表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第一章 変人公爵一家の義娘
37/168

第三十七話 ご老人には優しく!!

 それからあたしは、ベットの端に座るお母様の隣に座った。

 お母様は俯いててこっちを見てくれない。

 だからあたし、お母様の右手をにぎった。

「お母様。大丈夫、大丈夫だよ。お兄様は明日には元気になるって!」

 でもやっぱり、こっちを見てくれないの……。

 ずっと膝を見つめて小さな声でぶつぶつ言ってる。

 かすかに聞こえるのは「私のせいだ」って言葉と、「傍に居れば」とかいろいろ。

 お母様の頭の中からあたしの存在は忘れられてるみたい……。

 あぁ。

 こんな時にお父様が居てくれればなぁ……。

 やっぱりあたしじゃ、落ち込んでるお母様を元気づけてあげられないよ…………。

 ふわふわの長い髪に、金色のような琥珀の瞳で、とっても優しいお母様。

 いつも優しく笑ってくれる、あたしの大切なお母様。

 ねぇ……。

 どうしたら、いつもみたいな前向きなお母様に戻ってくれるの?

 あたしは、お母様の不安を無くしてあげられないの?

 少しも軽くしてあげられないの?

 あたしはすぐ隣にいるのに……!

 ――コンコン。

 突然なったドアをノックする音。

『失礼いたします』

 声がして、ドアが開いた。

「執事さん……!」 

「こちらにおいででしたか、お嬢様、奥様」

 いつもの優しい執事さんの声。

 でも、やっぱりお母様は執事さんが来たことにも、見向きもしない。

 ただただ、膝を見つめて小さな声でぶつぶつ……。

「いかがなさいましたか?」

「執事さん。実は――」

 あたしはお母様の手を離して、執事さんに近寄って、事情を説明した。

「左様でございましたか。では、お医者様を――」

「あたし、呼んでくる。だから執事さんはお母様をお願い」

「……はい。畏まりました」

 軽く礼をした執事さん。

 あたしは頷いてお医者様を呼びに行った。




「安心なさい。ただの風邪じゃでのぉ」

 前に来たちょびひげのお医者様はいなかった。

 だからそのお医者様の代わりに、日向ぼっこしてた、全体的に白いおじいさんのお医者様を連れてきた。

 ちなみに、この白髪に白眉、白髭のおじいちゃん。

 執事さんが言うには、すっごく有名で、エドレイ一、凄腕のお医者様だって!

 でも、息子さん(ちょびひげのお医者様)に家督を譲って、『よっこらせ』って隠居してたんだって!

 これはおじいさんが笑って言ってた。 

「本当! おじいさん!!」

「あぁ、ホントじゃで」

「よかったぁ……。あ。ねぇ、おじいさん。おとといからお兄様が起きないのはどうして?」

「んん? それは本当かぇ?」

 おじいさんは執事さんの方を向いた。

 執事さんはゆっくり頷く。

「うむ。それはおかしいのぉ」

「でしょ! お兄様おかしいの!!」

「何か別に要因があるかもしれんのぉ」

「別の要因?」

「そうさなぁ……例えば、毒とか…………」

「毒……?!」

 突然悲鳴に近い声でいったお母様。

 聞こえてたんだ……。

 さっきまであたしが呼んでも反応しなかったくせに…………。

「ねぇ! それはどんな毒なの! 答えてください!!」

 いつの間にか移動して、お医者様の胸ぐらをつかんでゆらすお母様。

 はやいなぁ……。

 でもさ。

 『ご老人には優しくね』って笑顔で言ってた人が、そのご老人の胸ぐら掴んで揺さぶってるんだけど……。

 執事さんメッチャ苦笑いしてるし! 

「だからのぉおぉ、たとぇえ。例えじゃよぉぉおぉ!」

 お母様、やめてあげて……。

 お医者様の声が震えて、伸びてるよ。

 本体も伸びちゃうからやめてあげてよぉ……!

 もぉ、執事さん止めて!

 いつもお父様の暴走を止めれるときは、止めてるじゃん!!

 まぁ。たいていは逃げられてるんだけどね!

「落ち着いて下さい奥様。先生は可能性を上げられただけでございます」

「でも!!――」

「そうだよお母様。二人のお医者様が大丈夫って言うんだもん。大丈夫だよ!」

 お母様の言葉を遮って、あたしはお母様にいった。

 そしたらお母様。

「…………今日はニコじゃなくて、母さんが取り乱しちゃったわね」

 って、ちょこっと恥ずかしそうにいって笑った。

「本当。でもしょうがないよ、びっくりするもんね!」

 と。一昨日取り乱した自分の心境と重ねて言ってみた。 

「えぇ。ロイドが居なくなったらって、怖かったわ……」

 そう言ったお母様は、やっぱり少しだけ沈んでた。

 お母様が本当の笑顔で笑ってくれるのは、お父様が帰ってくるか、お兄様が目を覚ますか。

 どっちかなぁ……。

 って、どっちもか…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ