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汚染された工業地区

(そう言えば、昨日の夜、どらいアドちゃんは、冒険に出れない一ヶ月間、<神樹の種>を作ると言っていたな。で、公園の子供たちと、遊び納めをするとか…。)


気になったベスパは、公園を見に行こうと決めた。


(確か公園は、この辺りのはずなんだけど。)


3,4歳の頃、遊びに来たときの記憶を頼りに公園を探す。


(10年も経つと、家も道も全然変わちゃって…あったっ!)


ベスパは、建物に身を隠しながら、そっと公園の様子を伺う。どらいアドちゃんこと、ウドちゃんは、騎士の装備のまま、5歳ぐらいの子供たちと、鬼ごっこをして遊んでいた。しばらく様子を見ていると、子供たちは入れ代わり立ち代わる。それに合わせて、ウドちゃんの遊びも砂遊び、人形遊び、冒険者ごっこと、変わっていくのだ。


「本当に助かるわ〜」

「ウドちゃんがいれば安心ですものね」

「しっかりと全員を見守ってくれますからね」

「でも、明日からしばらく、来れないみたいですのよ」

「あら、残念ね〜」


などと、ご近所の評判もなかなかだ。


ベスパは何だか誇らしくなり、アロックの家に向かうことにした。


(確か、アロックの家は、鍛冶屋だったな。となると、家は工業地区だよな。工業地区は初めて行くから、ちょっと楽しみだな)


工業地区は商業地区の華やかさとはことなり、土に埃、油にまみれていた。そこら中から、鳴り響く金属音、とめどなく溢れる謎の煙、通りにはみ出した資材、汚れきった作業着を着る屈強な男たち。


(うっ…。ここは…ある意味、貧民街よりも酷いかも…)


アロックの住所を確認するが、それが何処にあるのか、まったくわからない。ベスパは資材置き場にいた男性の声をかけた。


「すみません! この住所に…」


カキンッ! ドカンッ!! ボーッ!!! 雑音が凄すぎて会話も出来ない。


「あぁっ!? もっとでかい声ではなしやがれぇ、おめぇ、それでも金玉付いてんのかぁ!?」


ベスパは思い切り息を吸い込んで、怒鳴るように質問をした。すると、どうやら聞こえたようだ。


「それなら、ここから3つ目の通り、第5通りを左に曲がって、4軒目の鍛冶屋だ」


「ありがとうございます!!」怒鳴るようにしてお礼を言う。


(しかし、耳がキンキン言って、息苦しくて、目眩がする…。)


なぜ工業地区の住民は、これで生活ができるのだろうか? ベスパは不思議で仕方がない。2つ目の通りを渡ると、何やら人だかりが出来ていた。ベスパも人だかりの隙間から様子を伺うと、小さな子供の左足が潰れて苦しんでいた。どうやら通りで遊んでいたら、資材が崩れて下敷きになったらしい。


「おい、頑張れ、足を切断するぞ。火だ。誰か焼けた鉄板を鍛冶屋から、もらってこい。傷口を焼いて止血する」


「いやだぁ、足、足を切らないでぇ!!」


ベスパは驚いた。足がアレほど潰れているのにも関わらず、痛みに耐え気絶すらしていないのだ。早く助けてあげないと!! ベスパは一歩足を踏み出すのだった。

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