ベッド争奪戦
「べ、ベスパの隣だけは、絶対に譲れんのじゃっ!!」
ウドちゃんの怒鳴り声が大部屋に響く。ベッド争奪戦が始まったのである。ベッドは二段ベッドが5つ。何故かベスパが中央の下段という設定だ。
「あら? ウドさんは、ベスパの護衛ですよね? ベッドは必要ないのでは?」
「嫌じゃ、隣が良いのじゃ、うっ、うわぁぁぁぁぁんっ!!!!」
接客担当のお姉さんであるミレさんの痛恨の一撃に耐えかねて、大部屋の床にゴロンと寝転がり、手足をバタバタさせながらウドちゃんが泣き叫ぶ。
「では、ガキ…じゃなくて、ベスパ君の右隣は、ウドちゃんとアルデルさんが交代で使うのはどうでしょう? お二人には、護衛として、夜間の見張りも頼みたいのですが」
見かねた領王指定冒険者マーナビルが仲裁に入る。
「オ、オレは…かまわねぇぞ。ダ、ダーリンの横に…寝られるなら…はぁ、はぁっ」
「横じゃありません、右隣のベッドですよ。まったく油断も隙もないのだから…。それでは左隣ですが…。左隣が良い人は挙手をお願いします」
勿論、仕切っていた接客担当のお姉さんであるミレさんが一番に手を挙げる。続いて、パーティーメンバーだからと意味不明な宣言と共に、パン屋の三女で狩人のアルネが。そして、顔を真っ赤にしながら…神殿の聖女であるルミナリアが手を挙げた。
ジュエルスの妹リリルは、命を救ってもらった身であり、ウドちゃんがベスパの事を好きだと知っているため、CHA:12(+256)の猛威に耐えていた。
影の精霊使いカスーレイナも、未だに目が覚めぬ犬亜人のミニンが心配であり、目が覚めたとして…ミニンをほったらかしにして、ベスパ争奪戦に参加する勇気もなかった。だが…ベスパの事は大好きなのである。
「では、ベスパの右隣の上段と左隣りの上下段を、私とアルネさん、ルミナリアさんで、ローテーションってことで」
「べ、ベスパの真上は、誰じゃ!?」
「あぁ…ベスパに唯一興味のないマーナビルにお願いしようかと」
「ば、馬鹿なっ!? 私は、カスーレイナちゃんの隣が…」
「「「「はっ!?」」」
数名から冷たい視線を感じて、黙る領王指定冒険者マーナビル。
「カスーレイナさんとミニンさんは、一番右側の二段ベッドを使用してくださいね。マーナビルさんから離したほうが安全そうなので…」
「は、はい…。わかりました…」
「リリルちゃんは、一番左のベッドを使ってくださいね。一人だから上下どちらでも良いわよ」
「はい。下を使います」
そして決まった配置は以下の通り。
上段:空き (ミレ) マーナビル (ルミナリア) カスーレイナ
下段:リリル (アルネ) ベスパ アルデル・ウド ミニン
※1.()内でローテーション
※2. アルデルとウドでローテーション




