第二話 ゼリー
その後はもちろん縄で芋虫にして、笑顔のウィルロットさんに引き渡したよ。
でもね。
その数分後。
なんでか、あたしの目の前で『お茶うまぁ~』とかふざけた顔でお茶すすってた……。
ドカーン
笑顔のままのウィルロットさんが足でドア破壊して入ってきた。
『陛下。そんなに死にたいのですね』
って。
おバカさんに聞いていたのは聞かなかったことにしたよ?
もちろん。
剣を抜いておバカさんののど元に当ててたなんてこともね!
知らない知らない。
あたしはなーんにも知らないよ?
知らないったら知らないんだから……!!
だって、顔ごと必死にそらして窓を見つめてたけど、横目でばっちり見えてたなんてこと、無いんだからね!
おバカさんのとばっちりは絶対ヤだ!
額に青筋浮かべて満面の笑みを浮かべてる人にあたし近づきたくないもん!!
怖い、怖いんだよ?!
怒ってる執事さんが傍に居るみたいで!!
……ホントに、ウィルロットさんって執事さんと血、繋がってないよね?
最近それが信じられなくなってきてる。
いや、まぁ。
ウィルロットさんがお父様とお母様の本当の子供ってことは知ってるよ?
でも。
それを信じられなくなるくらい、良く似てるんだ……。
性格とか、雰囲気とか。
…………その他もろもろが、ね。
レティさんは……。
うん。
怒ったとこ見たことないから知らない。
でも、一緒にしてとっても楽しい性格だよ!
時たまお菓子に唐辛子混ぜたり、トマト混ぜたりして地味に悪戯を仕掛けてくるけど、その辺は許容範囲。
だって、一緒に居るスティアナ様の表情を見ればすぐにわかることだもん。
……まぁ、作ってくれたものだから、食べるけどね。
残したりはしないよ。
だって食べ物と、作った人に失礼だからね!
…………とか言って、トマトのゼリー出されたときは笑顔でその存在、無視したけどさ……。
言ってることがむちゃくちゃだ?
そんなの知ってるよ?
でもね。
ゼリーの中にトマトまるまる入ったヤツ。
トマトゼリーってレティさん言ってたけど、ゼリー1:トマト9の割合だった……。
しかもそれ、トマト一つ入る大きさの型で作ってあったから、それ一つで一人分。
綺麗に皿に載ってた。
……こんなの食べれる訳ないじゃん!!
って、内心で絶叫して、視界に入れないようにした……。
この時レティさんは。
すっごく笑ってた……。
酷いよね…………。
泣いちゃうよ?
まぁ、泣かないけど……凹むよ?
……あぁ。
緑の液体弾けるあの忌まわしい外見詐欺のせいで、あたしの気分ダダ下がりだよ……。
大体外見だけなら食べてみようかなって思えるけど、中身が……。
あのなんとも言えない酸味?
べちょ?
ぐちょ?
とにかく無理。
見とくだけなら平気。
口にするのは絶対無理!
あぁいけない。
学園から始まって、お父様たち、おバカな王様、義兄、レティさん。
なんで皆。
あたしの精神ガリッガリッ削るのかな?
ホント。
かんべんして……。
はぁ……。
ため息が出た。
気にしない。
馬車の中、あたしが座っている座席の正面。
そこにはあたしのお気に入りの本。
その中には、ウェルコットさんが書いた本が一冊ある。
前作は絶版になってて、買えなかった。
まぁ、内容知ってるからよしとする。




