第6話 十二基目を灯したとき
再現試験は翌朝まで続いた。一基。三基。六基。九基。負荷を増やしていく。
十一基相当。異常なし。
「十二基」
セオが最後の負荷を接続した。光が強くなる。
一分。
五分。
十分。
そのとき。エレナの視界に、青い線が走った。
「止めないで」
固定術式の外側。本来流れないはずの場所へ、風属性魔力が漏れる。一度、見えた。消える。しばらくして、また、見えた。
「来ました」
エレナが言った。グレンが固定部へ測定器を当てる。
「振動してる」
ごく微細。目では分からない。だが確かに。一定周期で。
「王宮と同じです」
ミアが息を呑んだ。セオは術式図を睨んでいる。
「待ってください」
「何?」
「新型光晶石の出力が高いからじゃない」
エレナが見る。
「どういうこと?」
「十二基同時使用で、旧制御器同士が干渉しています」
「旧型同士?」
「正確には――」
セオが術式図へ線を引いた。
「新型光晶石の出力周期と、ARCANA製制御器の補正周期が一致している」
周期。共鳴。その結果、本来なら照明制御に使われる魔力の一部が浮遊補助術式へ流れ込む。そして固定具へ。微細な振動。何度も。何度も。半年間。グレンが破断した金具を持ち上げる。
「それでこいつが疲れた」
エレナは頷いた。事故の形が、ようやく見えた。だが、まだ終わりではない。
「旧型光晶石に戻してください」
「確認ですか?」
ミアが尋ねる。
「はい」
十二基相当。旧型光晶石。異常なし。次に、新型制御器と新型光晶石。異常なし。
新型光晶石+ARCANA旧型制御器+十二基相当の高負荷。その組み合わせだけで異常が再現した。セオが息を吐いた。
「これで決まりですね」
エレナは試験結果を見る。
「原因候補としては」
「まだ言うのか」
グレンが笑う。エレナも、ほんの少しだけ笑った。
「現場と一致するか確認してからです」




