第十八話 本屋さん
そんなことを考えてたら、あたしのお部屋についた。
あたしは部屋に入ってクローゼットを開ける。
さて、何を着て行こうかな?
……ピンク一色。
そうだった。
忘れてたよ……。
いや。
忘れてたかったなぁ……。
……どうしてお母様はお父様の味方なの?
少し前までパステルカラーだったじゃない!
まだ他に色があったよね?!
まぁ。
あたしが大きくなったから、買いかえったってもあるんだけどね。
でもさ。
ピンク一色はないと思うの……。
って、時間が無くなっちゃう!
……しょうがない。
どれもひざ丈のワンピースらしいし、適当でいいや……。
あたしは服をとって、着替える。
「……着替えなけりゃよかった…………」
これ確かに膝丈だけど、ワンピースじゃなくてドレス!
他のは……どうかな?
あたしは再びクローゼットを確認。
「……ワンピース、どれ……?」
その中に、ワンピースと呼べるような、シンプルなものは無い。
あたしの頭の中に、満面の笑みのお父様とお母様が言っていた言葉。
『ワンピースだよ。お仕事でも着てね!』が再生された。
この時あたしは、本を読んでた。
いや。
ピンクだらけで、ウンザリしてた。
実は、視界にそのピンクの山を入れたくなかったの。
で、二人に文句を言っても一緒だろうと思って、何も言わなかった。
あぁ。
そのつけが回ってきたのか……。
でもさ。
こんなふりふりしたの、お仕事で着たら動きにくいよ!!
……って、時間の無駄だよね。
と言うことで、あたしは部屋の棚の中から、淡いピンクのお財布を取り出す。
いくら持ってたっけ?
あたしは財布の中身を確認。
全然遊びにいってないから、お金貯まってた。
やったね!
新しい本が買えるよ!!
あたしは財布を、濃いピンクのショルダーバックに入れ、肩に下げる。
よし、行こう!!
あたしはルンルン気分でお屋敷を後にした。
温かい太陽の光。
雲一つない、青く綺麗な空!
そして目の前にはたくさんのお店と、人!!
やっぱり、お屋敷に引きこもってばっかりじゃダメだね。
たまには外を歩かないと!
それと……。
あたしの前を通り過ぎて、驚いて振り向く人たち。
そろいもそろって、『ニコちゃん?!』って言うレナンの人々。
そんなに驚くことかな?
あたしが一人で町にいるだけで……。
ま、いいや。
さて、あたしのお目当てはズバリ、本屋さん!!
あたしは足取り軽く、本屋さんに入る。
面白そうな本ないかなぁ~。
そう思いながら、あたしは棚を見て回る。
ふと目についた絵本。
タイトルは、【囚われの王子様】。
なんとなく手に取った。
作者名。
ウェルコット・オルバーナ。
やっぱり。
お婆が読んでくれた絵本の作者さん!
あたし、絵本のタイトルは忘れたけど、作者名だけは覚えてたんだ!!
また、あの絵本の続きが出そうだったからね。
……でも、どうしよう。
これ絵本だから、ページが少ないの。
だったら、これと同じ値段の厚い本を買う方が、楽しめそう。
どうしよう。
両方買える程、お金はない。
「ありがとうございました」
店員さんの元気な声を受けて、あたしは店を出た。
手には絵本の入った紙袋。
あたしはどちらを買うか、小一時間悩んだ。
結局。
絵本になったんだけどね。
この絵本。
封はされてなくて、立ち読みできたよ。
でも、この絵本を買った。
だって、作者さんが大好きだから。
でもさ。
この作者さん。
いっそのこと絵本じゃなくて、本当の本にしちゃえばいいのに……。
そしたらあたし、間違いなく買う!!
あたしはそんなことを考えながら、絵本を両手で抱えて道を歩く。
すれ違う人が笑って話しかけてくれるから、あたしも自然と笑顔になる。
それの繰り返し。
あたしはじっくり絵本を読みたいのと、少しだけ一人になりたくて、にぎやかな町を離れた。
あたしの目的地は、町を見下ろせる緑の丘。
そこを目指して、ゆっくり歩き出した。
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