↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
23/30

第23話 禁止操作をした生徒


王都魔法学院。爆発が起きたのは、実技棟三階の第二演習室だった。廊下には焦げた匂いが残っている。窓ガラスは半分以上が割れ、壁には黒い焼け跡。演習室の扉は、救助のために外されていた。


「負傷者は?」


エレナが尋ねる。


「生徒一名。命に別状はない」


レオンが答えた。


「ただ、右腕と肩にひどい火傷をおっている」


「他には?」


「軽傷が三名。教師一名、生徒二名」


エレナは室内を見る。中央には実習用の大型魔導演算器。複数人で術式を入力し、魔力の流れを学ぶための設備だ。その正面だけが大きく焼けている。


「事故時の状況は?」


「実技授業中。担当教師が別の班を見ている間に、一人の生徒が禁止されている入力をした」


レオンが言う。


「目撃者もいる」


「その生徒が負傷者?」


「ノア・フェルド。十六歳」


ミアが資料を確認する。


「問題行動の記録がありますね」


遅刻。授業妨害。無断で術式設定を変更。教師への反抗。過去半年で注意処分四回。


「かなり……」


ミアが言いかける。


「扱いづらい生徒みたいですね」


エレナは資料を閉じた。


「それと事故原因は別です」


「はい」


ミアもすぐに頷く。王宮事故から三件。さすがに学んでいる。グレンが演算器の外装を外す。


「爆発したのは出力変換部だな」


セオが制御盤を確認する。


「入力記録が残っています」


「読めますか?」


「かなり」


術式記録紙が引き出される。事故直前。通常授業では許可されていない高出力命令。入力者識別。ノア・フェルド。


「本人の操作で間違いないですね」


ミアが言う。


「そう見えます」


エレナは演算器へ触れた。残響視。強い魔力が視界へ流れ込む。赤。青。白。複数属性が一度に走る。少し吐き気がした。強い残響。事故から時間が経っていないため、まだ濃い。エレナは呼吸を整える。


「大丈夫ですか?」


ミアが尋ねる。


「平気です」


再び見る。通常入力。その後。突然、高出力の火属性命令。術式が跳ねる。出力変換部へ集中。そして爆発。


「ノアの入力は確認できます」


エレナが言った。


「じゃあ原因は――」


ミアが止まる。エレナを見る。


「……まだ、ですね」


「はい」


セオが入力記録を睨んでいる。


「でも今回はかなり明確ですよ」


「禁止操作をしたことは?」


「事実です」


「爆発の引き金になった?」


「おそらく」


「なら、他に何を調べるんです?」


エレナは制御盤の側面を見る。安全遮断術式。高出力入力を検知した場合、強制的に演算器を停止する装置。


「これです」


セオも見る。


「安全遮断?」


「禁止操作をする人が誰もいないなら、そもそも必要ありません」


グレンが笑う。


「なるほどな」


エレナは安全装置を見る。


「人は間違えます」


意図的に規則を破ることもある。だからこそ。重大事故につながる設備には、その先の防壁が必要になる。


「高出力入力が入ったとき、安全遮断は作動しましたか?」


セオが記録を探す。数秒。眉が寄る。


「……作動記録がありません」


「故障?」


ミアが尋ねる。


「調べます」


ノアは確かに禁止操作をした。それは動かない。だが。それだけで爆発する設備だったのか。エレナは焼けた安全装置を見る。


「生徒の操作だけで、終わらせないでください」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。