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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第二章 変人公爵の娘
95/168

第四十二話 範囲

「―――――であるから、こうなります。わかりましたか?」

 はい。

 ただいま、算数のお勉強中です。

 え?

 歴史はどうしたって?

 もう終わったよ。

 でもね。

 執事さんが『では、国語のお勉強をしましょうね』。

 って笑顔で言って。

 それが終わって、算数。

 日も暮れて来たよ……。

「お嬢さま……?」

「あ、はい。わかりました!」

 危なっ!

 また『お勉強です』なんて言われたらどうしよう……。

「よろしい。では、これで王立オガクドファルダー学園。編入試験の範囲は終了ですね」

 何その無駄に長い学園ってやつ。

 あたし、一回聞いただけじゃ覚えきれなかったんだけど……。

 えっと、がにふぁーだ?

 だったっけ?

 えっと……。

 って!

 ちょっと待った!!

「それ、どういうとこ?! 執事さん!」

「? ですから、今年の秋にお嬢様が編入なされる学園の、試験範囲です」

「いやいや! そうじゃなくって!! なんであたしがそんなとこ行かなきゃないの?!」

「それは、旦那様が――――」

「お父様が何かしたの?!」

「……旦那様が、オガクドファルダー学園・学園長様との勝負に負けたそうで。お嬢様が全寮制のオガクドファルダー学園に編入する話になっております」

「え……?」

「お嬢様。旦那様からお聞きでは………?」

「聞いて、ない、よ……?」

 うん。

 何一つ。

 ……初耳なんですけど?!

 って。

 ちょっと待って!

 『全寮制』って……まさかあの全寮制?

 え?

 家から通うんじゃなくって、泊まり込み?

 …………それじゃぁ、あたし娘になった意味ないじゃん!!

 ねぇ!

 どういうことなのさ!!

 お父様!!!!

 しかも秋って!

 春はもうとっくの昔に終わって、夏だよ?

 秋なんてすぐやってくるんだよ?

 なのに、秋?

 それにお兄様とウィルロットさんは学校通ってないよね?

 だって、ノエルさんが教員の資格持ってるから、自宅学習してたもん。

 あぁ。

 エドレイは、国自体がそう言うの認めてるし。

 大半の貴族が自宅学習してるって話だよ?

 なのに、あたしに学校に行けと?

 変だよね?

 絶対変だよね?

 ……あぁ。

 勝負に負けたんだっけ…………。

 お父様。

 てか、何したの?

 …………まさか。

 あの時ぐでんぐでんに酔っぱらってたのと関係あったりして……。

 ……まさか、ね。

 でも、そんなことわかったって、あたしの編入の話はなくならないんだよね。

 しかもその試験に落ちたら、執事さんの勉強&トマト漬け(攻め)にあいそう……。

 うん。

 …………やりそうで怖い……。

 なんて考えてたらノック音。

 執事さんが『どうぞ』と声をかけた。

「失礼いたします。旦那様がお戻りになられました」

 ドアが開いて、顔を出したのはギルデさん。

 執事さんは、軽くギルデさんの方を向いた。

「わかりました。ではお嬢様、今日のお勉強はこれまで。お疲れ様でした」

 執事さんは本を束ねてそう言うと、小脇に抱えた。

 うん。

 その本一冊の厚みが良くわかるよ……。

 足の上に落としたら痛そう。

 って、返事返事!

「あ、はい。ありがとうございました」

「では、私はこれにて失礼いたします」

 執事さんはそういって、ギルデさんと一緒に(多分)お父様のとこに向かった。

 お父様が戻ってきたってことは。

 晩御飯!

 あたしはさっきまで使っていた道具を軽くまとめて、部屋に持って帰った。

 で、それを部屋の机に置いて、リビングに向かう。

 今日はどっちで食べるのかな?

 食堂?

 キッチン?

 ……執事さんが食事のマナーに目を光らせるよ…………。

 でも。

 最初の頃は毎日マナーについて注意されたから、今は何とか味が解るようになったよ……。

 ……勉強と称して、スプーンとフォーク、ナイフに、何も載ってない皿を前に出されてね。

 『良いですか、お嬢様。マナーとは』から始まって、くどくどくどくど言われたから、何も考えなくてもできるようになったんだよ……。

 さて。

 そんな感じで考えながら歩いて、リビングにつきました。

 ふぅ……。

 マナーってめんどくさいけど、大切なんだね。

 とか結論を出しながら、ドアを開けて中に入る。

 そこにはイチャつくお父様とお母様が……。

 ……イチャつくのは、自分たちの部屋だけでやってくれるといいのにな…………。

 でも、そろそろ慣れと言うか、呆れそう。

 だって、ため息がこみ上げてくるんだ……。

 まぁ。

 必死に抑えるけどね。

 ……とりあえず。

 なんであたしが全寮制の学校に行かなきゃなのか。

 お父様を問い詰めよう。

「おかえりなさい。お父様」

「ハッ!」

 お。

 一気に現実に戻ってきたよ!

 そして、目を泳がせた。。

 お母様はお父様の顔を心配そうに見上げてる。

「あたし、全寮制の学校に行かなきゃなのは、どうして?」

 ふふふ。

 これでも怒ってるんだよ?

 激怒って程じゃなくて、イライラって感じね!

 それと。

 どうやら執事さんの影響か、軽い怒りだと笑顔になるみたい。

 だって、頬が笑顔作る時みたいになってるから。

「え、えぇっと……」

 狼狽えるお父様。

 言い訳を見つけてるんだと思う。  

 ……なんで言い訳なんてしようとするの?

 そのまま言えばいいんだよ?

 そうでしょう?

「お父様?」

「ッ……! あ、え、うんと……。お酒入ってて、うっすらとしか…………」

「……………………」

 どうしよう。

 これがお父様じゃなかったら、ナイフ投げてる。

 まぁ、お父様だからそんなことしないけど。

 腹が立つものは腹が立つ。

 なんて言おっか……。

「エルー。まさか……」

 お母様は口を元手を当てて、驚いた顔。

 それを見たお父様は、泣き出しそうだった。




 こうして。

 泣き出したお父様から聞き出した話だと。

 お酒を飲んで、ほろ酔い気分の時に、何とか学園の方の学園長があたしを学園に通わせないか。

 って、行ってきたらしい。

 お父様は断固拒否。

 向こうはそれに下がらず。

 『では、飲み比べよう』と言って、お父様は拒否。

 しかし、相手の押しに負け。

 飲み比べにも負け。

 翌日良いの冷め、仕事に向かっている途中、学園長遭遇。

 丸め込まれたお父様。

 しぶしぶ了承したらしい。

 そして、あたしにはどうしても言えなかったそうだ。

 うん。

 ホント、これがお父様じゃなかったら手が出てたよ。

 ……あれ?

 お父様の外面って。

 確か。

 『頭の切れるだけではなく、武術にも秀でておられる素晴らしい方』って、この辺じゃないとこでは有名じゃなかった?

 大昔、いや。

 古代の話だったっけ?

 …………まぁ、いいや。

 忘れよう。

 お父様は変人なだけだから。

 うん、そうそう。

 きっとそうだよ。

 そんな感じて、夏が終わり。

 秋になった時。

 あたしのもとには、学園側から合格通知が届いた。

 出来れば不合格通知の方が嬉しかったな……。

 うふ。

 うふふふふふふ……。

 お父様の。

 お父様の……。

 馬鹿ぁぁあぁぁぁあああ!

 あたし、名前が変な上に長い学校なんて行きたくないよぉぉぉお!! 

 うわぁぁあぁぁああああぁぁぁん!!

ここまで読んで下さった皆様へ。

この話で第二章を終了です。

次の話から第三章です。


…………気長に第三章まで付き合って下さる方が居て下さると嬉しいです……。

そして。

書いた私自体。

主人公の暴走具合に付いて行けていない、訳の分からないところが多々ある小説をお気に入り登録してくださった皆さま。

ありがとうございました。

皆様のおかげでくじけそうになりつつも第二部を完結することができました。

本当に、本当にありがとうございました。

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