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犬亜人の少女

そして同じように悩む聖女ルミナリア。確かに異常な力を持つが、決して悪でも異端者でもない、ベスパを殺そうとする神殿に帰りたくはないのだ。しかし…神殿には多くの怪我人が集まっているだろう。


(でも、でも…。わ、私がいなくても…)


ルミナリアは、元々孤児であった。孤児院で治癒の魔法に目覚め、神殿に引き取られた。そこで高度な教養と知識を学び、学園まで通わせてもらっている。そんな神殿を…今では信じられないのだ。人を救う立場の者が、暗殺など…。ルミナリアは裏切られた気持ちで、心が張り裂けそうだった。


「カスーレイナちゃんって言ったね。俺達から離れないで」


ベスパは自然とカスーレイナと手を繋いだ。それをチラ見していたウドちゃんが反対側の手を取る。


「あう…。じゃ、ウドちゃんが、カスーレイナちゃんと手を繋いで」


この非常事態に小さな女の子に嫉妬するウドちゃんを可愛いと思ってしまう。


(どらいアドちゃんも、精神年齢は小さな子供なんだな…。俺がしっかりしないと)


ベスパとルミナリアの目線が交差する。二人の気持ちは固まった。目の前の人を救うのだ。


四人は、近くある避難所へ急ぐ。避難所に入ると、聖女ルミナリアの出現に、大きな歓声が沸き起こった。この街の治癒術ツートップが揃っているのだ。10分足らずで避難所の全員を治療してしまった。


「次の避難所へ行きましょう」もうルミナリアには迷いはなかった。


カスーレイナは、治療不可能と言えるほどの怪我を、いとも簡単に治癒してしまう二人を見ていると、自分の一族や自分の力に対して、情けない気持ちになる。


「私も…誰かの役に立ちたい…」


「うん? それはお前自身の気持ちと行動の問題じゃ。影の精霊を悪く言うではない」


カスーレイナは驚く。


(なぜ? 私が…精霊使いだと?? しかも召喚させしていないのに…なぜ影だと?)


次の避難所への最短ルートは、治安の悪い裏路地を通るルートであったが、ウドちゃんがいれば問題ないだろう。異臭のする裏路地は違法建築物が多く、前回崩れなかった建屋も、二度目の大地震で崩壊していた。


(この通りは…。ミニンがいる奴隷店の通りじゃないっ!?)


カスーレイナは走り出す。周りの風景だけでは、どこに奴隷店があったのか、判断がつかなかったが…。”モドレノーズ奴隷店”という看板が地面に落ちていた。


倒壊寸前の建屋に、恐る恐る入るカスーレイナ。


「お、お前はっ!! いや、誰でもいい。た、助けろっ!!」


奴隷商人の声を無視して、カスーレイナは、ミニンの安否について訪ねようと、辺りを見回すと…奴隷商人の足元に…見慣れた犬亜人の少女が履いていた靴が転がっていた。


「ミ、ミニンなら、こ、このワシを助けようと…。で、できた奴隷じゃった」


「イヤァァァァァァッ!!」


カスーレイナの叫び声に、倒壊寸前の建屋へ、ベスパは迷わず突入した。ベスパは瓦礫に下敷きになっている犬亜人の手を握るカスーレイナを見つけた。


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