アロックとの再会
ベスパが一歩踏み出すと、子供の親らしき男性から、「見世物じゃねぇ、ガキは引っ込んでろっ!!」と強烈な罵声を浴びさられた。
「俺は、治癒術師です。あなたこそ、邪魔しないで下さい」ベスパは言い争いをしている場合じゃないと、子供に近寄る。
(ここで、止血Lv1をかけたら、足は再生するのかな? う〜ん、あのときも3種類で対応できたし、問題ないだろう…。)
ベスパは、止血Lv1、再生Lv1、回復Lv1を連続して、発動し続ける。すると、ペチャンコだった子供の足が、みるみる再生していくではないか、それを見ていた全員が驚く。2セット目で完全に再生したにも関わらず、ベスパは3種類の魔法を6セット、念入りに繰り返した。
「よく頑張ったね。立ち上がれるかい?」
ベスパは子供の頭を撫でながら、回復の状況を確認するため、立つようにお願いした。
「うん。た、立ってみる」子供は、恐る恐る立ち上がるが、問題なく立てることがわかると、ピョンピョンと飛び跳ね始めた。
「あ、あんたは…一体…」子供の足を諦めかけていた親が、まるで神を見るような目つきで、ベスパに問いかけてきた。
「おい、ジーゼ。鍛冶屋から焼けた鉄板を…」その男は目を疑った。先程まで足が潰れてしまい、生死を彷徨う寸前だった子供が、ピョンピョンと飛び跳ねていたのだ。そして、その男が連れてきた焼けた鉄板を持つ少年こそ、ベスパが探していたアロックだった。
「ベスパっ!? ここで何をしているんだ?」
用事があるのでと、謝礼を断り、ベスパはアロックと共に歩き出した。
「でも。鍛冶屋だらけなのに、何で一本先の通りにあるアロックの鍛冶屋が、焼けた鉄板を?」
「あぁ…。止血に使う焼けた鉄板ってのは、縁起が悪いんだ。負を背負い込むらしいと言い伝えがあってな。だから、大体の鍛冶屋は拒否するのさ」
「そうなんだ。アロックの家は、すごいな」
「変わりの者の父親なだけだ。それよりも、一体、俺に用事があるって、何だ?」
ベスパは、街の学園の『短期冒険者講座』を一ヶ月間、無償で徐行できることを、アロックに話した。
「マジカよっ! 絶対に行くよ。バカ親父にも、どうせ落ちたんだろと、馬鹿にされてて、今も喧嘩していたところだったんだよ」
「あれ? そう言えば、この手紙、ホルスの分がないな…」
「ホルスは、元々学園の生徒だ。あそこの家系も変わっていて、在学中に冒険者の資格を取らせるのさ」
「なるほど…。金持ちそうだもんな」
「ははっ。そうだ、ベスパ、家で昼飯食っていけよ」
「いいのか?」
「あぁ、勿論だ」
ベスパの目の前にあるのが、アロックの家。イフルダース工房と看板が出ていた。
「あれ? アロックって、姓持ちなの? 貴族様だったの?」
「元な。爺さんの代で、貴族からただの市民になった。俺は今の方が好きだけどな」




