表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/71

全てを武器に

山ごもりに必要な物は、学園とカーデル教官が、ほとんど用意してくれるので、個人の準備としては、着替えぐらいしかない。三人が持っていくものは、小さな背嚢のみだ。


「これからは、実戦形式ではなく、実践を取り入れる。そこに、お前たちの次の壁がある。お前らの資料を読むとだな。卒業試験の鎖に繋がれたゴブリンを殺すことに躊躇している。もし、躊躇しなければ、お前らは誰も怪我することもなかっただろう」


アルネは無意識にゴブリンに噛み切られた首筋に手を当てていた。


「だが、誰もが躊躇して当たり前だ。それは間違っていない。寧ろ、初めてで躊躇しねぇ奴は、将来トンデモねぇクズ野郎になる可能性が高い。今日から一週間は、動物や魔物、1日に何体の命を消すのか、わからねぇ。罪の意識が消え、段々と感覚が麻痺していくだろう。だが覚えておけ、動物も、魔物も、人間も、同じ命だ。一つしかねぇと…。あぁ…最後にな。人間も殺すかも知れねぇぞ。まぁ、機会があればだがな。しかし人間も一人は殺さねぇと……。一人前とは言えねぇ。お前たち新人はな。意思が通じたり、言葉が通じる相手に、必ず遠慮しちまうんだ。例え相手がこちらを殺すつもりでもな…」


ベスパ達は、カーデル教官と共に、卒業試験と同じく、北門から出た。前回と同じように草原をするむと、これまた前回と同じくスモールウリボーに遭遇する。


「今は連携の必要はない。アロック。まずはお前からだ。型を意識しながら、スモールウリボーを倒せ」


ベスパには、アロックが完全に軽量フルプレートアーマーを着こなしきれていないように見えた。軽量と名の付く鎧でも、それなりの重量があるのだ。つまり完全に支配下に置けず、手に余る鎧なのだろう。しかし、ベスパの予想は覆された。アロックは腰を落とし防御姿勢を取り、スモールウリボーの突進を盾で受け止た。


「よし、アロック。型を意識して、自分のイメージ合うタイミングまで、敵の攻撃を耐えろ」


「スモールウリボーの突進をあんなに軽々と受け止めた??」アルネはアロックが吹き飛ばされるものだと思っていたのだ。


「何故だわかるか? アロックは、鎧の重さも利用し、スモールウリボーの突進力に対抗しつつ、フルプレートアーマーのつなぎ目を、上手く噛み合わせて、筋力でなく、フルプレートアーマーの硬さを利用して、突進のエネルギーを上手く大地に逃がしたのだ。まぁ、わかりやすく言うと、スモールウリボーは、ただの鉄の塊に突進したと同じということだ」


「そんなことができるのですか!?」今度はベスパが驚く、何その達人風な防御方法と。


「あくまでも、格下や同等、それも単純な攻撃のみにしか、まだ使えないだろうな。あれはな…。鍛冶屋のスキルだ。<鎧の仕組み>を戦いの応用しているのさ」


カーデル教官は、教育を学園生が必ずしも優秀だと思っていない。一般には一般の強みがあるのだ。


そして、何万回と繰り返されたアロックの袈裟斬りが、スモールウリボーの脳天を斬り裂いた。


「よし、上出来だ。魔石を採取後、反省点や改良点をまとめてから、報告しろ」


ベスパは悔しかった。ベスパだって、何年間も居酒屋で働いていたのだ。それもいい加減に働いていたわけじゃない。戦闘に使えなくても、その働いた結果がスキルとして欲しかったのだ。


解体作業が苦手なアロックは、魔石の採取に手こずっていた。


「カーデル教官。あそこにも、スモールウリボーがいます。私にやらせてください」


なんと、カーデル教官でさえ気が付かなかったスモールウリボーを見つけたアルネ。しかも、相当の距離がある。


「良いだろう。やってみろ」


矢を構えたアルネは、深呼吸をすると、流れるような動作で矢を射る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ