初クエスト
「【明朝の轣轆】だ。何処かで読んだ本のタイトルだ」
いつまで経っても何も出てこないベスパ達にしびれを切らしたギルドマスターのデットが提案する。
「「「「「それで!!」」」」」
全員がその案に飛びつき、ウドちゃんが受付嬢のアレーラさんに、書類の作成を依頼する。
「雰囲気と勢いじゃな。アレーラ。それで頼むのじゃ」
ギルドマスターのデットからの指示で、ギルド名以外の項目を埋めておいてもらったため、あっという間に必要な手続きが完了した。
「おっし! ゴブリンとか倒しに行こうぜぇ!!」
ノリノリのベスパに、カーデルが水を差す。
「能力値は中級だが、冒険者ギルドポイントは0。ギルドも初級、経験不足。つまり…薬草採取クエストが最適だ。依頼ボードには掲載されていないから、受付窓口で受注して来い」
「そ、そんな…」
がっくりと肩を落とすベスパに、冒険者ギルドと居酒屋にいるベテラン冒険者たちから、慰めとの言葉が…。
「誰だって、最初は採取クエストだぞ?」
「いきなりドラゴン討伐とかねぇーからっ!」
「文句言う前に行って来い。その方が早い」
「ベスパくん? あまり薬草採取クエスト舐めないほうがいいわよ?」
受付嬢のアレーラさんに渡された契約書を見ると、2時間以内に採取した薬草100本1セットと書いてある。
「あの…これって?」
「納品は100本1セットなの。それ以下では受け取れないからね」
薬草は採取したときから劣化が始まり、3時間もすれば薬剤の材料として、利用不可になってしまうのだ。2時間以内に100本?? いや…こんなの無理っぽいよな…。
「はははっ。どうした? ベスパ? もうギブアップかよ」
「いいね。その顔、誰もが、そうなっちまうよな」
「おいおい、早く行かねぇと、薬草無くなっちまうぜ?」
外野のベテラン冒険者たちが、遠回しにアドバイスを送ってくれている。
「よしっ! ギルド・明朝の轣轆! 出発だぁぁぁ!!」
「「「「「「は〜い」」」」」」
何とも脳天気な返事だ。明朝の轣轆のギルドマスター・カーデルは、お留守番するらしい。
先頭にベスパとウドちゃん。最後尾にアルネとアルデル。ミニンとカスーレイナに挟まれるルミナリア。7名はピクニックへ行くかのように、かる〜いノリで、街の外を目指すのであった。
「ご主人様。楽しみ!!」
「ほら、ミニン。ルミナリアさんと手を繋いで!!」
「じゃ、左手は、カスーレイナちゃんだね」
「オレの夢がやっと叶う」
「ベスパ、私の弓の腕前見てなさいよっ!」
「薬草採取に弓は不要なのじゃ…」




