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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第一章 変人公爵一家の義娘
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第四話 全速力ダッシュ

 どうすればお兄様をぎゃふんと言わせられるかな?

 ……落とし穴作って落として、埋めちゃう?

 でもなぁ…………。

 仕返しが怖いんだ……。

 あのね。

 ちょっと前、お兄様に川に落とされて全身びっしょりになったの。

 ずっとお兄様の悪戯にはムカついてたんだ。

 だから、積もり積もったムカつきが、爆発したの。

 で、その日の夜。

 お兄様の顔にちょびひげをペンで書いたんだ。

 んで、次の次の日。

 起きたら、あたしの顔全体が、おばあちゃんの様にしわをペンで書かれてたの……。

 水がためてあるとこまで行って、頑張って落としたんだ。

 あたしの姿を見てお兄様は大爆笑して、床を叩いてた……。

 すっごく腹が立ったの!

 でも、あれからあたしはお兄様に何されても仕返ししなくなった……。

 だから、ばれなきゃいいんだよ!!

 でも、それが難しいの。

 誰か教えてくれないかなぁ。

 お兄様をぎゃふんと言わせる方法……。

「あ、ニコ」

 木から下りたお兄様があたしを呼ぶ。

 すっごく驚いた。

 だって、持っていた本を放り投げるとこだったもん。

「な、何。お兄様」

「忠告。早めに父さんと母さんにあきらめさせた方がいい」

 お兄様の言う意味が解らなくて、つい小首をかしげた。

「どうして?」

「……寝てる時にサインさせられたくなければな」

「そんなことお父様とお母様がするわけないと思うよ?」

「やられたんだよ」

 お兄様、笑顔だけど、目が笑てないよ……。

 すっごく怖い。

 あたしは「わかった」って言う。

 そして、目をサッとそらす。

 何度も言うけど、怖いんだもん!!

 でも良かった。

 あたしの考えが、ばれたんじゃなくて。

「ニコ。落ちないようにね」

「落ちないもん!」

 なんかお兄様に馬鹿にされた気がした。

 案の定。

 お兄様はすっごく笑って、どこかに行った。

 嫌な予感がするの。

 あたしの本能(?)がここを離れるようにいている。

 ということで、あたしは本を手に、登ってきたように木から降りた。

 さて、今度はどこに避難しようかな……。

 自分の部屋は論外。

 屋根裏……すぐ見つかった。

 庭、お兄様に見つかった。

 あれ、そういえば全部お兄様にあってからすぐ見つかったような気が……。

「居た! ニコォォォオオォォォォ!!」

 お父様の声。

 手には白い紙。

 後ろにお母様と執事さん。

 ……見 つ か っ た。

 あたしは持っていた本を投げ捨てて走り出す。

 後ろには紙を持つ恐怖の三人。

 そして、『もしかしたら』。

 から『絶対』に変わった。

 お兄様だ!

 絶対。お兄様がお父様たちに、あたしが隠れてる所を言ってたんだ!!

 ひどい!

 なんで黙っててくれないの?!

 もう、絶対ぎゃふんと言わせること考えてやるんだから!!

 って、そんなことより!

 もっと早く逃げないと!!

 ……でも、逃げてもまた、この話は続くんだよね?

 だったら娘じゃなくて、別の形でこのお家のためになれないかな?

 例えば、執事さんみたいに……。

 ……それだ………………!!

「ニコ捕まえた!」

「ほわぁ?!」

 急にお父様に抱きつかれたせいで変な声が出た……。

 でも、解決策が出来たからいい!

 あたし気にしないもん!!

 よし、言ってやる。

 絶対言ってやるんだから!

「どうじで逃げるんだい、ニゴォォォオオォォ!!」

 ……お父様汚い。

 涙と鼻水で顔がすごいことになってる。

 これで顔が整ってなかったらもっとひどいんだろうけど。

 顔が整い過ぎてるから。

 マイナスがマイナスに見えないの。

 あたし、もう頭がおかしいのかな……。

 お母様は座り込んで、肩で息してて苦しそう。

 執事さんは息ひとつ乱してない。

 なんで?

 なんで、お父様と執事さんは息切らしてないの?

 あたしは走り過ぎで、体全部が痛いんだけど。

 息するだけで痛いんだよ……?

 しゃべれないよ。

 ぜぇぜぇ言ってるけど。

 これでしゃべれたら、お父様に顔をぬぐうように言うのに!

 お父様。

 お母様の心配してあげてよ。

 あたし、今しゃべれないから。

 でも、あたしと一緒で、お母様もしゃべれないかもだけど。



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