仕置き
「えーっと、ちょっと待って……ストップ!」
「何だ?」
そのままベッドに倒された菜穂は、オリオン王が馬乗りになっている状況についていけないでいた。
両手は頭の上で一纏めにして組み敷かれ、鋭い眼差しで見下ろされる。
「ちょっと、お仕置きって……何で?」
「私に黙って城を抜け出したのは誰だ? どんな理由があろうが、先に私に一言はあって欲しかったな……」
「そ、それは……」
じっと自分を見つめてくるオリオン王を見つめ返した菜穂は、少しは悪いと思ったらしく、珍しく反論もせずに口篭もった。
「ナホが城から出たと聞いた時、私がどれだけ驚いたと思う? お前が戻ってくるまでどれだけ心配したか……」
「王様……えーっと、その……ごめんなさい……」
瞳を伏せてどこか傷ついたような悲しそうな声で告げてくるオリオン王を見つめ、菜穂は、何だか胸が痛んできて素直に謝った。
オリオン王は、菜穂を切なげな眼差しで真剣に見つめてくる。
「ナホ……約束してくれるか? もう、二度と私に黙って勝手に城を出て行かないと……」
「うん……約束します。もう二度と、勝手にお城を出ていかないわ。必ず、貴方に話すから……」
「そうか。約束だぞ。今度、黙って出て行ったら……今日以上のお仕置きをしてやる……」
「へっ!?」
突然、ニヤリと口角を上げるオリオン王の表情の変化を見て、菜穂は訳が分からない様子でポカンと口を開けた。
そんな菜穂に構わず、オリオン王は片手で器用に菜穂の胸元のボタンを一つ、二つと外していく。
菜穂は慌てて抵抗しようとしたのだが、両手がオリオン王に捕らえられていて自由がきかず、胸元が少しずつ開けられていくのに羞恥を覚えて真っ赤になった。
「ちょっ、ちょっと何で……お仕置きって! 私、反省しているし、謝ったでしょう?」
「この私の目を盗んで勝手な事をした罰だ。謝ってすむ問題ではない。それに、お前に気を注ぐためには何度も何度もキスしないといけないしな」
「えっ? えぇーっ!? ちょっと、それはそうかもだけど……。今日はそんなに疲れてないから……」
オリオン王の言葉に、菜穂は必死に大丈夫だと言おうとするのだが……。
その瞬間、いつの間にか首筋にちゅっとキスを落とされる。思わずビクッと反応し、夢の中での狼オリオンにされたことを思い出して真っ赤になる。
「……クク……ナホは本当に可愛いな……胸も小さくて愛らしい」
ボタンを2つほど外されたため、少しだけ見えるようになった小振りの胸に注目され、菜穂は羞恥で更に熟れたトマトのように真っ赤になった。
「いや……見ないで……それに、小さい……って言うなぁー!」
コンプレックスである胸をじっくりと見つめてくる強い視線を感じ、菜穂は恥ずかしさのあまり涙目になりながら真っ赤な顔でオリオン王を睨み付けた。
驚いたように少々目を見開いたオリオン王は、低い声で獣のように唸る。
「そんな表情で俺を煽るな。ただのお仕置きではなく、本当にお前を滅茶苦茶にシてヤりたくなる」
「えっ……!?」
(そんな表情って……どんな顔だか分かんないよー! ただ、睨んだだけなのにー。滅茶苦茶って何なのよー! うぅっ、やっぱり変態鬼畜な狼王だー)
「放して! お仕置き、断固反対! 小さな胸で悪かったですねー」
菜穂は、ヒクッと引き攣った表情を浮かべるも、胸を小さいと言われた事がどうしても許せず、手を動かそうと無駄な足掻きをしつつ両足をバタバタと動かした。
そんな菜穂の抵抗を軽く流し、オリオン王は、菜穂の胸元にちゅっとキスを贈る。
「別に悪くはないぞ。ちょうど私の手に収まる可愛い胸だ。それに、これから育ててやる楽しみもある。そんなに小さいって気になるなら、私がいづれ大きくしてやるから安心しろ」
菜穂は真っ赤な顔でパクパクと口を開いて文句を言おうとしたのだが、あまりの恥ずかしさに言葉にはならない。
「さてと、今日治療をしたナホには、たっぷりと気を送ってやらないとな」
愉しげに笑うオリオン王は、ナホの髪を優しく撫でながら顔を近づかせ、ゆっくりとキスを贈る。啄むような優しいキスを繰り返しながら、気を菜穂に送っていく。
「んっ……」
(やっぱり、甘いよー、すぐ、ふわふわ気持ちよくなっちゃう、何でー)
オリオン王から漂ってくる甘い香りが余計に思考を麻痺させ、より身体を熱くさせていく。
(……何でこんなに、気持ちいいの……。おかしくなっちゃう……)
菜穂は抵抗しようとした事が嘘のようにすっかり力抜けて、オリオン王から与えられる気にうっとりとなっていく。
一方、菜穂に気を送るオリオン王は、そんな菜穂を優しく見つめながらも額からは汗をかき、時折辛そうに眉根を寄せる。
「……っは、ナホは甘すぎるな……」
二人の間に漂う媚薬のような甘ったるい香り。強靭な精神がないと耐えられないものとなる。
オリオン王は、沸き上がる欲情を制御して、菜穂に優しいキスを気を送り続けた。
「んっ、もう……十分だからー」
訳が分からなくなりそうで、はふはふしながら涙目で嫌々とオリオン王を見つめる菜穂。
そんな菜穂を愛しそうに見つめるオリオン王は、フッと口元を緩める。
「まだまだ、だな……」
「な……何で……?」
「言っただろう? 今日はお仕置きだと……」
「え?」
「覚悟しろ」
ニヤリとオリオン王が意地悪く頬笑む。
「なっ!?」
「ナホがまた倒れないように、何度も何度もキスをし続けないとな」
(ぎゃあぁぁー! この俺様鬼畜王めー)
「んっ……」
だが、反抗する気持ちとは裏腹に、菜穂は甘い吐息が自然と漏れてしまい、恥ずかしそうにオリオン王を見つめる。
「どうした? ナホ……」
一度、口づけを止めたオリオン王が、菜穂を楽しげに見下ろすと、菜穂はその視線から慌てて目を逸らした。
(ヤバイ! あの青い目を見ていると惹き込まれる……思わず、オネダリしたくなるじゃない。もっと……チューして……もっともっと……なんて、言えるかー!)
「どうしたのだ、ナホ?」
「別に……なんでも、ない……です……」
菜穂は、恥ずかしそうに視線を逸らしたままキュッと軽く唇を噛み締めた。
鋭い瞳を細めたオリオン王は、そんな菜穂の様子を見つめ、ニヤリと口角を上げる。
慌てて首を振って真っ赤な顔のままオリオン王をちらっと見た菜穂は、その笑みを見てぞわっと悪寒を感じた。
(すっごく、嫌な予感がする……ヤバイ!)
思わず逃げ腰になって、オリオン王の下から何とか抜け出そうとするのだが、どうにも身体が動かない。
「逃がす訳ないだろ? たっぷりと可愛がってやるから、遠慮するな」
「ひっ……」
壮絶な笑みを浮かべたオリオン王に、見惚れながらも恐怖を覚える菜穂。
菜穂は近付いてくるオリオン王の顔を涙目で見つめながら必死にぷるぷると首を振った。
「イイ顔だ……」
腰に響くような低音ボイスが耳に入るや否や菜穂は再度唇を塞がれた。
強引に奪われるような口付けでありながら、それは菜穂にとって非常に甘美なものとなる。
甘い口付けに、早くも菜穂は身も心も蕩けそうになる。
菜穂は昨日散々キスされた事を思い出し、逃げ腰になりながら力いっぱい首を振った。
「なん……で?」
「これが、お仕置きだ」
「!?」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべたオリオン王を、菜穂は愕然とした表情で見つめた。
「なっ……!」
(このエロエロ変態鬼畜サド王め! アンタなんか、アンタなんか、ゲイの恋人みんなに振られまくればいいんだー! 豆腐の角に頭ぶつけて、馬に蹴られて、蟻にでも転生して人生やり直せ!)
一瞬冷静になった菜穂は、オリオン王を睨み付けながら心の中で罵倒した。
だが、オリオン王は涼しい表情でニヤリと口角を吊り上げたまま、何度も何度も優しいキスを送る。
「んっ……」
思わず吐息が零れる菜穂の耳元でオリオン王は囁いた。
「そんな潤んだもの欲しそうな瞳で睨まれても逆効果だって知らないのか? 変態エロサド王らしい事をシてやるから、期待してろ」
「……っ!」
壮絶な笑みを浮かべるオリオン王を見つめ、菜穂は心の中で悲鳴を上げるのであった。
(いーやー! 誰か助けてー!)
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