第二十二話 『成長期』なんだよ?
てな訳で。
帰ってきました。
家と呼ぶには無駄に広くて大きすぎる我が家!
ちなみに執事さんは今。
ディティナと馬車を綺麗にしてる。
あたしも手伝うって言ったら、やんわり断られちゃったけどさ……。
いや、まぁ。
身長があれだから、高いとこ無理だけどさ。
……あ。
これじゃあたしがチビみたいだね。
違うよ。
違うからね……?
ちゃんと、成長してるからね?
…………うん。
してる。
ちゃんとしてるから。
だって二年前と比べたら背、一センチ伸びたし!
……九歳の子より背が低い。
なんて事。
……………………ないんだ、よ……?
そうだ!
平均よりちょっとだけ小さいだけなんだ!!
うん、そう!
だって、あたし成長期だし、これからうんと伸びるんだよ!
…………でも最近。
ちょっぴり悲しい事があるんだ。
何が悲しいかって言ったらね。
ひょいひょい担がれたり、小脇に抱えたりして、荷物みたいに運ばれちゃうことと。
…………同い年の子と並ぶこと……。
……いや、だからあたし成長期なんだよ?
それなのに身長とかあんまかわんない……。
だからちょっと前、調べたんだよ?
そんでわかったこと。
成長期には個人差があるらしい。
あたしは思った。
『きっとあたしはその個人差の中で遅い方なんだ』ってね!
いやぁ、それを知った時の安心感と言ったら……。
もう踊りだしちゃいそうだったんだから!
いや、まぁ、図書館だったし、人の目があったからそんなことしてないよ。
だってあたし。
なんて言ったって常識人だから!
って、アレ?
執事さんがディティナをブラッシングするのを止めて、急に振り返ったよ?
なんか不思議そうな顔してる……。
「お嬢様。一人で百面相してないで、着替えて奥様とギルデ達に、報告に行かなくてよろしいのですか?」
「あ。そうだった……」
「ふふっ。私の傍に居ても、お手伝いはさせませんよ? なにより、疲れているでしょう?」
微笑んで心配そうにいった執事さん。
ねぇ。
なんでそんな顔と優しげな声なのに『異議は認めない。即刻屋敷に入れ』って聞こえたのは、あたしの気のせいだよね……?
うん、そう。
きっとそう。
でもね。
あたし、執事さんの言葉は無視しないよ?
例え勘違いでも、ね……?
…………逆らうと後が怖いんだもん……。
おまけに正論の嵐だけで頷かないと、あれが……あれが…………。
……………………なんでもない。
気にしないで下さいね?
ただ、初めて執事さんの正論の嵐を突っぱねたあの日。
そう。
それを思い出しただけだから……。
…………あの日の朝食は、テーブルに八等分に切られた赤い実のサラダ。
赤いスープと固形物。
赤いパンと固形物。
赤いおかず。
赤い…………デザート……。
味はあたしの大嫌いなあれ…………。
うん。
あたし、あれって人間が食べちゃダメだと思うんだ。
だって……。
だってだって、口の中でべっちゃって、ぐちょってぇぇぇ!!!!
なんとも言えないあの酸味と味が…………。
うげ……。
思い出したら気分が…………。
と、とりあえず。
執事さんの言うとおり、部屋いって着替えて報告に行こう!
あたしはそう決めてすぐさま部屋に行って、パパッと着替えを済ませた。




