第十六話 試合後
「ニ~~コ~~~ちゃーーーーん!」
「あ。レティさん」
後ろから聞こえた声に、あたしは振り返る。
そしたら、すっごい勢いで抱き着かれた。
うん。
結構痛い…………。
「おめでとう! すっっっごくかっこよかった!!」
「ありがとうレティさん」
「じゃ、アンのとこ行くよ!」
「え? あたし、家に――――」
「んなもの後々! 早く、アンと兄さん。おまけにルー兄がまってるわ!!」
「え、いや。だからあたし、家に……――」
「さぁ、行っくよぉ~!」
あたしは興奮気味のレティさんに、小脇で抱えられて強制的に連れて行かれた。
まったく。
なんであたしの周りってこんな人しかいないんだろう…………。
よし、ためしに分類してみよう。
まず、お父様みたいにテンションが高い変な人。
執事さんみたいに冷静で時々怖い人。
お母様みたいに優しい人。
…………でもほとんどが最初にあげた、『お父様みたいに……』が多い気が……。
……………………うん、気のせいだよ!
そうだよ。
うん、きっとそう。
……気にしちゃダメだ…………。
「ニコちゃん連れてきた~」
そういってあたしを下ろしたレティさん。
「おかえりなさい。レティ」
「ん、ただいま。――って、あれ? 兄さんとルー兄は?」
部屋を見渡しながら、レティさんはスティアナ様が座っているソファーに座った。
「お仕事ですって」
「そうなんだ、何の仕事か言ってた?」
「えっと、確か『遠い何処かの国の使者が来た』ってウィルロットさんが」
「ふーん。使者ねぇ……。変なこと言ってこないといいけど」
「そうね。でも、ウィルロットさんがついて居て下さるもの。きっと大丈夫よ」
「うん。アンの言うとおりだね。兄さんに任せておけば大丈夫。それに、ルー兄だって使えるってことが今日、証明されたしね!」
スティアナ様はレティさんの言葉に、上品に笑った。
…………うん。
きっと、二人の中であたしは空気。
なんであたしを連れてきた……?
友情の確認ならあたし要らないでしょ?
またルファネスさんのせいで、ウィルロットさんの機嫌が悪くなったらどうするの?
あたしまた帰れないじゃん。
もう……。
………………よし、帰ろう。
「じゃぁ、あたし帰るね? バイバーイ」
「え? あ、うん。バイバーイ」
レティさんはそういってスティアナ様も一緒に、笑顔で手を振ってくれた。
で、部屋を出たあたしは来た道を戻り始める。
来たときは気づかなかったけど、結構人の行き来があった。




