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◤◸ある異世界は劇場で◹◥ ― 出演:勇者|演出:魔王 ―  作者: Awa_Pika


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2/7

第一演目   ◤◸あなたは”魔王”です。◹◥

 ——寒い。

 そして、黒い。

 暗闇の中、俺は意識を取り戻す。

 瞼を開いても、閉じても、ともに映るは同じ闇。

 体は……あまり動かせない。

 狭い空間に閉じ込められているっぽい?

 そして、耳さんからの情報は無いと……


 ——これは……一体どういう状況だ?

 

 ……大丈夫、俺は冷静だ。

 一旦、覚えていることを列挙してみよう。

 朝起きて、学校に向かい、無事帰宅。

 階段を上り、自分の部屋の中にある、小さな作業部屋に入った。

 PCを起動し、多種多様なキャラクターを創作ったり(つくったり)、演じたりしていた……

 ………………。

 ——ん?それからどうなったっけ?

 その後、いつも食べるはずの夕食を食べた覚えはない。

 ラーメン? それは昨日食べたものだ。

 ——この間に()()があった……?

 ……。

 ——そうだ。

 ……なんか、とんでもなく綺麗な夜空を見たような……

 そこでたしか、声が聞こえてきて。

 

「あなたの××の全てを禁止します」

 

 そう、こう言われた。

 で、俺は禁止されたんだよね()()を。

 ……()()をね。

 ……。

 ……あれ?

 ——”()()ってなんだぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉”

 

 で……

 

 ——現在、暗闇の中にいます。


 

「分かるかぁぁぁ――――――!」

 

 ここに効果音をつけるなら、間違いなくドカーン!だろう。

 そんなことを思いながら、俺の脳内は爆発した。

 ………………。

 

 おっと……

 大丈夫、俺は冷静だ。

 冷静すぎて、むしろ冷たい。というか寒いっ!今、夏じゃなかったっけ?

 ……これは、あれか。


 ——雪の中に埋まっている……?

 まずいな、もしそうなら15分くらいでたしか死ぬ。

 急いで辺りを探る。

 ズザッ!

 ……ん?何か押せそうな場所がある。

 押す……?危険か……?助けを待つ……?

 ——いや、押す以外の択はないっ!


「んんぬぅぅぅ…………!!」

 とりあえず全力で暗闇を押してみる。


 ズザァァァ————ガタッ!

 ガコンッ……!


 ビュウウウ————————ゴォォォォ……!


「ほへっ?」


 突然の光と爆音に目が馴染むのを少し待って、目の前の情報を何度も整理する。

 周囲は薄暗く、見えるのはボロボロな木製の壁と、ひびの入った石畳の床。

 今まで自分を閉じ込めていたであろう、倒れている大きい蓋?のようなもの。

 そして…………


 ——ドアのない、この部屋の入り口から見える猛吹雪と、鳴り響く暴風音。

 ——それと、体の温度が急激に下がっていく感覚。

 

「????????????????????????????」

 

 ……っ!

 ——危ないっ、理解不能に埋められる所だった。

 大丈夫。3分後ぐらいには間違いなく凍死するぐらいには冷静だ。

 体が震える。

 だが、この震えは死への恐怖によるものなのか……。

 はたまた寒さによるものなのか……。

 どっちかなぁ~と、考えるくらいには余裕もある。

 よし。

 まずは、暖だ。どうにか暖をとらないと。

 ——探そうっ!暖をとれる何かをっ!


 ボォウ!


 ——熱っ!なんだぁっ⁉

 突然、周囲に小さな掌サイズの火の玉がいくつも出現する。

 漂う火球は、体の周りを少し巡った後、自分の体に吸い込まれていった。

 それと同時に、体が少しだけオレンジに発光する。


 ——暖かい……?

 不思議と寒さが消えていた。

 さっきのは……?というか、なんだこの服?

 いつ着替えた?

 優先度の高い事象が終わり、後回しにされていた情報の処理が始まる。

 そして、”()()()()()()()()()()”がここにあることにようやく向き合う。

 そう。

 

 ——なんか目線、高くね?

 

 まさか、あり得えるのか……?

 今まで実行し、裏切られてきた努力達が脳裏を巡る。

 牛乳も毎日、お風呂上がりに飲んだ。

 運動、勉学にも手は抜かず励んできた。

 サンタさんが身長をくれるかもしれない。

 そう信じ、いい子を目指して可能な限りの善行を積んだ。

 それら全てを網羅した、そんな()()()()()()()()……?


 本当に……?

 もう一度目線の高さを確認する。

 初等部の頃からずっと寄り添ったこの高さを……


「あっ……」


 ポロッっと、何かが零れだす……

 目測で6cmは伸びている……

 俺は少しの間、直立無音で涙を流した。


 ——いや、待て違ぁぁぁぁぁぁぁあう!

 『()()』はどこだっ!

 なにを今さらと、思い出したかのように紡いだその問に。

 的確に、現在の状況を表した言葉を零す。

 

 「ん?遭難した……?」

 

 ふと、虚空に耳を傾ける。

 誰かが寒い駄洒落を返してくれる事を期待して。

 ……返事はない。

 ダメだ、温い。

 なぜか、スッゴい快適な温度だ。

 そりゃ、駄洒落なんて返ってこないわけだ……


   ○○○

 

 ——とりあえず、この部屋の調査をしてみた。

 というか調査しなくても、大体はすぐに分かった。

 ——この部屋、物がほぼ無いのである。


 ——調査結果1、最初の暗闇の正体について。

 俺は、背丈の二倍はあろう()()の中に入れられていたようだ。

 現在は、蓋だけ地面に倒れている。


 ——調査結果2、部屋は小屋だということ。

 木造で、部屋は今いる一部屋のみ。

 ドアは無く、あるのは棺のみ。

 幸いにも、屋根が無事なおかげで風雪は凌げている。

 外に何かあるかもしれないけど、吹雪で確認に行けない。


 ——さて、ここまではまだ現実を受け入れられたラインだね。

 それじゃあ、この情報を君に聞かせてあげよう。

 

 調査結果3、——俺、『火の玉を自由に操作』出来るようになりました。

 俺はいつから魔法使いになった?

 と、火の玉を指先で躍らせながらに思う。

 

 ——以上を踏まえまして。

 

 ——多分、俺は死にました。

 ——で、『異世界転生しました。』

 


 というか、『異世界転生しました。』と言われれば——


 ……ああ、そうなんだね。

 

 で、大体の状況を呑み込めてしまう。

 現代人のおかしなところだ。

 そうと分かれば、()()()()()()()は自分の姿の確認だ。

 火の玉操作に気付いた時から、なんか使えそう……という感覚があれば、とりあえず色々できるっぽい。

 要するに。

 ——”魔法”が使えそうというわけだ。

 

   ○○○

 

 ”魔法の生命”(マジック)による、異世界三分メイキング~♪

 嫌がる演技していたものの、実はこのあだ名は気に入ってたんだよね。

 普通にカッコいいし。


 まず、なんとなくで成功した”水を生み出す魔法”。

 これを集めて、棺桶の蓋の上に注いでいきます。

 ん~♪少し高い位置から注がれる、水音が気持ちいい~♪

 ……かなと思って、高めの位置から注いだが、外の暴風音に敗北しました。

 ……俺はそっと、水を注ぐ高さを低くした。

 ……。

 水面ができて来ました。

 波が落ち着くのを少し待ちます。

 ……どうやら”水鏡”が完成したようです。

 やっぱりどんな姿してるか気になるよね。背も伸びてるし。

 四つん這いになって、鏡に近づいて行く。


 ——いざっ!そうして鏡の上にひょこっと顔を出す。






 

挿絵(By みてみん) 




「えっ……かわいい///////」


 ——淡い紫を帯びた白い髪。

 輝く瞳はまるで紫水晶(アメジスト)

 頭には小さな角。

 ゆらゆらと揺れるしっぽ。

 身には、如何にも異世界。それどうなってるの?な服。

 肌はもちもちとしている。

 そんな目を丸くした少女が、水面に顔をのぞかせていた。


 ——どうやら、”()()”ではないらしい。ついでに”()”でも。

 

 ……まあ、分かってはいたけどね。

 声高かったし。男性の服じゃないし。

 体の感覚明らかに違う部分あるし。なんなら、しっぽ見えてたし。

 

 ……俺、死んだんだね。

 ……。


 ——なんか、文句はあれど、死にたくはなかったかなぁ……。


 ………………。

 

 いつも通り、俺は冷静なので普通に顔を上げる。

 というか普通にかわいいなと、一通り自分の姿を見回した。


 ——その後、魔法とは別に、『能力』(?)のようなものの存在に気付く。

 なんだこれ。

 特に何も気にしないまま、使おうとしてみる。

 

 


 デンッ!

 ——————あなたの寿命は残り7日です。——————

 

 

 

「へっ?」

 

 当然の困惑。

 急に、自分の前にウィンドウのようなものが出現する。

 かと思えば、余命宣告をされた。

 

 短くない……?

 もう終わり……?

 7日後死ぬの……?


 折角ならもうちょい楽しみたかったんだけどなぁ。

 ……。

 まあ、なんて冗談は置いといて。

 まだいくつかタブがあるなと、もちろん気付いていましたとも。


 タブの表記は、"寿命の伸ばし方について。"

 いいねぇ。優しい世界だねぇ。

 いや、初期値が()日の時点で優しいのかな……?

 そんなことを思いながら、目の前に現れた画面をあれこれ操作していく。

 ……。

 で、どうすれば寿命は延ばせますか?

 俺は、一番手前のタブを開いた。

 

 

 

 デンッ!

 ———————あなたは魔王です———————


 

 デンッ!

 ……………………………………。



 デンッ↑!

 …………————⁉

 

 

 

 ——どうやら()()は、『()()を楽しませる』必要があるらしい……。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

泡です。

初めてラノベ書いてみています。

一次創作の楽しさを知り、現在はキャラデザに夢中です。

今後、魔王ちゃんのlive2dとか3dモデル作って、一人メディア化してみたいなって考えています。

"この作品とともに、自分でも沢山の笑いを届ける。"

っていうのを最終目標に設定して頑張ります。

応援して頂けると嬉しいです。

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