禁断のキス
学園、神殿、冒険者ギルド、騎士団などで、同じような内容を何度も聞かれ、ヘトヘトになったベスパだったが…。
「もう勘弁してくれよ…。眠いから明日ね」
「はっ!? どういうことなのじゃ? 妾が…ずっとベスパを待ってたのに? 酷いのじゃ…。これは愛の危機なのじゃ! 何処の女じゃ? どんな女に浮気したのじゃ? 言うてみぃ?」
クンカ、クンカ…。どらいアドちゃんは、ベスパの匂いから女の子の匂いを嗅ぎ分けようとしている。
(ハッ! こ、これは…ノームの匂いなのじゃ!!)
「ベ、ベスパぁっ!! よ、よりにもよって、ノ、ノームに浮気するなんて、何事じゃ?」
精霊樹から上半身裸だけ出ているどらいアドちゃんは、ベスパの頭をポカポカと叩く。
「ノーム? ち、違うよ…。ドワーフだったよ?」
「はぁっ? ドワーフだと?? 何処まで浮気をすれば気が済むのじゃ…。うっ、うっ、うわ〜ん!!!」
どらいアドちゃんは、精霊樹に引っ込んでしまい声だけが、誰も居ない冒険者ギルド兼居酒屋のホールに響く。
(うわぁ…。もう疲れて早く寝たいのに…。てか、浮気って何だよ…。)
ベスパは精霊樹に椅子を寄せると、手を幹に付けながら言った。
「あ、あの…。どらいアドちゃん? 俺、浮気なんてしてないよ? ほら、泣いていたら…。ひ、膝枕できないでしょ? お、俺は、椅子に座っているから、機嫌直して出ておいでよ」
すると、どらいアドちゃんは、物凄い速さで、ベスパの膝の上に頭を出す。
「膝枕なのじゃっ!! 嬉しいのじゃ!!」
喜び興奮するどらいアドちゃんだったが、ベスパが既に寝ていたことに気が付くと、蔓や葉っぱで作った自然のふとんで自分とベスパを包み、朝までベスパの温もりを堪能したのであった。
しかし人が来る前に姿を消さなければならないどらいアドちゃんは、この最高に幸せなシュチエーションを失うのが勿体無いと思い、どうにかできないかと…浅知恵で画策する。
(建物のドアや窓を全部塞いじゃう? それともベスパを精霊樹の中に連れ込んじゃう? ぐふふふっ。これで二人っきりじゃ…。いや、駄目じゃ。どっちもベスパに怒られるのじゃ。)
膝枕の状態でベスパを見上げる。すると…そこにはキュートなショタっ子の唇があるではないかっ! どらいアドちゃんが、<神樹の種>にて、CHA:12(+97)を育成したのであるから、それすなわち自爆である。
(じ、自爆でも構わんのじゃ! チューしたいのじゃ!!)
心地よさそうな寝顔のベスパ。まるでゼリーのような潤う唇…。
(チューするのじゃ!!)
どらいアドちゃんとベスパの唇が、20cmもない距離に近づく。
(なんという可愛い寝顔なのじゃ!!)
どらいアドちゃんが、ベスパの神々しいまでの寝顔により、己の行為と己の汚れた魂を、悔いていると、ベスパの目がゆっくりと開いた。
「うん? どらいアドちゃん? も、もう朝なの?」




