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◤◸ある異世界は劇場で◹◥ ― 出演:勇者|演出:魔王 ―  作者: Awa_Pika


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4/7

第三演目   ◤◸”やられ役”の魔王◹◥

 ——異世界において、”犯罪”とはどんなものがあるのだろうか。

 いや、異世界と言ってしまうと他の異世界に迷惑かもしれない。

 少し限定しよう。


 ——自分が召喚された、この世界の”犯罪”とはどんなものがあるのだろうか。

 もっと言えば——魔族間での法はどうなのだろうか。

 そもそも魔族たちに交流はあるのだろうか。


 ……()()


 はっきりと言える。

 ——今、目の前に”魔族(魔王)”がいて、自分が”魔族(魔王)”だからだ。

 法なら自分で作ればいい。

 ()()なのだから。

 

 ——何故、こんな疑問が浮かんだのか。

 いやー、やっぱり自分は冷静なのだと思う。

 こんなことを考えてしまう。

 もし今、この場に第三者がいて、”現在の状況を説明にして。”と、お願いしたとする。

 ……すると、こんな回答が返ってくるだろう。


 

 『——少女(魔王)の目の前に、全裸の壮年男性(魔王)が仁王立ちしています。』

 

 

「おまわりさ――――んっ!ここで――――――すっ!110ば――――――んっ!」


 ……どうすればいい。

 呼んだよ。

 確かに呼んだよ。召喚したよ?

 でも全裸は困るよぉ……おじさん。

 なんでそんなに見つめてくるの?

 なんで仁王立ちなの?なんで全裸なの……?

 真顔だよぉ……

 怖いよ……顔と状況が怖いよ。

 闇のオーラ纏ってるから、他は纏わなくてOK!みたいなこと?


 ——隠せてないよぉ~。ちょうど()()()だよぉ。ご立派だよぉ。

 頭が、回転しているようで回転していない少女(魔王)に、やられ役の魔王は声を掛け始める。


「この度、”魔王階級(魔王クラス)”を授かりました。魔王、『ゴードン・アクト―ヴァ』召喚に応じ、参上いたしました。」

 やられ役の魔王は、礼儀正しく言葉を紡ぐ。


「我の使命は、魔王様に代わり、魔王城にて勇者を待ち、”討ち果たされる”こと。御意に。」


 ……自己紹介、ありがとう。

 でもね、話は入ってこないや……


 ——お前、”(そのまま)”で行くつもりか!?


「あ、うん。えっと。あの~。」


 なにか、言葉を返そうとする。

 おかしい。

 うまく喋れない。

 そういえば、ずっと一人だったから忘れていた。


 ——この”キャラクター(自分)”は、どう喋るのが正解なんだ?

 あまりのことに、勢いでツッコミは入れられた。

 だが、どんな”()”を演じればいい?


 ——目の前の変態(コイツ)は俺のしもべだ。

 ——そして、俺は魔王。

 ——役はすでに配られている。

 ——俺よ。

 ——お前がこの『()()』に、この『()』に立っているのなら。

 ——この『魔王少女(キャラクター)』はどんな言葉を口にする。どんな『行動』をとる。


 ——見せてみろっ!お前がずっと『()()()()()()()()()』をっ!



 

「おい、『()()』。服を着ろ。」

 

「……御意に。」


 そう言い残して、やられ役の魔王はゲートのようなものを作り、速やかにその中に消えていった。


 ……。

 

 ——俺が、ずっと『()()()()()()』こと。

 自分の口で。

 場面に合わせて。

 そうできたなら、一番楽しい言動をする……

 ——できたっ!ずっと内に閉じ込めていたものがっ!

 ようやく外に出せたっ!

 けど……

 

 

「なんか違うぅぅぅぅぅぅぅぅう~~~~~!」

 

 

 ……このシーンじゃないだろ。

 感動がないよ。ついでに服もなかったよ……

 でもでも、大丈夫だ。大丈夫。


 ——これから、ずっと『()()』を演じられる。

 それだけで、わくわくできる。

 最初が、変だっただけだ。

 うん。

 ——さしあたって、”一人称”はどうしようか。

 俺?ではかわいくないし。

 私?普通の女の子すぎるな。

 我?変態魔王(アイツ)と被る。却下。


 ——僕? ”()”か。

 これは俺が、”()”の前に使っていた一人称だ。

 子供っぽさが増すので、忌み嫌っていたが…………

 背は伸びた。

 あの頃から、俺も成長している。

 ——なら、”新しく変わった自分”ってことで……


 変態魔王改め、ゴードンが服を着て謎のゲートのようなものから帰ってくる。


「魔王ごーどん。お互いに魔王だが、お前は、”()()”のしもべってことでいいんだな?」

「はい。表向きには、我が魔王を務めますが、我は魔王様の忠実なるしもべでございます。」


 ——()()

 うん、しっくりくる。これでいこう。

 ついでに魔王同士の上下関係も把握できた。

 

「時にごーどん。ボクの代わりに死ねと命じたわけだが。これにたいして、どのように考える?包み隠さずにいえ。」

 隠しきれない愛らしい声を抑え、なるべく怖い感じをイメージして問いかける。

 正直、コイツの本心を聞かねば信用ならない。

 変態だし。


「不満など……魔王様に与えられた”使命を果たすこと”こそが、我ら魔族の最上の喜びにございます。それに、”()()で死んだところで本当に消滅するわけではない”ので。」


「えっ!?死なないのっ!?」


 思わず、素がでる。

 それを取り繕うように、質問を続ける。


「ごーどん。ボクには魔界の。いや、この世界の知識がない。全ておしえろ。まずは、お前が死んだらどうなる?」

 ”忠実なるしもべ”を召喚した理由の一つがコレ。

 この世界の情報が欲しい。


「……御意に。我が聖界で倒されれば、魔界に戻されます。」

「……聖界……魔界とは?」


「——世界は()()()()します。”聖界”と”魔界”…………”聖界には、”主に人間”が、”魔界”には、”魔族のみ”が暮らしています。」


すると、気持ちテンション高くゴードンは解説を始める。

「これら二つの世界は、”魔王様が存在している時”のみ、魔族は”自由に行き来が可能”になります。また、魔族は”聖界”で死ぬと”魔界”に戻されます。」

「ほう……?」


「魔族は、魔王様の”使()()”を果たすことで、魔界で”()()()()()()()”が保障されます。」

「”()()()()()()()”……?魔族に生活があるのか?」

「はい、魔王様。詳細な情報としては、莫大な”富”。”名声”。”力”。これらが手に入ります。」


 ……どこの海賊王だよ。

 というか、ボクの命令って魔族にとっての”ひとつなぎの大○宝(宝くじ)”なんだ……


「よって、魔族は魔王様の命令を聞きたがる……というわけでございます。」


 ——ふむ……魔族たちは、”()()”で死んでも死なず。

 ——むしろ、()()と命じてもらいたいと。

 だいぶ気持ちが楽になった。


「……わかった。その他の説明はまた後でいい。ごーどん。お前に()()()()()()がある。意見をくれ。」

 しもべ召喚理由の二。”相談役”だ。

 ボクは、能力のウィンドウを開いてゴードンに見せる。


 デンッ!

 ——————あなたの寿命は残り7日です。——————


 召喚され、少女(魔王)に裸を見られ、その少女(魔王)の余命宣告を一緒に見る。

 どんな気持ちなのだろうか……


「これはっ……!……つまり、魔王様が存在し続けるためには、”勇者を楽しませる”必要があると……」

「……飲み込みはやいなっ!なんか、もっと、こうっ!……じゃなかった。どうすればいいと思う?意見をいえ。」

「情報不足でまだなんとも言えませんが……この『()()()()()』を見せてもらえますか?」

 へっ?慌てて、画面内のゴードンが指を指す場所を見やる。


 ……なんということでしょう。

 そこには堂々と書かれているではありませんか。


 ——『()()()()()()()()』と。


「……ああ、うん。そうだな……かまわんぞっ。」

 まさか気付いていなかった……。

 なんて思わせることなく、初見ではない体で話を進める。

 勇者パーティのタブを開くと、一人一人のプロフィールが書かれているようだった。

 魔王たちは、勇者の情報を見ることにした。

 

  

 デンッ!

 ————————勇者の情報について。————————


 

 ——勇者。

 ——男。

 ——十六歳。

 ——名は、"メイト・ペングル"。

 ——身長176cm。

 


 …………



 

 ————『パーティメンバー()()とえっちしたい。』と思っている。————





 「……はい?」

 

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