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王国とケットシー  作者: リムル
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今日もいい天気

先日御伽噺をしていたおばあさんは今日は畑仕事をしています。茶色の猫はおばあさんが用意していたクッションに丸くなっていました。


「さて、お野菜達にお水をあげないとね。…とはいえ流石に疲れたわねぇ。年々疲れるのが早くなるよ。」


おばあさんが独り言を呟いていた。おばあさんは畑から猫の近くまでゆっくりと歩いてやってきた。そして隣に腰掛けた。


「やぁ、リーザばあさん。休憩かい?」


そう声をかけたのは、鍬を担いで歩いている男性だった。リーザばあさんと呼ばれたおばあさんはにっこりと微笑んだ。


「あら、誰かと思ったらエリクじゃないか。なぁに畑に水を撒こうかと思ったんだけどねぇ。」

「ならついでだから俺が撒いといてやるよ。リーザばあさんはゆっくり休みなよ。」


おばあさんの隣家の男性であるエリクがそう返事をした瞬間、頬に何かが当たる。エリクは左右をキョロキョロと眺めたが、猫とリーザばあさん以外は誰もいない。

今度は頭のてっぺんに何かが当たる。見上げてみても青空が広がるだけであったが、ポツポツと雨粒が降ってくる。


「おや、お天気雨かい?ちょうどよかった。」


おばあさんは微笑んだまま空を仰いだ。

畑にちょうど良い位の雨が降ったところで雨はあがった。



ーーーーー




「なーんてことがあったのは1回や2回じゃないんだ!本当にリーザばあさんは魔法使いだよ!」


夕飯の席でお酒を飲みながら、今日あった出来事を家族に話している。


「そういえば、リーザおばあちゃんが若い頃は貴族だったなんて話を聞いたことがあるわ。」


妻がそう答える。井戸端会議でそんな話をチラッと聞いたようだ。


「ええー!?おばあちゃんが貴族ー?」

「じゃあお姫様だったの?」


エリクの子供二人はリーザを思い浮かべて、信じられないという表情を浮かべた。


「私も聞いた話だからどこまで本当かは知らないんだけどね。リーザおばあちゃんの旦那さんがこの村の人で、リーザおばあちゃんがお嫁に来たのは確かみたいよ。」

「あぁー。なんか聞いたことあるな。リーザばあさんの旦那さんが王都に出稼ぎに行って、帰ってきた時に連れてきたとかなんとか。」

「きっと都会の人だったからこの村の人が見たらおしゃれで貴族に見えたのね。」


エリクの妻は王都から来る商人を思い浮かべていた。王都の流行が終わった頃にその流行が辺境にやってくる。きっとまだ王都から来ていない流行ファッションで村にやってきたのだろうと。


「なーんだ。お姫様じゃないのかぁー」


まだ5歳のエリクの娘はがっかりしたようにため息をついた。


「お姫様がこんないなかの村にくるわけないだろ?」


7歳のエリクの息子は妹をバカにしたように言ったので、妹と口喧嘩を始めた。

エリク夫婦は2人を宥めながら夕飯を終えた。



ーーーーー




隣家の楽しそうな会話を聞きながら、茶色の猫は窓際に座っている。


「さあ、ご飯ですよ。リリ」


おばあさんは優しく茶色の猫を呼ぶ。

リリと呼ばれた猫は「にゃあ」と一声鳴いて皿の前に座る。

皿には少し冷ました薄味のスープが入っている。リリは喜んでスープを食べ始める。

おばあさんはリリを微笑んで見ながら自分の前にあるスープを食べる前に祈りを捧げる。


(リーザばあさん、貴族だった…ねぇ。)


祈りを捧げるおばあさんを見ながらリリは考える。


(リーザ…リーザ…。うーん、なんか思い出せそうだけど…。)


夕飯を食べ始めたおばあさんを横目に、すでに食べ終えたリリは顔を洗う。


(……寝たら思い出せるかも。)


リリは顔を洗い終え、おばあさんのベッド脇の籠へ向かう。そしてすやすやと眠りにつくのであった。

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