第二十七話 深爪したら?
……お兄様。
めんどくさいのは分かってます。
でも、めんどくさいって顔だけで言わないでよ……!!
お願い!
本当にお願いだから、助けて!!
無言で訴えるあたし。
そんなあたしに、お兄様はとってもめんどくさそうなまま、がしがし頭を掻いた。
って、ちょっと!
なんであからさまにめんどくさいって顔になってんの?!
『めんどくさいから。自分で何とかしなさい』って雰囲気出さないでくださいよ……!!
「…………はぁ……。母さん。ニコは恥ずかしがってるだけ。だからそんなこの世の終わりのような顔しない」
やっとあたしの無言の願いを聞き届けてくれたお兄様!
ありがとう!
ホントありがとう!!!!
「え? ……本当、ニコ?」
驚いたような声を出したお母様。
いや、まぁ、確かに恥ずかしくなったってのもあるから間違いじゃない。
そう思ってお母様の顔を見て、笑った。
うん。
上手く笑えなくってヘラッて感じになったのはご愛嬌。
お母様はきっと気にしない!
「よかった……。母さん、今度こそ嫌われたのかと思ったわ」
「って、え?! なんで!!」
「え? だって、急に離れようとするから、抱き着かれたくなかったのかなって……」
「違うよ! 嬉しかったの! でも、その……」
「『拗ねてるみたいで悔しかった』。おまけに、母さんにすがりついたのがそれを肯定しているように感じた。だから離れた。違う? ニコ」
ニヤッと笑うお兄様。
っち。
全部筒抜けだったよ……。
「ほらほら、ニコ。そんなむくれない」
そう言って、プスッとあたしのほっぺを人差し指で押したお兄様。
ぷっと抜ける空気。
……油断してたせいだ。
うん。
ちゃんと唇閉めてたんだけど?
そして、頬にあたった爪が痛かった。
伸びすぎ!
もう絶対仕返ししてやる……!!
覚えてろ!
…………いや、まぁ。
そんな勇気なんて毛ほどもの持ってないけどさ……。
いつか。
そうだ!
いつの日か必ずこの雪辱果たしてくれるわ!!
はーっはっはっは!
………………どこの時代劇?
うん。
言ってみたかっただけだから、気にしない!
「ニコ。戻っておいて」
お兄様はそう言って両手を叩いて二回、音を立てた。
軽くどこか行きかけてたあたしは、これに驚く羽目になった……。




