モテ期の秘密
(部屋中、女の子の匂いだ。これは拷問なのか?)
全く寝付けない、ベスパは異様なモテ期について、自己分析を始める。
(俺、何かしたっけ? うん? 何もしてないぞ…。無償で治癒魔法使ったぐらいだ)
アルネなんて、一緒にパーティを組んだこと以外、特に思い当たる節はないのだ。ルミナリアだって…そこまで…好きになってくれる要素がないのだ。
(全くわからんぞ。アルデルは塔を脱出するあたりからおかしかったよな…)
何気に自分のステータスを見ると…。CHA:12(+256)だと!? どういうことだっ!! これが原因かっ!!
「ウドちゃんっっっ!!」
俺が思わず叫ぶと、上端のベッドから領王指定冒険者マーナビルが戦闘態勢で飛び降り、隣に寝ていた傭兵アルデルが、速攻で俺の真横に移動してきた。
「何があった!?」領王指定冒険者マーナビルが緊迫した表情で尋ねてきた。
「あっ、いえ、ね、寝ぼけていました…。ごめんなさい」
「はっ!? 寝ぼけていただと? このガキがっ!!」
「まぁ、マーナビルさん、よかったじゃない。抜き打ちの護衛チャックができたと思えば」
接客担当のお姉さんであるミレさんがフォローに入る。
ベスパは周りを見回すと、影の精霊使いカスーレイナが、精霊を召喚して犬亜人のミニンを守り、パン屋の三女で狩人のアルネはジュエルスの妹リリルを背後に置き、ウドちゃんが部屋全体を守りやすくしていたのだ。ただルミナリアとミニンは何事も無かったように熟睡中だ。
これだけでも、この大部屋には、恐ろしいほどの過剰戦力がいるんだなと、改めてベスパは痛感する。
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早朝、ミレ、リリル、ベスパが居酒屋の開店準備のため一階に下りていく。護衛のためウドちゃんも一緒だ。二階の護衛はドワーフ娘で謎の傭兵アルデルだけでも十分だろう。
ベスパは開店準備をしながら考える。
(そうか…。俺の魅力ではないのか。どらいアドちゃんのドーピングが原因なんだな…。モテ期と勘違いしてはいけない。絶対に駄目。)
ベスパはなぜか急に悲しくなる。
「ベスパさん、元気ありませんね? 昨日は眠れませんでしたか?」
天使のようなリリルの笑顔。これも…CHA:12(+256)が、作り出した幻なのだ!! 元の俺になんて、絶対に…こんな笑顔は見せてくれないだろう…。
「大丈夫だよ。ちょっと、考え事していただけ」
ベスパは店舗の入り口に陣取るウドちゃんに近づく。
「CHA:12(+256)って、どういうこと??」
少し怒り気味のベスパに、「可愛いのじゃ、ベスパは、超ショタっ子なのじゃっ!!」と、会話にならなず、説明責任すら果たす気はないと宣言されたようなものだった。
(あぁ…。もう、いいよ。兎に角、冒険に行きたいっ!!)




