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第103話

「この街はもうお終いでしょう。」


高い塔の最上階に若い男の声が響く。


領主と思しき身なりの良い中年の男がそれに答える。


「一面が海になってしまった。水が引いても街は流され、作物は塩害。たしかに終わりか。」


「領地がなくなれば貴族位も・・・」


若い男が慰めるように声をかける。


「平民落ちなど考えたくもない。」


中年の方は、やや自暴自棄な感じに吐き捨てる。


「ここはとりあえず法衣貴族として宮廷に。

のちのち領地貴族に返り咲けばよいではありませんか。」


ややそそのかすようなその口ぶりは、冷静であったならば中年の男にも気づけたであろう程には冷笑を含んでいた。


「しかし、法衣は定員一杯なはず。

 いまさら陪臣などごめんだぞ。」


イスタール王国の、というよりも大方の王政を取っている国にとって、貴族は諸刃の剣となる。


爵位を与えすぎれば価値が落ち、その地位にいる者はそれをさせまいと暗躍する。


取りつぶすなどで数を減らせば、次は自分かとおそれ、それをさせまいと暗躍する。


多すぎれば王家に入るはずの税収が貴族に持っていかれる。


少なすぎれば王家で末端まで管理する手間が増える。


よって、イスタール王国では、


一級貴族から十級貴族までに細分し、それぞれに制限を設けた。


  一級 王、王太子

  二級 王族(王子、正妃)

  三級 公爵、王族(副妃、姫等)

  四級 侯爵、辺境伯

  五級 伯爵

  六級 子爵

  七級 男爵、女爵

  八級 准男爵、准女爵

  九級 士爵、聖騎士

  十級 准爵


  三級以上の王族か元王族は定員は無し。

  三級の公爵は4家

  四級の侯爵は8家、辺境伯は2家

  五級の伯爵は14家

  六級の子爵は32家

  七級の男・女爵は64家

  八級以下は王家直臣なら128家、伯爵以上に仕える陪臣なら各家10家以内

  七級以上が領地持ち、七級以下が代官か領地を持たない法衣貴族

  五級伯爵以上は継承権に条件有り。

などなど


「幸い今この街には直臣の法衣男爵がいるではないですか。席を一つ空けてもらうだけの話です。

 それに。」


若い男は心底嫌そうな声で次の言葉を発した。


「今回の移民を成功させれば子爵へ陞爵するとのうわさもあります。」


「ということはどこかの家が取りつぶされるということか。」


「それについてはどこの家という話は聞こえてきていませんが、いずれにしてもヤツは不要です。」


すでに雇い主に対する、貴族を現す呼び名ではなくなっている。


「ん?奴はこの地震で死んだのではないのか。」


「いえ。ご覧ください。あの高台に避難しているようです。」


若い男は水の上に突き出た奇妙な構造物を指さす。


「この塔より高いな。」


「はい。我々もあそこに避難し、機を見て・・・」


「うむ。頼りにしているぞ。カスティーロ卿。」


「お任せください。」





「よろしいのですか?」


若い男に若い女が話しかける。


「あいつ『も』死ねば席は空いたままになる。それを貰えばいい。」


「御深慮さすがです。」


「まあな。いずれはもっと上にいかねばならん。私の贄になるなら光栄だろう?」



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