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第47話

暴走の結果の魔物の死体を探索者ギルドへ持っていくと、ギルド内からヒソヒソ声がする。


「あれが、鉄拳ヒルダだろ?ホントに小さいな。」


「切り裂きサミーって、双剣なんだ?」


「死神イリエラってあの娘が?」


ウチのパーティメンバーは、なんか異様な二つ名を頂戴しているようだ。


男の探索者が俺を見ながらヒソヒソ話をしている。


「あれだ。あれ。いたぞ。」


「あの三人を従えている。」


「超上級者の。」


「一人だけボコボコだぞ?」


俺も悪い意味で有名になってしまったようだ。


女の探索者がヒソヒソこちらを見ながら呟く。


「手当たり次第の。」


「女の天敵の。」


「色魔王の。」


「あのジン・サカキ・クルーズ・ブレイド。」


お前らホントに犯すぞ??




「鉄拳ヒルダに、切り裂きサミー、死神イリエラか。」


ずいぶんな二つ名を貰っているな。


「いつからだ?」


みんなに聞いてみる。


「「「知りません。」」」


身に覚えは無いようだ。


ギルドの若い受付嬢にも同じことを聞いてみる。


「ひゃいっ。今日沢山の探索者から証言がありまして。」


何をそんなにビビッている?


大丈夫、今は手を出さないから。


暴力的な意味でも精力的な意味でも。


「現在トップのパーティを蹴散らして、最深部へ向かうところの目撃証言が多数ありまして。」


どんな証言なのかメチャクチャ気になる。


「素手で魔物を肉塊に変えるエルフの少女。」


ヒルダか。


「薄ら笑いを浮かべながら、魔物を細切れにする白狼の獣人。」


サミーか。


「攻撃が届かないはずの距離の魔物の首だけが落ちるという、黒豹の獣人。」


イルか。


「事実かどうかこちらが聞きたいところなのですが。」


受付嬢の言葉も最もだ。


怖ぇよ。


「俺は、十二階層から始めて、半日で二十階層までは行ったけど、こいつらは一階層から二十階層まで半日以下で来たからな。」


受付嬢に向かって、言ってみる。


「槍がたまたま届いただけですけど。」


「笑っては居ませんけど。」


「斧は使いませんでしたけど。」


『けど』ばっかりだな。


でも、やったらしい。


「事実のようだけどなにか問題でもあるか?」


若い受付嬢に聞いてみる。


完全にドン引きの若い受付嬢の後ろから、


「とっととD級に上がってもらえるかな?」


奥の方に居たキャリアウーマンみたいな女の人が話しかけてくる。


「ぶっちゃけ貴魔魂石なんか無くっていいからさ、実力相応の階級に上がってもらわないと周りが迷

惑するんだわ。」


俺達にビビらないキャリア職員さんのセリフに、探索者がざわつく。


「使えない上級、階級詐欺みたいな下級、どっちもギルド的には問題児なんだわ。」


もっともな話しだ。


B級なら余裕なはずのC級の仕事を失敗される。


D級なのにドラゴンを倒す。


どちらも、適正な階級にいるギルドメンバーからすれば邪魔だ。


なんで、こんなこともできない奴がこの階級にいる。


なんで、この階級でこんなことできるんだ。


比べられる立場になれば、死活問題だ。


「ちなみに十六階層までの探索リーダーのダークアイはC級パーティだからな。」


おいおい、うちらはE級パーティだぞ?


周りは何をやっとんねん。


しかし、誰が二十階層まで行ったと証明してくれるんだろうか。


という疑問を抱く。


「ハイエナと呼ばれる、トップパーティの後を突いていく、おこぼれ狙いのクズパーティがいるんだ。」


なるほど、実力派パーティの後ろを付いていけば、比較的安全に深く潜れる。


そのパーティより先に地表に戻って地図を売るなりで稼ぐ。頭は悪くないな。


「ダンジョンの探索を進めたパーティには、いろんな特典があるんだが。」


階層突破ごとに、トップパーティにはおいしい恩恵があるようだ。


「ランクアップのほかにも要望があれば聞くぞ?」


「じゃあ、俺達のパーティの名前も、メンバーの名前も非公開にしてくれ。目立ちたくない。」


へたに目立つと、嫉妬や羨望やなんやかんやで足を引っ張られることのほうが多いと思う。


尊敬されて嫉妬されるならいらない。


俺達は勝手にやるから関わらないでくれ。


「もう無駄だと思うがいいだろう。

 昇級はしてもらうからな。

 とりあえず明日来たら、D級だ。」





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