竜の脅威
冒険者ギルドマスターのデットに、竜来襲の一報が舞い込んできた。
「現在、北門800mの位置の地上にいます。街の被害はなし。えっと…竜の付近に複数の人影ありとの情報です!!」
門に隣接されている監視塔からの伝令を聞きながら、”緊急・対レジェンド級・防衛クエスト”発動を受付嬢のアレーラに指示する。
「いいか、あくまでも防衛だ。街に被害が出ないように、上手く誘導してくれれば…それでいい!! 余計な怒りを買わぬよう、細心の注意を払うように!!」
「領王、近隣の街へ、伝令を!! 内容は、竜来襲によるS級の救援要請とだけで良い! 今すぐ行け!!」
普段の怠惰な男から、かなりできる男にモードチェンジして、次々に指示を出すデット。
「おい、現在、このギルド…街に滞在している、上級冒険者は誰だ?」
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『ほう? 我が言霊を退けるか…。まぁ…その程度は当然であるか…。竜の長き時にも終焉はあるのだ…さぁ、いくぞ。人間よ!!』
「俺はベスパ。お前の名は、何というのだ?」
竜の出現により脳内がお花畑になっているベスパは、イマイチ状況が読み込めていないのだ。
『我が名は、ベルフェルシシス!!』
竜が周囲の空気を込み始めた。間違いなくブレスの予備動作だ。ベスパを守るために走り寄るウドちゃんとアルデル。だが、ブレスの予備動作は終わり…。
『一撃で死んでくれるなよ?』
「合成魔法!! 破邪の衣!!」
ベスパの前に神殿の聖女であるルミナリアが守るように立ち、人間の限界を超える魔法を瞬時に発動した。圧倒的な竜のブレスを、門に隣接する監視塔から見ていた警備兵に比喩させると、領地アルガルダ内にあるアイスエッジ山脈にある大瀑布を数倍の大きさにした感じだという…。
竜が放ったブレスの後には、草原がクレータのように抉られ、大地が溶け出しマグマ溜まりになっていた。
元・聖女ルミナリアが作り出した”破邪の衣”は、その場にいた全員をブレスから完全には守れなかった。ルミナリアから遠く離れたいたアルデルやウドちゃんは、瀕死のダメージを受けていた。しかし”破邪の衣”の効果が切れた途端に、マグマ溜まりからの予熱により、人間の身体に大ダメージを受けてしまうだろう…。
「木魔法!!」
右半身が焼失したウドちゃんは、全員の体に蔦を巻き、マグマ溜まりのない場所へ運ぶ。しかし熱に弱い植物のはずが…なぜか燃えていない? ベスパの疑問は、直ぐに解決する。蔦の熱は…ウドちゃんが本体に取り込んでいたのだ。
「ベスパ…逃げるのじゃ…。相手が悪すぎる…」
ボウッ!! と、ウドちゃんの体が発火する。
「ウドちゃん!!」
近づこうとするベスパに、ベルフェルシシスが問う。
『何処へ行こうとしている? まだ戦いは終わっておらぬぞ?』




