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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第二章 変人公爵の娘
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第十九話 危険なことはしないのです。

『わぁあぁぁ?! 止まれ、止まれって!! ぁ、痛……』

『馬鹿お前何やってんだよ! おいそっち行ったぞ!!』

『おう、任せとけ――――っうあぁぁぁああ!!』

『お前よけてどうするんだよ! 行っちまっただろうが!! おい! 追うぞ!!』

 なにやら外が騒がしい。

 でもなんなのか見えない。

 ううん。

 見ようと思えば見えるけどさ。

 もし落ちたらって考えたらねぇ……。

 危ないし。

 ま、ここが二階とかなら平気だけどさ。

 絶対違うと思うの。

 だってさっき屋上らしきところから降りてきたばっかりだから。

 あぁ。

 どうしたらいいんだろう…………。

 とりあえず、歩こう。

 ――ドドドドドド。

 何かが猛スピードで近づいてくる音。

 しかもなぜかあたしが通り過ぎようとしているドアの向こうから。

 何だろ?

 とりあえず音が聞こえるドアを開けてみた。

 階段が、あった……。

 多分、これ降りたら下の階にいける。

 でも問題はそこじゃない。

 だって、目の前に見覚えのある馬が――って。

「ディティナ?! なんで室内に――――」

『どいてニコラ!』

 階段を登り終え、そのままの勢いで突進してくるディティナ。

 どうしよう。

 状況が全く分からない。

「え? 待って、何かあったのディティナ」

 どうやら混乱してるあたしに気づいたのか、ディティナは止まってくれた。

 でも、彼女もひどく混乱しているみたい。 

『ロイドが、ロイドがいるの』

「?! お兄様が……?」

『えぇ』

「分かった。あたしも行く。だからお願いディティナ、あたしも連れてって!」

 あたしの言葉にディティナは『もちろんよ』って言ってくれた。

 だからあたしは、勢いをつけてディティナの背に飛び乗り、それを確認したディティナは再び走り出した。

 しばらくして、ディティナは一つの扉の前で立ち止まる。

「ここ?」

『えぇ。この部屋の奥よ』

「わかった」

 ディティナの背から飛び降りて、その扉を開けた。

 見た限り、誰もいない。

 でも、ディティナは奥って言った。

「行こ、ディティナ」

 彼女にそう促して、部屋の中を進んで、正面に見えていた扉を開けた。

 ただそれだけなのに、ウィルロットさんが切りかかってきたの。

 なんで?

 まぁ、切られたくないし、痛いのヤダから持ってた剣で受け止める。

「ウィ……お兄ちゃん。危ないじゃん!!」

「ニコちゃん?! え? どうしてここに? 帰ったんじゃ――」

 剣をしまいながら言ったウェルコットさん。

 でもね。

「それは後! ディティナ、どれ?」

 あたしは剣をしまって、ちょこっと首をひねって彼女に聞く。

『ソファーに座っている白髪の男性よ』

「ん。分かった」

 ディティナが言ったソファーはすぐそこ。

 そしてそれに座っている人物めがけ、とりあえず助走と呼べるような、呼べないようなものをとってからの……とび蹴り!

「天誅!!」

 後少しであたる。

 そう思ったのに、何か見えないものに阻まれ(包まれたのかな?)、同時に聞こえた落ち着いた声。

「はい。ストップ」

「え…………?」

 あたしの体は空中で静止している。

 意味が解らない。

 でも、おそらくこれをやったのはさっき聞こえた声の人。

 そう思って声のした方を向く。

 声の主は、曇り空のような色の髪をした人。

 そして、その人は微笑んで言った。 

「お会いするの初めてですね。ニコラ」

「……誰…………?」

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