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品切れ

声の主を探すと、そこには幼馴染のベルフォレートが立っていた。ベルフォレートは商人の息子だ。ベルフォレートの父親が、うちの父親を護衛クエストで何度も指名してくれていたから、いつの間にか仲良くなっていたのだ。10歳になったら一緒に学園に通う約束もしていたのだ。


「久しぶりだね。ベスパ。朝から、こんなところで。随分と良い身分じゃないか?」


声変わりをしていないベルフォレートにベスパは、本当に5年前が、つい昨日のように感じていた。


「恥ずかしいところを見られちゃったな」


ベルフォレートは、何とも恥ずかしそうにするベスパに、昔通りの親しみやすさを感じていた。それに声変わりもしていないベスパに、物凄い仲間意識を感じていた。


「予定通り、冒険者になったのかい? クラスはお父さんと同じ拳闘士?」


「う〜ん。昨日、卒業試験だったけど、結果発表はまだ…というか一ヶ月ぐらい後になりそう。それに俺、拳闘士じゃなくて、治癒術師なんだ」


「治癒術師? お母さんの才能を受け継いだのか? へぇ…それにしても…あれ? 治癒術師って…聖女ルミナリア様が…騒いでいた? いや…まさかね」


二人は5年間も離れ離れになっていたのも関わらず、昔のように自然と会話できていることに驚いていた。すると通りの反対側から、二人の会話を邪魔するように、商業通りに似つかわしくない荒々しい声が聞こえてきた。それは奴隷たちを連行していた奴隷商人の声だった。歩けなくなってしまった猫亜人の奴隷少女に鞭を打ち、怒鳴り、引きずる奴隷商人を、通行人は遠巻きに見ていた。


ベスパは思わず拳に力が入る。それを見ていたベルフォレートはベスパの拳の上に手を乗せる。


「駄目だよ、ベスパ。力なき正義は正義とは言えない。そして武力だけでは解決できないこともある」


ベルフォレートが、ベスパを諭していると、通りの反対側から奴隷ではない悲鳴が聞こえてきた。奴隷商人の影から出てきた何者かが、奴隷の鎖を切断し奴隷を逃してしまったのだ。逃げる奴隷に驚いた通行人たちはパニックになる。蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった奴隷を追うこともできない奴隷商人は呆然と道に立ち尽くす。


猫亜人の奴隷少女も無事逃げられたようで二人は安心した。


「おーい。ベルフォレートっ! 巻き込まれないうちに、早く行こうぜぇ!」


「あっ、ごめん、もう行かなくちゃ。ベスパ、またね。」


「うん、またね」


ベルフォレートは友人と共に去って行った。ベスパは逆に動くと不味いと思い、ゆっくりとチョコカフェオレを堪能することに決めていた。


ベスパは余計なトラブルに巻き込まれないように自分のステータスを確認することにした。すると治癒術師のレベルが7まで上がっていたのだ。ボーナスポイントも12ポイント貯まっている。


(う〜ん。ボーナスポイントの使い方は、冒険者ギルドの受付嬢のアレーラさんに相談した方が良いかも)


また楽しみが増えてしまったベスパは、ちょっとした休憩に、銀貨2枚という大金を支払い店を後にした。


そのご商業地区の雑貨屋をはしごするが、ランプも食器も在庫が全くない状態であった。在庫自体が地震で壊れてしまったのと、余っていた在庫は全部買われてしまっていたのだ。


(それはそうだよな…。何処も皆同じ状態なんだろう)


ベスパは諦めて居酒屋に帰り、居酒屋の店主アルバに商業地区の雑貨屋の状況を話すと、「しばらくは店も休業だな〜」っとがっくりと肩を落としていた。


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