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動かぬ足

魔法陣の転移によって、ベスパは薄暗い空間にいた。予想外の出来事に何も出来なかった自分に今更ながら憤りを感じている。それは正直、死ぬかも知れないという恐怖を感情から追い出すためでもあった。


ベスパは深呼吸して周りを見回すと、たいまつの明かりで目立つように、ウェルカム・バックパックと書かれた看板の下に背嚢を見つけた。中身を確認すると、革袋に入った水(6L)、固形食料(3食分)、たいまつ(2本)、火付け棒(4本)、油(少々)、ロープ(4m)、中級回復薬(1本)、初級回復薬(1本)、止血剤(1本)、解毒薬(1本)、皮のカバー付きナイフ(1本)、外套が、入っていた。


ベスパは皮のカバー付きナイフをポケットに入れ、外套を着込み、バックパックを持ってきた背嚢に押し込んだ。


「さてと。こういう場合、どうするんだっけかな? う〜ん。自分より上のランクがいるなら、助けに来る可能性もある。だから動かないのも正解かな。だけど…カーデル教官は…。せめて回復魔法をかけられれば…」


照明のたいまつを手に取り、ベスパは進むことを決意した。


「あの神官は、古代の塔に入れと言っていたな。外から見て感じだと、幅200mぐらい? 高さ…結構…高かったな…。奥行きは見る暇もなかったな」


見える範囲で言えば、壁はブロックを積み上げた感じで、道幅は二人が列んで通れる。そして迷路のように入り組んでそうだった。通路を書き残す筆記用具がないため、地図を作ることもできない。


たいまつの明かりがなるべく遠くを照らすように持ち慎重に進む。すると、恐怖のためか、嫌な想像をしてしまう。


(こちらから見える範囲は30mもないだろう。この古代の塔に、魔物がいるかどうか知らないが、例えば…アルネのような弓矢を使う敵がいたとしたら…俺は良い的じゃないのか?)


ベスパは防御を意識する。VIT:3(+85)が、今では心細く感じた。


それに照明がランタンであれば、何らかの気配があった場合、外套で光を遮断することができるが、たいまつだと、そう簡単にいかないのだ。たいまつの運用方法もわからない。


ベスパは30分以上の時間が経過して、歩いた距離が20mも進んでいないことに気が付いていない。それほど暗闇と孤独は、冒険者に…初心者にとって恐怖なのだ。


ベスパは壁伝いに進むと、初の曲がり角を見つける。その曲がり角の先に、何かがいるかも知れないという恐怖と、曲がるときに注意すべき点は何なのか? などと、混乱する。


(今、自分にできることは…。守りを意識すること、正拳突きを放てる態勢を作ること、傷を受けたら回復すること、恐怖を克服することだっ!!)


左手にたいまつを持ち、ぐっと腰を落とす。右手を握りしめ、足の捻りから回転した腰と上半身に導かれ自然と前に出る拳を使って、最短距離で相手を破壊できるように…。


(行くぞ…)


曲がってみると、何も居なかった…。こんな緊張が、ずっと続くのか? しばらく通路を進むと、通路の幅が広がり、6人が横一列に列んでも歩けるぐらいになった。すると左右の壁に等間隔に、通路が口を開けていた。


通路を進んでいくと、行き止まりで、左右には合計12本の通路があった。


(ここは中継地点なのか? どれかが正解なのか…しかし、選択肢多すぎだろう…)


コツン、コツンと、足跡が近づいて来る。どの通路からか、特定できないが、右の通路からの音だということは確定だった。ベスパはたいまつを中央付近の床に置き、左の通路に入り身を隠すと、背嚢から新しいたいまつと、火付け棒を取り出した。


(まずは…相手を確認しないとな。)

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