ベスパの狙い
ウドちゃんは、何度も立ち上がるベスパを呆然と眺めていた。
(なぜじゃ? なぜベスパに精霊樹の大槍を渡してしまったのじゃ? なぜベスパに従ってしまったのじゃ? なぜ竜はベスパを狙うのじゃ?)
虹色のドーム結界に手を触れる。この結界は、ウドちゃんMk-Ⅶの如何なる技を持ってしても破壊することが出来なかったのだ。
その結界の正体は、古の竜神が生み出した決闘用の結界であり、結界内で戦っているどちらかの命が尽きるまで、決して結界が解かれることはない。
(こんなことになるのじゃったら、ベスパに…もっと力を与えていれば…。いや…竜に対して…人間のMAXなど…たかが知れておる…。)
”ウドちゃんMk-Ⅶの活動停止まで…600秒…。至急…帰還せよ…”
二代目がLv999のときに作り上げたウッドゴーレムであり、今のどらいアドちゃんでは、30分程度しか、稼働することは出来なかった。
(ウドちゃん…初号機は破壊されてしまったのじゃ…。Mk-Ⅱしかないのじゃ…しかし…まだ40%程度しか完成していなのじゃ…)
ウドちゃんMk-Ⅶを帰還させると同時に、Mk-Ⅱを射出する。
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ベスパは、絶望的なベルフェルシシスとの戦いの中で、一筋の光明を見出していたのだ。
この世界では、経験値がある一定以上になるとレベルアップする。では経験値とは何か? 魔物を倒す以外にも、強烈な体験、熟練による閃き、格上との戦闘などでも、獲得可能なのだ。一般的な魔物を倒した時という認識は、魔物を倒したときにはボーナスポイントが付与されるため、魔物を倒したと同時にレベルアップする機会が多いだけの勘違いである。
ベスパは世界の頂点に君臨する竜との戦闘で、莫大な経験値が入っていたのだ。現在Lv320…ボーナスポイント638…これをSTRとAGIに振りMAXの256とする。そして残りの222をDEXに振る。
実は、Lvが上がる度に振っていたのだが、竜に気が付かれないように、力も素早さも戦いの序盤と同程度に抑えていた。全ては…最初で最後の攻撃のために!!!
ちなみにレベルアップ時には、HPとMPが完全回復するのだ。これは神の祝福であり、ベスパの能力ではない。
■名前:ベスパ ■種族:人間 ■クラス:治癒術師(Lv320)
■HP:176/176
■MP:423/423
■STR:5(+256)
■DEX:6(+222)
■VIT:3(+85)
■AGI:5
■INT:3(+256)
■MND:23(+256)
■LUK:8
■CHA:12(+256)
■保有スキル:止血Lv1、再生Lv2、回復Lv2、解毒Lv1、解熱Lv1
■ボーナスポイント:0
どういう訳か…竜の攻撃が単調で、大雑把になってきたのだ。
巨大な尻尾に吹き飛ばされ、壁に激突すること…数十回…。
そして…その時が来た。ベルフェルシシスが尻尾を払う時、いつもよりも大きなモーションになった。それは…この一撃で、俺を仕留めようとしているのだな? と、否応なしにわかってしまった。精霊樹の大槍を握る手に力が入る。
(いざ勝負だぁぁぁぁぁぁっ!!)と、心の中で呟くのだった。




