古代の塔
アルネから放たれた矢は、スモールウリボーの眼前の地面へ突き刺さる。
「ブヒィモォォォッッッツ!!」と叫びながらスモールウリボーは逃げ出す。
「あぁ…。やっぱり範囲外だったか…」アルネは予想通りという感じだった。そよ風に揺れる赤い髪の毛をかきあげながら、ニッコリと笑うアルネは、ちょっと可愛いかなと、ベスパは思った。
(うん、おっぱいも柔らかいしな…。)
ベスパは練習した正拳突きの成果を試すこと無く、目的地の古代の塔に到着した。古代の塔のいり食いは数段上がった場所にあり、その中央には魔法陣が赤く光っていた。それは入るなと警告しているようだった。
「おかしい。敵が全くいない。どういうことだ?」カーデル教官は、ここまでの道のりと、古代の塔を守るゴーレムがいないという、ありえない状況に困惑する。
「それは…こういうことだ」カーデル教官の背後に影が現れると、首へ針を突き刺した。
「ぐっ…。お、お前たちは…。神殿の…」
カーデル教官は抵抗する間もなく、古代の塔の入り口で倒れながらも、攻撃を仕掛けてきた人物を特定した。
「おや、学園の教師ともあろうお方が…。これでは最近の生徒の質が悪いというのも納得がいきますな」
「ベスパ。アンネ。相手は一人だ。一気に行くぞ」アロックは盾とロングソードを構える。
「生徒の質が悪いと言ったばかりで、また残念な結果を見せられるとは…。誰が一人と言いましたか?」
ベスパたち三人の首筋に冷たい刃がピタリと当てがわれた。背後を振り返ることができないが、少なくても5人以上の気配がする。
「さて、ベスパくん。私達は罪人である、あなたを処分しに来ました。罪状は…偽証による権威失墜の罪です。あなたは栄えある太陽神の権威を傷付けたのです。本来は三年間ほど、拷問により苦しめた後に、処分するのですが、今回は…丁度、古代の塔がありますね。そこへの投入を持ってして、処罰を執行したとしましょうか」
影が晴れると、輪郭が浮き彫りになる。その姿は神殿の神官であった。
「神殿の神官が…なぜ?」アルネは呟いた。
「えぇ。質問は受け付けませんよ。会話するのも汚らわしい。さぁ、そこの古代の塔へ入りなさい。学園の教師がいない今、あなた達は、決して出ることは出来ないでしょうね」
アロックがドンと背中を押されて、赤い魔法陣の上に乗っかると姿が消えた。アルネに続き、ベスパまでも古代の塔へ吸い込まれていった。
「赤ですか…。では、緑にしましょうかね」神殿の神官が魔法陣に魔力を注ぐと、色が赤から青、青から黄、そして黄から緑に変わった。
「さて、学園生徒諸君。君たちには学園の質が悪くないことを証明して頂きたい。この程度の塔など簡単に出てこれないようでは、聖女ルミナリア様の護衛など任せられないからね」
「必ずやご期待に添えてみせます」と生徒たちは躊躇なく緑の魔法陣を経由して、古代の塔へ入った。
それを見ていた神官は納得すると、また影になり、その場から姿を消したのだ。
毒殺されたふりをしていたカーデル教官が起き上がる。「ふぅ〜、神殿の神官長パステルか。それにしてもラッキーだったな。より実践的にあいつらが鍛えられる。あっ…でも…学園の生徒が…。う〜ん…。まぁ、ベスパたちには悪役になってもらうか…。後はギルドに任せてしまおう…」




