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第107話

皆のところへ戻る。


「遅くなったが貴殿らの活躍のおかげで大事には至らなかった。感謝する。」


男爵が謝礼を述べてくる。


「いえいえ、請け負った仕事です。お気になされずに。」


男爵は中々の苦労人のようだ。


雇った人間が依頼した仕事をして当たり前、ではなく、感謝を述べることができる。


こういう人材にはもっと上にいってほしいものだ。


「で、今後の対応なのですが」


俺は、チョーシ村とデスタの街での状況を話す。


「私的には、現状でデルソル公国へ向かうのは困難と思料します。

 無事に出港できたとしても、向こうがどうかは解りません。

 近場、できればチョーシ村の避難所にて待機するのが最前かと。」


「うむ。今回の状況を勘案するにこのまま目的地に向かうのが最前とは思えぬ。

 貴殿の魔法で王都に行くことは可能か?」


俺の転移に目を付けたようだ。


「一度に運べるのは数人。そして王都には行けません。

 行ける最遠地はデスタの街になります。」


転移は行ったことが無いところには行けない。


だって王都がどこにあるか、名前すら知らないんだもの仕方ないよね。


「幸いデスタの街は地震の被害はさほど無かったように見受けられます。

 男爵閣下におかれては、そこで今後の対応を考えるのが最善かと。

 移民団については、最寄りのチョーシ村にて待機。

 被災者の援助作業に従事させるのが良いかと。」


男爵一行は王都へ情報をもたらす必要もあるだろうし、でかい街の方が何かと便利だろう。


移民団は、目的地に近い安全な所で待機の方が、今後どんな方針が出るにしてもいいはずだ。


「とりあえずチョーシ村にはある程度の人数が収容できる避難所を設置してきました。

私のMPが回復次第転移で連れて行けばいいと思います。

 あとは、今回の依頼が不達成になってしまうのをどうにかしたいのですが。」


契約では天変地異による場合は免除みたいな規定はしていない。


このままでは報酬が出ないどころかマイナス評価も貰ってしまう。


「うむ。デスタの冒険者ギルドで依頼の変更の手続きをしよう。

 前の依頼は達成したものとして、王都への護衛を指名依頼というのではどうか?」


王都への護衛?


「ここの惨状を王都へ報告し、今後の対策を練らねばならん。

 情報は新鮮さが命だが、このありさまでは王都へ情報が届くのは大分後時間がかかるだろう。

 なるべく早く王都へ行かねばならん。

 ことの重要性を鑑みるに儂自身が赴くべき内容だ。」


うん。ごもっとも。


「それに、儂に対する襲撃は、貴族同士の争いとして王家の裁きを受ける案件だ。

 下っ端はともかくとして領主とカスティーロは王都へ連れて行かねばならん。」


「ここで殺してしまえば話は早いのではないですか?」


「儂の主義に反するのでそれはできんな。」


面倒な性格だな。まぁ嫌いではないが。


「では、」


そこまで言ったときだ。


グラッ。


オタメガネの言っていた本震が起きたのだろう。


縦なんだか横なんだかよくわからない揺れだ。


土魔法で作ったこの高台が壊れるんじゃないかと思うような激しい揺れ。


皆が自分のことしか思考になくなったその時。


簀巻きにされたカスティーロが水に飛び込む。


揺れで気絶から目覚めたのだろう。


将来を悲観したのか、逃げようとしたのか。


今はもう知ることはできない。


なぜなら・・・・すぐに来た津波がすべてを流し去ったからだ。


簀巻きにされた女奴隷を鑑定してみると『奴隷』が無くなっていた。


主が死ぬと自動で奴隷ではなくなるようだ。


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