り立たないのだろう。
そして、この世界では、宗教が奴隷を公認していたりする。
やっぱり神様ってろくなモンじゃない。
ノーラとターナは斧にトラウマを抱いてしまっていたらしい。
ドワーフのクセに斧に。
って言葉は禁句だろう。
しかし、あまり一般的な武器ではないので、表面化することはあまりないのだろうけど、いざというときに困る。
トラウマの取り除き方もわからない。
斧より強くなるとか、斧を見せないとかができないから。
というか、ヒルダがいればそれでアウトって感じじゃなかったのかな。
やはりこの二人には、専門の戦闘職は無理だろう。
有りうる襲撃に備える警備職とかなら、まぁ有りか。
斧武装も剣武装に比べればそんなにいないし。
うん。森に行くまでもなく二人は、武装メイドに決定だな。
コリナドーラは地味に有能だ。
戦闘もそこそここなすし、受け答えがしっかりしている。
風車の○七的な感じで、パーティ外活動をしてもらう方向に育てたら良いんじゃないだろうか。
せめてもう少しレベルを上げて、職人系スキルを与えてからの方が、いろいろと道が開けそうだ。
というわけで、人型のほとんど出てこない九階層で、スパルタ教育を施した。
午後一杯掛かったが夕方と言うにはまだ少し早い時間に、みんな1レベル上がった。
誰にも言うなよ。と念をおして、スキルを与えることにした。
もちろん先輩方と同じ方法でだ。
特に先輩3人には絶対に内緒だからな。
絶対に内緒だぞ。
大事なことなので二回言いました。
変なフラグにならないことを切に願います。
ノーラとターナは3レベルになったので2+3で5P、コリナドーラは4レベルになったので2+3+4で9P。
ノーラとターナには、
投擲1で1P、回避1で1P、夜目1で1P、メイド1で1P、料理1で1P
を付けた。
コリナドーラには、
格闘1で1P、メイド1で1P、料理1で1P、気配察知1で1P、夜目1で1P、詐術1で1P、交渉1で1P、魅了1で1P、身体能力強化1で1Pと、影のものとして働くのに都合の良さそうなスキルを付けた。
翌日からノーラとターナは店で働かせることにした。
コリナドーラには、街の中でいろいろな情報収集をしてもらうことにした。
そして、夕方。
先輩の三人組は、貴魔魂石を大量に持ってきた。
ストレス解消に二十階層のボス部屋を何度も何度も攻略していたらしい。
なんというか、魔物よ。
スマンかった。




