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『引きこもりニートの【コンビニ】リハビリ生活 〜異世界で店長をやっていた俺、現実世界では新人バイトから出直し始めます〜』  作者: autofocus


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【第8話】:四畳半の共闘宣言と、不敵な笑み

暗い四畳半の部屋の中、俺とサカモトは木製のちゃぶ台を挟んで正座で向かい合っていた。


重苦しい沈黙が場を支配する。先に耐えかねて痺れを切らしたのはサカモトだった。


「そんな怖い顔せんといてーな、マモルはん。わしとマモルはんの仲やないか。ワシら二人で、あんな数々の困難を乗り越えてきたんやし?」


サカモトは以前と変わらぬ調子のいいニタニタ顔で、親しげに話しかけてくる。


「よく言うぜ……。さんざん人を踏み台にして裏切っておいて……。それに、今回だってまた公安や俺を裏切ったんじゃないのかよ?」


俺の冷ややかな怒りの言葉を、サカモトはへらへらと手で軽くあしらいながら、にたりと笑った。


「わしが裏切ったんと違いますよって。……ワシはな、『裏切られた』んや」


そう語るサカモトの目つきが、一瞬だけ冗談の通じない真面目なものへと変わった。


「……まあ、千石さんから大体の話は聞いているけど……」


俺は思わず言葉を詰まらせた。


「そやろ!? なら話は早いで! マモルはん、ワシと共闘や! 一緒にこの汚い世界に一泡吹かせたろやないか!」


サカモトは勢いよくちゃぶ台に身を乗り出し、がしっと俺の両手を固く握りしめてきた。


俺はその手を嫌悪感とともに振り払った。


「な……なんだよ急に! 共闘って……! なんで俺がお前に協力しなくちゃならないんだよ! それに……お前は一体、何を企んでるんだ!?」


サカモトは乗り出した身体をひっこめると、畳の上にドカッと座り直し、大げさに両腕を組んだ。


「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました」


「……千石はんから、どこまで話を聞いてるのや?」


「どこまでって……お前を保護していた公安に上から政治的な圧力がかかって、お前の保護指定が打ち切られたってところまでだよ。だから身の危険を感じたお前が、セーフハウスから逃げ出したんだろ?」


俺が説明すると、サカモトはうんうんとおおげさに頷いて見せた。


「そうやそうや! 突然『今日で保護はおしまいや』言われて、マンションも追い出されそうになったんや! あいつらはほんまに信用できへん悪党やで!」


(……一番信用できないお前が言うなよ)という言葉は、喉の奥で必死に飲み込んだ。


「途方に暮れたワシやったけどな……ワシには『これ』があったんや」


サカモトはジャケットの内ポケットから、見覚えのある1本の金属製USBメモリを取り出し、俺の目の前でチラつかせた。


「お前……それ、やっぱり公安を騙していたのかよ……!」


「騙したんと違いますー。これは『保険』や。ワシは最初からあいつらに全幅の信頼をしてへんかったからな。本当に信用できると分かった時に、ちゃんとオリジナルを差し出すつもりやったんや。せやけどな……案の定、あいつらはワシを裏切りおった」


「まあ……それに関しては、裏で動いた政治家や企業が汚いとは思うけど……」


「そやろ!? ほんまに酷い話やで!」


「……それで? お前は結局、どうしたいんだよ」


「まあそう焦りなや、今話してるところやがな」


サカモトはUSBを指先で弄びながら、声を潜めた。


「ワシを公安の保護対象から外すように圧力をかけたのは、大手コンビニ三社や。あいつら、異世界の利権を何一つ諦めとらん。それに公安の上層部を動かせるような超大物政治家まで仲間に引き入れとる。……普通に戦ったら、こんなもん太刀打ちできへんで」


「そうだろう? だったら、なおさら千石さんに相談した方がいいんじゃないのか? 千石さんなら……」


「マモルはん……あんた、千石はんを信用しすぎやで」


サカモトは吐き捨てるように言った。


「あいつも所詮は、国家公務員という名の『ただのサラリーマン』や。上からの絶対命令には逆らえへんのやで?」


「……それは……」


俺は腕を組んで考え込んでしまった。

たしかに……千石さんは親身になってくれたし良い人だが、組織の規律や上層部の命には逆らえない立場だ。サラリーマンである以上、上の決定には従わざるを得ない。


「そやからな……ワシはもう、自分の力だけで解決することにしたんや。誰も頼らん。ワシが『この力』で、世界の王になるんや」


不敵な笑みを浮かべるサカモトを、俺は冷めきった目で見つめながら尋ねた。


「……その『力』って言ったって、お前の持ってるそのUSBには、異世界と現実世界を繋げるゲートのシステムが入ってるだけだろ? そんなものでどうやって世界を支配するんだよ」


「クックック……それや……!」


サカモトの口元が、狂気を含んだ凶悪な笑みの形に歪む。


俺は言葉を失ったまま、サカモトの顔を凝視し、彼が次に紡ぎ出す恐怖の言葉を待った──。

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