第四十話 現実逃避
まぁ、どうでも良いけどさ。
とりあえず。
お医者様をお家まで送ってこようかな……。
……でも。
お母様に泣いて頼まれたら、絶対サインしちゃったかも…………。
それ考えたら怖いなぁ……。
どうもあたし。
お母様には弱いみたい。
それにいままで、お母様があたしにサインさせるために行動起こしたことないんだよねぇ。
……早めにこの二人を離した方がいい!
お医者様がお母様に変な事吹き込む前に!!
「じゃぁおじいさん。お家まで送るよ!」
「悪いのぉ」
お医者様は笑った。
そして、お部屋にお兄様だけを残して、あたしたちは玄関に向かった。
「ニコ、良い? 知らない人について言っちゃだめよ? それから、寄り道しないでまっすぐ帰って来るのよ? それから――」
「変な人と口きかないし、危ない目にあったらすぐに助けを呼ぶし、火遊びもしない。いたずらもしない。領民の人にはちゃんと挨拶するし、暗くなる前に帰ってくる。勝手に遊びにもいかないし、ちゃんと護身用の武器も持ってる!!」
「あ。そうそう、暗くなる前って言っても――」
あぁ。
まだ続くんだ……。
もぉ良いよ。
外出するとき、お母様がいつも言う文句なんて……。
あたし、それを見越して、いつもお母様が言う言葉を言ったんだよ?
だってお母様。
これを三回以上繰り返すんだよ……。
外出するたびに、ね。
もうめんどくさいよ……。
大体。
あたし、執事さんから護身術習ってるし、お父様がお兄様とウィルロットさんにお稽古してるのを見てるもん。
お兄様の真似事は出来るよ?
それに、お父様が教える剣術は、本で見たように剣を構えない。
調べてみたら王家の人間とか、貴族が習う剣術だった。
…………良く考えてみたらお父様。
元王家の人で、今は公爵だったよ……。
……まぁ、それは置いといて。
構えをとらずに、勢いを殺さず、流れるよう優雅に剣を振るうのがコツなんだってさ!
お父様が、お兄様とウィルロットさんのお稽古をつけてた時に言ってたよ。
ついでにお手本でお父様がやってた。
とっても優雅に踊っているみたいで、すっごく綺麗でかっこよかったの!
だから、身に着けたよ?
でもまだまだ。
お父様に及ばない。
お父様みたいになりたい。
……剣術の話だからね?
お父様みたいな性格になりたいわけじゃないからね!
「――様。お嬢様!!」
「は、はい!!」
突然執事さんの大きな声。
びっくりしたぁ……!
もぉ、なに?
あたしは執事さんの方を向いた。
「先生を送って行くのでしょう?」
「あ、はい。いってきます」
あれ?
いつもまにかお母様の外出前の話が終わってたよ。
やっぱり先にあたしがお母様の言葉を取って言ったからかな?
……よし。
今度からお母様が外出前にいう文句。
全部先に言おっと!
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ここまで読んでくださり誠にありがとうございました!!




