乱入者
「カーッ。もう見てられねぇ。人一人殺せねぇなんて、とんだ茶番だぜ?」
新たなる乱入者は、定番の金髪ツインテールにゴーグルをおでこに当てたドワーフ娘だ。巨大なハンマーを肩に乗せて、ズガズガと近づいてくる。
「オレは、ドワーフの傭兵アルデル。ほら、どちらでも良い、金を出せ。オレが、どっちかをぶっ殺してやる」
アルデルは、早く金を出せと手をクイクイっとジェスチャーで要求してくる。
「か、金は…出す。こいつを…ベスパを殺してくれ…」
「いくらだ?」
「金貨…3枚だ…。それしか…ない…」
「ふ〜ん、で、ベスパ? お前は、いくら出すんだ?」
「俺は…払わない。というか、お前みたいな子供に、女の子に、そんなことは、させられない」
「ぶっ、ぎゃはははははっ。何だ、それ? マジで言ってんのか!?」
アルデルは腹を抱えて笑いだした。
「じゃ〜。ほれ、お前名前は? 金払え。ベスパを殺してやる」
馬乗りになっていたベスパを蹴り飛ばすと、アルデルは倒れている生徒の目の前にしゃがんだ。
「俺の名前は、ジュエルスだ。い、今は持っていない。か、帰ったら、必ず払う…」
アルデル無言で立ち上がった。
「駄目だな。今払えないなら、契約はなしだ。あ〜あ…。どうすっかな〜」
蹴り飛ばされたベスパが近づいてくる。
「なぁ。ジュエルス。妹。俺が救ってやろうか?」
ジュエルスは驚く。殺そうとしていた人間から、そんな言葉を聞くとは考えてもしなかったからだ。だがジュエルスは、ベスパの治癒魔法に、その可能性を考えていた。妹は病気なのだ。それも病名さえわからぬ…不治の病なのだ。
「ベスパ…お前、治療の魔法あるのか?」
「いや…ない。ジュエルスの妹は、病気なのか?」
「あぁ…助けられるのは、聖女ルミナリア様だけだ。だが…治療Lv3は…金貨300枚を要求されるのだ…。お前を…ベスパを殺せば…もししたら…治癒してもらえるかもしれない…」
ベスパは考える治癒Lv3か…。まだ覚えていない治癒を覚えたとして、MND:21(+162)で、どこまで効果が上がるのだろうか?
「金貨300枚? それりゃ…死ねと言ってるな。人の命に金貨1枚以上の価値なんてねぇぞ?」
アルデルは笑っていた。
「ジュエルス、諦めろ、例えお前がベスパを殺しても。俺がお前を殺していた」
通路からまた誰かが入ってきた。ベスパは注意深く観察する。何かを引きずっているようだ。たいまつの明かりに、人が、一人、二人と、顔がはっきり見えるまで、近づいてきた。
全員で4人。そして…引きずられていた人間をベスパの方へ投げる。
ベスパは黙って、ボロボロのアルネを抱きしめた。




