第61話
貴魔魂石を持って、探索者ギルドへ買い取ってもらうために向かう。
しかし、この間「一人一個でCランク」と言われていたのに三十五個って・・・
どんだけストレス溜まってたんでしょうか?
俺のせいではないですよね?ないですよね?
ないよね?
ないと言ってよマイハニー。
あぁ胃が痛いのは、光魔法で治るのかな?
ストレスで髪にもやばそうだ。
カミカミ受付嬢に三十五個の貴魔魂石を差し出し、買取を求める。
「いいかげんにしてくれんか?」
キャリアウーマンが、カミカミちゃん越しにイチャモンをつけてくる。
「ズルか自分達で集めたかはどうでも良い。まとめて持って来るな。」
イチャモンにも程がある。
これは今日一日でうちのメンバーがストレス発散で集めたものだ。
問題あんのかコラ?
「貴魔魂石ってのは、その階層の適正ランクよりやや上位に位置するパーティが十日に一回位、一つだけ持ってくるものだ。」
一日に三十五個も持ってきてはいけないと?
「異常だっつってんだ。」
あ?
意味わかんねぇよ。
「普通のパーティはそんなことできねえんだって。」
「誰が俺達が普通のパーティだって言った?
少なくとも俺達は言ってねぇぞこら?
切り裂きや死神や鉄拳がいる段階で普通なわけねぇだろうが!
できねぇなら、看板に一日一個しか買取無理ですごめんとか表示しとけボケが!」
それ以前にお前ら客商売だろうが。
言葉遣いに気をつけやがれ。
いけない、いけない。
キレてしまいました。
ストレスが堪り過ぎて決壊した模様です。
「申し訳ありませんでちた。」
カミカミちゃんは平謝りだ。
「お前らじゃ話にならん。上司を呼べ。」
「私がここの最上位だが。」
キャリアウーマンがたわけたことを言う。
「組織ってのは上から腐ってくるってのは本当だな。
探索者あってのギルドだろう?ギルドあっての探索者じゃない。
なにを誤解してるんだオバハン。」
自分を何様だと思っている?
探索者から総スカンを食えば貴様なんぞただの商売ベタのクズだ。
「買い取らないのならそれでいい。脱退するだけだ。」
三人のギルドカードをカウンターの中に放り投げてギルドを出る。
キレたが、防御本能からか相手の名前を壽眼で確認している。
「オルケスタ・ド・デスタ 陸人族・女・35歳」
領主と同じ姓なのね。
ってことは、「ド・デスタ」が貴族姓なのね。
「ド」が貴族に必須で「デスタ」が姓で支配地域の名なんだろう。
あぁ転生のせいで、キレやすい子になってしまった。
貴族ってどこの世界でもアホばっかりやと思いながら、後ろからギャンギャンわめくオバハンの声を無視してギルドを後にする。
あまりにも腹に据えかねたので、今日は食事ではなく、酒メインで行くとみんなに宣言して、居酒屋バラエティへ入る。
いつもの個室で、大量の酒とそこそこの量の料理を頼んで、一息つく。
「ギルドの長にあそこまで言ってよかったのでしょうか?」
めずらしくイルが不安そうに聞いてくる。
「良いの。
程度の問題だけで間違ったことは言ってないし。
俺たち領民じゃないし。」
日本では、こんなときにもじっと耐えて我慢しなければいけなかった。
理不尽な権力に正論が負けるのだ。日本では。
「ご主人様が、あそこまで口にするのは珍しいかと思うのですが。」
サミーも弱冠不安げだ。
「ちょっとストレスが溜まっててね。
大丈夫、頻繁にあることじゃないから。」
いやいや、いつもいつも思ってはいるよ?
口にしてないだけで。
自分が偉いと勘違いしている連中が心底嫌いなのだ。
だいたい貴族なんて手柄を立てて叙爵された初代や、陞爵された代の当主以外は、先祖の七光りで偉ぶっているに過ぎない。
生まれや、家柄や青い血などといろいろ言うが「お前個人」の力を見せろと言いたい。
日本では我慢するしかないけど、こちらではそんなことしなくてもいい。
どっか他所に行けばいいだけだ。
しがらみもまだ殆ど無い。
探索者ギルドなんぞ無くっても生活には困らない。
大丈夫だ。
「オバハン♪。オバハン♪。オ~バ~ハ~~~ン♪。」
ヒルダよ。それは止めておけ。
歳の問題は根が深いのだ。
久々に今日は酒に飲まれそうだ。
いつ振りだろう?
多分日本にいたときの、あの晩以来だ。
あぁ、思い出したくないことを思い出してしまった。
もっと強い酒を持って来~い。




