↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/30

第24話 問題児ノア・フェルド


ノア・フェルドとの面会は、事故から二日後に許可された。


学院附属病院。右腕には厚い包帯。肩まで固定されている。ベッド脇には学院の教師がいた。


「事故調査局です」


エレナが身分証を見せる。


「少し話を聞いてもいいですか?」


ノアは窓の方を向いたままだった。


「もう全部言った」


「何を?」


「俺が触った」


「何に?」


「演算器」


「どんな操作を?」


「出力制限を外して、火属性の増幅を入れた」


教師が顔をしかめる。


「禁止されている操作です」


「分かっています」


ノアが吐き捨てるように言う。


「じゃあ俺が悪いだろ」


エレナは少し黙る。


「あなたが禁止操作をしたことは確認しています」


「なら終わりじゃん」


「終わりではありません」


ノアが初めてエレナを見る。


「なんで」


「その操作で、なぜ爆発したのかを調べています」


「俺が変なことしたからだよ」


「あなたは以前にも同じ操作をしたことがありますか?」


教師が驚く。


「クロフォード調査官」


「確認です」


ノアは黙った。それから小さく答える。


「ある」


教師の顔色が変わった。


「ノア!」


「一回じゃない」


「何回?」


エレナが尋ねる。


「三回くらい」


「爆発しましたか?」


「してない」


教師が立ち上がる。


「どういうことだ。報告は――」


「先生だってやってたじゃん」


室内が静かになる。


「何を?」


エレナが尋ねた。ノアは教師を見る。


「安全装置がすぐ止まるから、解除して授業したことあるだろ」


教師の顔が固まる。


「解除?」


ミアが反応する。


「安全遮断装置を?」


「俺だけじゃない」


ノアは続けた。


「演算器、ちょっと出力上げるとすぐ止まるんだよ。授業にならないからって先生たちも止めてた」


「いつから?」


「知らない。去年からじゃない?」


教師が口を開く。


「一時的な措置です」


エレナが見る。


「どういう意味です?」


「安全装置が過敏になっていたんです。正常な授業でも停止することが増えて」


「修理は?」


「申請しています」


「いつ?」


教師が答えない。ミアが持っていた資料を見る。


「三年前ですね」


エレナが顔を上げる。三年前。安全装置交換申請。翌年。再申請。今年。再々申請。すべて。予算保留。


「使用停止にはしなかった?」


「実習授業ができなくなります」


「安全装置を解除した状態で?」


「常時ではありません」


「事故当日は?」


教師は黙った。ノアが代わりに答える。


「切ってあった」


エレナの視線が止まる。


「誰が?」


「知らない」


「あなたでは?」


「俺は触ってない」


「確認できます」


ノアは肩をすくめようとして、痛みに顔を歪めた。


「好きにすれば」


面会を終え、廊下へ出る。ミアがすぐに言った。


「話が変わってきましたね」


「はい」


「ノアは禁止操作をした。でも安全装置が切られていた」


「今のところは」


「もし安全装置が動いていたら?」


「確認します」


レオンが廊下の壁にもたれて待っていた。


「どうだった」


「ノアが禁止操作をしたのは事実です」


「なら事故原因はそれだろう」


エレナは彼を見る。


「まだです」


レオンの眉が動く。


「またか」


「安全装置が停止していました」


「それでも、禁止操作をしなければ爆発しなかった」


「そうですね」


「なら――」


「安全装置が正常なら、禁止操作をしても爆発しなかった可能性があります」


レオンが黙る。事故の引き金。事故を防ぐはずだった防壁。どちらを見るか。答えはまだ出ていない。


「明日、再現試験をします」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。