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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第二章 変人公爵の娘
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第二十話 これ夢!

 なんかとっても穏やかそうな人だけど、あたしは見たことない。

 ていうか、会うのが初めてなら、なんであたしの名前を知ってるの?

 意味分かんない。

 そもそも、この国にこんな色した髪の人なんていないんだけどなぁ。

「ふっ……」

「…………シルヴィオ……おっと失礼。私はウェルコット・オルバーナと申します」

 話しかけてきた男の人は、ソファーに座ってるお兄様(仮)が小さく笑ったのをみて、ギロッと睨んだあと、あたしの方を向いていった。

 お兄様(仮)を睨んだ短い時。

 さきほどまでの穏やかさはみじんもなかった。

 でも、問題はそこじゃない。

「え? あの絵本の作者?!」

「えぇ」

「ホント? 嘘じゃないの?」

「そうですね。私的に、怖いと言って屋根裏に押し込まれたことの方が嘘だといいのですね」

 微笑みを浮かべ、穏やかに言った男の人・改め、ウェルコット・オルバーナさん。

「あ、ごめんなさい……って、なんで知ってるの?!」

「なんででしょうね?」

 いやいや。

 意味深に微笑まれても……。

 あたしにはわかんないからね。

 超能力が使えるわけじゃないんだから。

 ……とか言いながら、実はばっちり考えてたりするんだけど…………。

 なんでだろう。

 真っ先に出てきたの、この人が超能力者って答えなんだけど……。

 まぁ、そんな人いないって解ってるんだよ?

 だいたいそういう人って、色々考えてそういう風に見せてるだけなんだから。

 ってことで超能力者は却下。

 つまり、屋敷の誰かから聞いたって線に決定。

 多分お父様かな?

「おいウェルコット。その辺にしておけ」

「ふふ。そうですね」

 突然聞こえた、だるそうな声。

 ウェルコットさんがその声に笑って頷いた。

「正解は、私が魔導師だからですよ」

「……魔導師?」

「えぇ。世間一般で知られている魔術師や魔女。それらを育成する、いわば教師のようなものです」

「てことは、偉いの?」

「えっと……――――」

 さっきと同じように微笑んでるのに、なんか言いにくそう。

 なんか悪い事聞いちゃったかな?

「その辺にしておいてあげなさい、ニコ。ウェルコットは脱走者だからね」

 さっきのだるそうな声じゃない、懐かしくて優しい声。

 お兄様(仮)はソファーから立ち上がって、振り返った。

「?! おにい、さま……?」

「久しぶり。ニコ」

 目をとじてて、髪は白髪だし、おまけに老けてるけど。

 お兄様だ…………!

「本当に、お兄様なの?」

「なんだ。気づいたわけじゃなかったんだ」

「だって、ディティナが教えてくれたから……」

「…………ディティナもいるのか?」

 お兄様の言葉で、ディティナがお兄様に近寄った。

「お前も久しぶりだね。元気だったか?」

 手を伸ばして、ディティナを撫でるお兄様。

 二人とも、嬉しそう。

「で、ニコ。さっき『ディティナが教えてくれた』といったね。それはどういう意味?」

「? そのままの意味だよ? ディティナが教えてくれたの」

「じゃあ、他の馬とか、動物の声も聞こえるのか?」

「え? うん。鳥とか、犬とか、いろいろ」

「人は?」

「人? 人は話してくれるよ?」

 変なお兄様。

 動物はまだしも、人は言葉で会話できるのに。

「いや、そうじゃなくて、口を開けていないのに、その人の声が聞こえたりしないのって聞いているんだよ」

 口を開けずに話すって、それ人間じゃないような気もするんだけど……。

 それに、あたしの記憶にないよ。

 そんな場面。

「う~ん。分かんない」

「……そうか。では、動物たちの声が聞こえ始めたのはいつごろから?」

「いつって……。確かお兄様が居なくなってしばらくしてからだよ?」

「「「?!」」」

 なんかお兄様とウェルコットさん、それと布をかぶった女の人(?)が酷く驚いた。

 なんで驚いたんだろう?

「……そんな、契約は確か千年。残り百年はあるはず…………」

「あぁ。しかし、一斉となるとおかしすぎる。ルファネス、とりあえずファバルと同盟を結べ。その方が安全性は増す」

 意味不明なこと言い出した二人。

 だいたい、ルファネスさんがこの話について行けるわけない――。

「わかった。お前が言うならそれを信じてやる」

 え…………?

 意味わかってんの?

 てか、なんで同盟?

 安全性は増す?

 なんなの、いったい。

「悪いな。エルセリーネ、至急帰国するぞ」

「はい。シルヴィオ様」

 返事をした女の人(?)。

 いや、まぁ。

 声が女の人だったけどさ。

 でもなんちゃって!

 とかあるかもじゃん?

 ――って、なんか女の人(?)がお兄様の背中に手を置いた途端に消えたんだけど!!

 しかもなんでお兄様の髪が金に?!

 え?

 目が開いた?!

 しかも赤?!

 って、若返ってるし!!!!

 なんでよ!

「行くぞ。ウェル」

「はい。シルヴィオ様」

 そういって二人は消えた。

 なんだったの?

 あたし、夢でも見てるのかな?

 お家帰って寝ないと。

 きっと目が覚めたら武術大会当日なんだよ。

 そうだ!

 これ夢だ!!

 そうに違いない!!!!

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