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第101話


きびきびと動くウチの奴隷達を男爵一行はあっけにとられたように見つめていた。


男爵がハッと我に返ったように指示を出す。


「この場の治安維持はわが男爵家で行う。

 それくらいしかできんが、他に手をかけてやってくれ。」


おぉ、男爵よ。


上手い落としどころを見つけたな。


治安維持なら最悪『自衛』の一言ですむ。


他の救助やら炊き出しだと、施してどうこうしようとしたんだろうと難癖つけられる。


もっとも『ウチの領民に何してくれてんねん』って文句はつけられるかもしれないが、貴族を害しようとしたという一点突破が可能なんだろう。


よし、今後貴族を害するときには、目撃者ゼロか、より高位の後ろ盾を得ておくことにしよう。


「聞いたか?

 あとは任せるのでそのように。

 それから」


一番重要なことを伝える。


「死ぬな。

 知らん誰かの命より俺にはお前たちの方が数百倍大事だ。」


そう言い残して『転移』で、チョーシ村のあの桜の下に移動する。


小高い丘の上にある桜の下からチョーシ村の方を見る。


地形の関係か津波の影響は無いように見える。


もっともまだ到達していないだけかもしれないが。


馬車で4日、徒歩で12日の行程だ。


おそらく300km位の距離だろう。


あの大震災では最もひどい津波の被害を受けた岩手、宮城、福島の海岸から数百km離れた関東でも津波が来たはずだ。


時間的にはどうだったかまでは覚えていない。


うろ覚えの記憶では津波は時速数百kmだったはず。


急いで『フィールド移動』で村長の家の前に移動する。


「大丈夫か?」


村長の家に駆けこむ。


「お、おう。なんとかな」


どうやら怪我も無いようだ。


ただし家の中は酷いありさまだ。


「津波。大きな高さが10mを超す波がくるかもしれない。

 すべてを飲み込む高さだ。

 急いで村民を高台に避難させろ。

 急げ、時間がない。今にも来るかもしれない。

 食料と水は後で何とかするから、あの桜の家まで逃げろ。

 厚着だけして大至急だ。」


「おう。

 他に何かあるか。」


「塩田とかで働いてる海に近い奴から優先的に頼む。

 あとは、一人でやろうとするな。

 伝言伝言でやってくれ。

 あとは、知り合いが数十人あの桜の家に避難してくるかもしれないから覚えておいてくれ。」


『声飛ばし』の魔法で、村内と海岸に今の会話は聞かせてある。


そして、


『石壁』


土魔法で石の壁を斜面から斜めに突き出すように、100mごとに作っておいた。


最悪の場合はそこに避難できるように、横から見たら「y」に見えるように避難場所を作った。


「最悪でも明日の日没には、一度顔を出す。

 桜の下の家に何か物資はあるか?」


「薪になる木材は大量にある。

 井戸も掘ったから水もある。

 徹夜で作業する連中のための寝具もある。

 食いモンは無いが、とりあえず避難するだけなら大丈夫だろう。

 家はもう内装以外はできてる。」


「じゃあ頼む。」




『フィールド移動』で桜の下の家に移動する。


家の中に調理しないで食べられる果物なんかの食材、パンに干し肉、ドライフルーツなんかをとりあえず百人が三日過ごせるだけ置いておく。


あとは建物に入りきらない人用のテント(天幕)としての布もおいておく。


申し訳ないがこの家は俺の所有物だ。


俺が使うに際しては避難民といえども追い出す。


そのための処置だ。


助けてもらって当たり前と考える人間は排除する。


チョーシ村でできることはそんなとこだ。


あとは村人の自助努力に期待しよう。


次はデスタの街に行かなければ。



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