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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第一章 変人公爵一家の義娘
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第三十三話 お兄様⁇

 まぁそれは置いといて。

 今日のお仕事が終わって、お日様もお仕事も終って、お月様がお仕事をしてる今。

 あたしはお兄様のお部屋の前にいる。

 実は、お日様が元気にお仕事してる時からいたんだ。

 入るのがちょっとだけ怖くって悩んでたの。

 そしたらいつの間にか、お日様とお月様が交代するのが終わって、お月様はずいぶん小さくなってた。

 だから辺りは真っ暗。

 ……いい加減にしないと今日が終わっちゃう。

「大丈夫。お兄様はきっと大丈夫」

 あたしは不安な自分に言い聞かせて、ドアを軽くノックして、ちょっと開けた。

 お兄様は……ベットで寝てるみたい。

 少しだけホッとして、お部屋に入る。

 あたしはベットに近づいて、お兄様を見た。

 顔色は健康的。

 寝てるだけみたい。

 胸元は……ゆっくり上下してる。

 ちゃんと息はしてる。

 だけどあたしは心配で、お兄様の口元に手をかざして、息を確かめた。

 うん、してる。

 あたしはそれにホッとして、お兄様が眠るベットの端っこに、浅く腰かけた。

 で、軽く腰をひねって、お兄様の方を向く。

 そしたら、収穫時期の小麦のような金色で、豊かに波打つ長髪の男の人がいた。

 …………誰……?

 あたしは目をこすった。

 で、ゆっくり目を開けた。

 うん。

 やっぱり、なんか見たことない人が寝てるんだけど……。

 さっきまでお兄様が寝てたよね?

 まさか、お兄様なんて言わないよね? 

 顔自体違うんだけど……。

 だって、お兄様こんな凛々しい顔してないもん。

 もっとこう、ポヤッて顔……じゃないか…………。

 うん。

 でもこんな顔じゃないのは確かだよ?

 だからもう一度。

 誰?!

 ……見間違いかな?

 あたしは、それに望みをかけた。

 で、座ってたベットの端から降りて、もう一度振り返った。

 うん、やっぱり変わんない。

 知らない人が寝てる!!

 ……ん?

 でも、着てるパジャマはさっきお兄様が来てたのと同じ……?

 どういうこと?

 お兄様は黒髪の直毛だよ?

 眉毛だって、まつ毛だって、黒。

 顔は女の人にも見えなくもないけど、男の人の人にも見えない。

 中性的な顔。

 でも今、あたしが見ているのは金髪で、ふわふわってしてる髪。

 眉毛もまつ毛も金。

 顔は凛々しくって、男の人にしか見えない。

 うん、ごめんね。

 頭がついてってないよ。

 てか、拒絶してる。

 あ、わかった!

 あたし疲れてるんだ。

 うん、きっとそうだよね!

 てことで、あたしはお兄様の部屋から出て、キッチンに向かった。

 もちろんご飯を食べるため。

 ていうか、頭を整理するためにね。

 だってあのままあそこにいたら、熱が出そうだったんだもん。

 考え過ぎて、ね……。

 前も時々――ううん。

 ごく稀にだけど、一瞬だけ見たことがあった。

 まぁでも、翌日。

 考え過ぎて寝込んだんだけどさ……。

 いつも一瞬だけだったから、見間違いで済ませてた。

 けど今日のは無理。

 だって完全に知らない人だったもん!

 いけない。

 深く考えすぎたらまた熱が出ちゃう……。

 このことは忘れよう。

 うん、それがいい。

 そうしよう。

 あたしはそう決めて、顔を上げたら、キッチンのすぐ近くだった。

 …………早いな……。 

 お兄様のお部屋からここまで結構時間かかるのに……。

 まぁ、気にしない。

 いや。

 気にしちゃダメだ。

 あたしは自分に言い聞かせてキッチンに入った。

「あらニコ。お兄様はどうだったの?」

 嬉しそうに振り返った、割烹着姿で、料理を並べてたお母様。

 どうやらお母様、ご飯作ったみたい。

「お母様……。お兄様の髪と眉毛とまつ毛って、黒だよね?」

「当たり前じゃない。ニコは何を言っているの?」

 お母様は不思議そうな顔をした。

 でも、ホッとしたよ。 

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