第二十八話 素直が一番さ!(多分……)
まったく。
いつの間に傍にきたんだろ……?
……てか。
気づけなかった……。
あぁ、それと。
あたし、ペットじゃないんだけど?
お兄様はあたしを犬か猫と感違いしてるのかな?
……してそうで怖い…………。
だって、輝かんばかりの笑顔で笑いかけてくるのが目に見えてるもん。
それに、そんなことされたら、すぐそばに居るお兄様の顔面殴っちゃいそうだし。
…………あぁ。
なんでだろ。
『ひらりと交わされて、一発もあてられないだけ』
って結果と、そのシーンが頭に浮かんだのは……。
……ふん。
どうせ。
あたしは弱虫でいじけ虫ですよ~っだ!
ふーんだ!
「はぁ……。ニコ、どうした?」
困った顔のお兄様。
「どうもないもん……」
「なら。どうしてそんな顔してるの?」
「元からだもん」
ふーん。
すねてなんかないもーん!
ふーんだ!
あたしは腕を組んで、お母様もお兄様もいない方に、顔をそらした。
フン。
お兄様は『卑屈』だって言われてるの知ってるんだから!
「……誰がそんなこと言ったんだい? ニコ」
微笑んで聞いて来た鬼様。
失礼。
お兄様……。
ただ。
問題は目。
ぜんっぜん笑ってないから!
微笑みになってないよ!!
てかあたし口に出してないからね!!
「なに困惑した顔してるの。ニコ? ばっちり聞こえたよ『お兄様は『卑屈』だって言われてるの知ってるんだから』ってね?」
…………嫌だな。
聞かなかったことにしてよ。
あたしが言ったことだけど、そんな。
お兄様が卑屈だって思ってないんだから!
でも、ここは何か言っておいた方が断然いい。
となれば。
素直にしゃべるに限る!!
あたしは自分の身が可愛いんだ!!!!
「あ、あははは! えっとね、絵本に出てきたんだよ!」
「ふふふ。ニコは素直で良い子だね。ふふふふふ……。母さん。来てそんなに立たないけど、帰るよ。……大事な用事が出来たから」
お兄様はそう言って、笑っていない目と雰囲気で、『ふふふ』と怪しく笑い声をあげて、消えた。
これにお母様はきょとんとした後。
無邪気に笑って、いなくなったお兄様に向けて『いってらっしゃい。体に気をつけるのよ』って言った。
まぁ。
その声は、もういなくなったお兄様に届いていないと思う。
けど、そんなお母様につられて『いってらっしゃい』と声を上げてしまった。
……うん。
あたしとお母様以外誰もいなくてよかった。
だって、お兄様が居なくなってから、あたしたちを見た人が居たら、完全に頭がおかしい人みたいに見えるもんね……。
まぁ、気にしないけどさ。
でも、お父様と同列に見られるのはすっごく複雑なんだよね……。
…………これで勘違いしないでくださいね?
あたし、『お父様が嫌い』とは言っていないので。
(変なとこ除いて)大好きですから!
お父さんっ子です!
……って。
あれ?
でも、お母様も大好きだから、お母さんっ子?
ん?
お兄様っ子?
執事さん、ギルデさん、マーティさん、リディさん大好きっ子?
……どうでもいっか!
とにかく、みんなが大好き!
それでよし!!




