第4話 新しい光晶石が原因――のはずでした
事故調査局の地下には、事故を再現するための試験室がある。分厚い耐魔壁。防爆扉。緊急遮断術式。その中央に、王宮のものと同型の制御器が置かれていた。
「旧型光晶石、接続します」
セオが言う。エレナ、ミア、グレンは耐魔ガラスの向こうから見守る。術式が起動した。
淡い光。浮遊制御。固定術式。すべて正常。
一時間。異常なし。次に、新型光晶石へ交換する。
「これで出るんですよね?」
ミアが尋ねた。
「出ると仮定しています」
エレナは答えた。新型光晶石が起動する。旧型より明るい。
十分。三十分。一時間。二時間。
「……何も起きませんね」
ミアが言った。三時間。固定部分への異常な風属性流入は、一度も起きなかった。セオが試験室から出てくる。
「仮説、外れましたね」
エレナは記録紙を見る。
「そうですね」
「悔しくないんですか?」
ミアが尋ねる。
「なぜ?」
「昨日からずっと考えていたのに」
エレナは少し考えた。
「事故調査で、自分の仮説が外れることを嫌がってはいけません」
「どうしてです?」
「仮説を守り始めるからです」
エレナは試験結果に、大きく一本線を引いた。新型光晶石単独による異常――再現せず。
「間違っていたなら、間違っていたことが分かった。それも結果です」
グレンが試験器を覗き込む。
「じゃあ何が足りねえ」
それが問題だった。王宮では起きた。ここでは起きない。ならば、二つの環境には違いがある。
「王宮で使われていたものを、全部洗い出しましょう」
エレナが言った。
「制御器だけではありません」
固定具。導路。光晶石。連続使用時間。負荷。室温。設置状態。そして――。
エレナは事故品の一覧を見る。
「組み合わせです」




