第四十二話 そう、なんだ……。
こうして。
何とか頑張ったあたしは、あてもなくふらふらとキッチンにたどり着いた。
そしたらギルデさんが居た。
で、椅子に座って愚痴ったら笑顔で言われたこと。
「良かったね、ニコちゃん。執事さんが旦那様を止めてくれて」
もうしみじみと言われたんだよ。
どういうことかなぁ……?
「? ギルデさん、それってどういう事?」
「……養子縁組の紙。あれね、ニコちゃんが直接書かなくても受理されるんだよ」
「え。そう、なんだ……」
「うん。だから、早々に提出しようとしていた旦那様を、執事さんが説得したって奥様が」
困った顔で笑うギルデさん。
ちなみにギルデさんは食器と鍋を洗ってます。
手は動きっぱなし。
やっぱりあたし、手伝おうかな……。
雑用しかできないけど、いないよりはマシなんじゃないかな?
……って。
あれ?
今ギルデさん、変なこと言わなかった?
確か、養子縁組の紙は、あたしが書かなくても受理され……。
「って。…………うそぉ……」
「本当だよ。執事さんに聞いたら、『本人の意思を尊重することを促しただけです』って答えてくれたから」
ギルデさんは洗ってる鍋に目を落としたまま、答えてくれた。
どうやら汚れは頑固で、なかなか落ちないみたい。
……やっぱり手伝お――――。
「お嬢様。お暇なら、お勉強をいたしましょうね」
「?! し、執事さん…………」
出たぁぁぁぁ!!
どっから湧いたのさ?!
てか勉強って、またマナーとかダンスでしょ?!
ヤダ!
絶対ヤダ!
そんなことするくらいなら剣握ってた方が楽しいもん!!
「さぁ、お嬢様」
すっごく笑顔ですね。
まぶしいよ……。
お目めが焼けちゃうくらい……。
あはは。
そうなったら怖いね!
うふふふふふふ……。
――って、え……?
あれ、ちょ、待って執事さん。
なんであたしを横抱きにしたの?
そしてなんで笑顔?!
「これから、歴史のお勉強をいたしましょうね」
……うそん…………。
やっと解放されたのに……。
ふっ。
知ってる?
ここで全力で拒否ったら、ご飯がトマト一色になるって……。
「………………はい……」
あたしはそれだけは避けたいから、ノエル先生の授業をとるよ……。
あ、あはははははははは、は、は、ハァ…………。




